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食品工場で行える異物混入対策とは?徹底解説コラム

食品工場で行える異物混入対策とは?徹底解説

食品工場での品質保持において、異物混入は避けて通れない課題です。消費者の安全と信頼を守るために、製造業者は常に警戒を怠らず、予防策を行う必要があります。この記事では、異物混入とは何か、食品工場で行える異物混入対策として、①プロダクトゾーンを特定する、②製造工程を衛生管理する、③メンテナンスする、④X線検査器を利用する、⑤工場周辺を清掃する、⑥照明を明るくする、⑦髪の毛に注意することについて解説します。

異物混入とは?

「異物混入」とは、製品や食品に不本意に含まれてしまう、本来存在すべきではない物質のことを指します。この現象は、製造や配送の段階で起こり得ます。


異物が混入する理由には二つあり、一つは人的ミスや不適切な管理によるもの、もう一つは故意に異物を混ぜる悪意ある行為です。この記事では主に前者のケースに焦点を当てています。

外部から混入する異物の分類

異物には、体内に入ることで直接的な健康被害をもたらす可能性のある異物(金属片、動物の排泄物など)と、健康に直接害を及ぼすことは少ないものの、消費者に不快感や衛生面での懸念を引き起こす異物(髪の毛、小さな虫など)が存在します。これらはどちらも消費者の不満につながりやすく、それぞれに応じた適切な対策が求められます。


主な異物は以下の3つに分類できます。

鉱物関連の異物

鉱物関連の異物として、石、砂、金属、ガラスなど、無機質から来る異物がこれに該当します。また、樹脂、ゴム、貝殻の断片も鉱物関連の異物に含まれます。


食品製造の現場で石やガラスが混入するという事態は想像しづらいかもしれませんが、実際にはそのようなリスクが存在します。調理機器が壊れてその一部が異物として食品に混入したり、製造設備が老朽化して塗装が剥がれたり、部品が欠けて混入することもあり得ます。これらの異物が消費者の手に渡り、口に入れられた場合、怪我や健康上の問題を引き起こす可能性があるため、十分な注意が求められます。

植物関連の異物

植物関連の異物として、植物の断片、種子、木片、花粉などが含まれます。カビやバクテリアのような微生物、紙やゴム片も植物関連の異物と見なされます。


植物由来の原材料を使用する食品工場では、植物の断片や切り屑が異物混入の原因となることがあります。これらは食品由来のため、健康に害を及ぼすリスクは低いものの、それでも注意は必要です。さらに、カビや細菌のような微生物も植物関連の異物と見なされ、これらが製品に生じたり、外部から持ち込まれたりすると問題となります。これらの微生物の混入源や時期を特定することは困難で、時には問題が拡大する恐れもあります。

動物関連の異物

動物関連の異物として、人間、昆虫、その他動物から来る異物を指します。人間からの異物には、髪の毛、爪、皮膚片、血液、歯などがあります。さらに、昆虫、ネズミ、鳥などの生物やその排泄物も含まれます。


食品の製造と加工には多数の従業員が携わっています。作業に参加する人数が多いほど、髪の毛が落下したり、爪や皮膚片が食品中に入り込む可能性も高まります。特に髪の毛の混入は、異物混入の中でも最も一般的な事例とされています。原材料に付着していた小さな虫の死骸が適切に除去されずに混入することもあります。また、多くの食品工場に設置されている空調や換気システムの通気口から虫が侵入し、製品に異物として混入することも少なくありません。


食品工場で行える異物混入対策とは?

食品製造の現場には多くの異物混入の可能性が存在します。食品製造現場で異物混入を完全になくすことは現実的ではありませんが、それを可能な限り減らすためには多くの対策が講じられます。以下で、そのいくつかの異物混入対策について解説します。

①プロダクトゾーンを特定する

プロダクトゾーンとは、食品製造施設内で食品が直接触れる表面や食品自体が置かれているエリア、または食材が露出している場所を指します。通常、工場内の全体に占めるプロダクトゾーンの割合は約20%とされています。


製造ライン、コンベアベルト、保管エリアなど、食品が露出しているプロダクトゾーンを明確にし、関係者全員がこれを認識することが重要です。これらのエリアに対する異物混入防止策を最優先で実施しましょう。

②製造工程を衛生管理する

食品工場では、典型的な製造工程として「原材料の保管、出庫、前処理、調理、包装、保管、出荷」という一連の流れがあります。これらの各工程において求められる清潔さのレベルは異なるため、工場内を壁やカーテンで区切ってゾーン分けし、各ゾーンの清潔さに見合った衛生管理を行うことで、異物混入の可能性を低減できます。


さらに、製品や材料を移動する際に使用するキャスターも、車輪に付着する汚れや異物を運び込むリスクがあるため、清潔度に応じて選択・使用することが重要です。


③メンテナンスする

食品製造における調理器具、清掃用具、機械設備は、異物混入の一因となることがあります。例えば、プラスチックの調理器具が割れたり、清掃時に使用するたわしやスポンジからの破片が食品に混入するケースがあります。


このような問題を避けるためには、耐久性のあるステンレス製の器具や破れにくい清掃用品を選ぶなどの対策が有効です。


さらに、機械設備のパッキンやフィルターなどの部品は、目で見て劣化を確認することが難しいため、これらが原因で起こった異物混入の事例もあります。定期的なメンテナンスと点検を通じて、機械設備の状態を保つことが食品工場での異物混入防止には不可欠です。

④X線検査器を利用する

通常の製造施設で異物混入を防ぐために利用されるマグネットや金属探知器では、骨のような非金属異物の検出が不可能です。このような非金属異物が頻繁に問題となる食品製造施設においては、X線検査器が効果的です。


導入と検査のコストを考慮する必要がありますが、異物混入の問題を減らし、さらなる対策強化を目指す施設にとっては、投資する価値があると言えるでしょう。

⑤工場周辺を清掃する

異物防止策を考える際には、食品製造施設の内部だけでなく、外部環境にも目を向けることが重要です。小さな虫は、工場の微細な隙間を通じて侵入し、異物混入の一因となることがあります。


工場のシャッター、入出口、非常用扉、換気口や換気扇の隙間、壁の損傷箇所など、思いのほか多くの入り口が存在します。これらの隙間を緩衝材や細かいメッシュで防ぐなどの対策が効果的です。

さらに、工場周辺の清潔な環境を維持し、ゴミを適切に処理することで、虫の発生や集まりを減少させ、それによって工場内への侵入リスクを低減できます。

⑥照明を明るくする

食品工場内の製造エリアで髪の毛や虫などの異物が発生しても、それを作業者が目視で発見できればトラブルを未然に防げます。


異物を目視で発見できるために必要な室内の明るさは500ルクス〜700ルクス以上の照度があれば理想とされています。自社の工場内で必要な明るさが保たれているか、確認されると良いでしょう。また、明るくさえあれば良いのではなく、虫の誘引性を低減する照明を使うなどの工夫も必要です。


⑦髪の毛に注意する

食品製造現場での髪の毛混入は、異物混入事件の中でも特に頻繁に発生する事例の一つです。この問題に対処するための基本は、以下の4つになります。


◯髪の毛の持ち込みを防ぐ

作業エリアへの髪の毛の持ち込みを防ぐためには、粘着ローラーやエアシャワーの利用、出勤前の髪の毛のブラッシング、作業服の定期的な洗濯などが効果的です。


◯髪の毛の落下を防ぐ

作業中に髪の毛が落下しないように、高いキャッチ力を持つ衛生帽の着用や、前かがみの作業、激しい動作を避けることなどが求められます。


◯髪の毛の散布を防ぐ

床や隠れた場所に落ちた髪の毛が風によって舞い上がり、製品に混入するのを防ぐためには、定期的な清掃や髪の毛が溜まりやすい場所を作らないようにすることが重要です。


◯髪の毛を除去する

もし髪の毛が製品に混入してしまった場合、迅速にそれを発見し除去するための措置が必要です。これには、目視検査やセンサーを用いた検品作業の徹底が必要です。

まとめ

異物混入とは?

「異物混入」とは、製品や食品に不本意に含まれてしまう、本来存在すべきではない物質のことを指します。


食品工場で行える異物混入対策とは?

①プロダクトゾーンを特定する

②製造工程を衛生管理する

③メンテナンスする

④X線検査器を利用する

⑤工場周辺を清掃する

⑥照明を明るくする

⑦髪の毛に注意する


この記事では、食品工場で行える異物混入対策について詳細に解説しました。食品工場では、ご紹介したような複数の異物混入対策を実施することが重要です。異物混入対策は、消費者の安全を守り、食品の品質を保持するために不可欠といえるでしょう。




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