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食品衛生法とは?【食品工場の用語解説】


食品衛生法は、我々の食品の安全性を確保し、健康を保護するために重要な法律です。特に食品に関わる企業の方は食品衛生法について理解しておく必要があります。そこで、この記事では食品衛生法とは何か、知っておくべき10のポイントを解説しています。

食品衛生法とは?

食品衛生法とは、食品や飲料を通じて発生する健康上の被害を防ぐことを目的とした法律です。この法律は、食品を扱う企業や事業者に適用され、規制や責務について定めています。食品関連のビジネスに関わる上で、この法律の遵守は極めて重要といえるでしょう。

食品衛生法の目的

食品衛生法の主な目的は、日本における食品の安全を確保することにあります。


この法律は、消費者が安全に食事をできるように、食品の生産から加工、そして販売に至る過程における基準と規制を定めています。食品衛生法の適切な実施により、食品の安全性と衛生が保たれ、食中毒や健康上の問題が最小限に抑えられます。


食品衛生法の対象

食品衛生法は食品を含む幅広い品目に対して適用される法律で、飲食物全般を対象にしていますが、薬事法による医薬品や医薬部外品は含まれません。この法律は、食品添加物、器具・容器包装、乳幼児が触れるおもちゃ、そして野菜・果実・食器を洗うための洗浄剤までを規制の対象としています。


これらは直接または間接的に人間の口に入る可能性があるため、食品衛生法の範囲内に含まれます。たばこや歯ブラシのようにすべての口に触れるものが対象となるわけではありません。


この法律は、主に事業としてこれらの製品を扱う企業に適用されるものであり、個人が自宅で料理をする場合などは対象外です。これにより、事業者は食品の安全と衛生を確保する責任があり、消費者は安心して製品を使用できるようになっています。

食品衛生法の成立

1947年に食品衛生法は、食品の汚染や食中毒の予防、食品の安全性の確保を目的として制定された法律です。2018年6月には食品衛生法の改正案が衆議院で承認され、この改正は2年にわたって段階的に施行されました。

食品衛生法に違反するとどうなる

食品衛生法に違反した場合は、法律によって罰則が定められており、違反した個人や企業は懲役や罰金の対象となる可能性があります。たとえば、HACCP(食の安全性を確保するための衛生管理の手法)に基づいた管理義務を怠り、違反が発覚した場合、個人には最大3年の懲役または300万円以下の罰金が、企業には最大で1億円の罰金が課せられることがあります。


このように、違反の性質に応じて、懲役や罰金が適用されるため、食品関連の事業者は法を厳守し、違反がないように注意深く業務を遂行する必要があります。


食品衛生法のポイント

食品衛生法の知っておくべき10のポイントを解説します。

①誇大広告の禁止

消費者が製品やサービスを選ぶ際には、食品、添加物、および容器や包装のラベリングが重要な役割を果たします。これらの表示は、食品の安全性を評価する上でも欠かせない情報を提供します。


この背景から、食品やその他関連製品の表示に関して、内閣総理大臣により適切な基準が設定されること、そして虚偽や誇張された表示や広告が禁止されていることが規定されています。


表示の詳細については、食品表示法により規定されており、ここでは原材料の原産国や、消費期限と賞味期限など、具体的な表示ルールが定められています。これにより、消費者はより安心して商品を選択することが可能になっています。

②有害な食品・添加物の禁止

食品衛生法は、食品や添加物を扱う全過程において、それらが清潔かつ衛生的に行われることを基本原則として定めています。この法律は、事業者が従うべき義務も規定しており、腐敗、有毒、病原微生物による汚染、人の健康を損なう可能性のある食品・添加物の製造等を禁じています。これにより、消費者の健康と安全を守るための厳格な基準が設けられています。


③器具・容器包装は衛生的にする

使用される「器具」や「容器包装」は、清潔で衛生的であることが義務付けられています。


「器具」とは、食器、調理器具、鍋、ラップなど、調理や保管で使われ食品に直接触れる機械や道具を指します。


「容器包装」とは、食品や添加物を入れたり包んだりするペットボトル、紙パック、レトルトパック、缶などを指します。


これらの「器具」や「容器包装」には、食品との接触部分に使用可能な金属の割合、銅や鉛が削り取られない構造、特定の状況下での古紙使用禁止など、細かな規格とルールが存在します。食品業界では、製品の衛生管理を確実に行うために、これらの「器具」や「容器包装」の取り扱いにも注意が必要です。


以前は、禁止されている物質を含まない限り、食品接触用の器具や容器包装を使用することが許されていた「ネガティブリスト制度」に基づいて管理されていました。法律の改正により、安全が確認された物質のみが使用可能な「ポジティブリスト制度」に移行しました。

④輸出入食品の安全性を確保

食品の輸入時、HACCPに基づく衛生管理と、乳製品・水産食品に関する衛生証明書の提出が、その安全性を担保するために求められます。


また、食品を輸出する際には、輸出先の国の衛生基準を満たしていることを証明するために、国や自治体から衛生証明書を発行するなどの手続きが必須とされています。

⑤自主回収(リコール)情報の公開

製造や輸入した食品を自主回収する際、事業者はその情報を国に報告することが義務づけられました。この制度は、リコール情報の公開を通じて、その透明性を高めることを目的としています。


さらに、リコールされた食品の情報は厚生労働省のホームページで公開され、消費者はこのウェブページを訪れることで、現在リコール中の製品を容易に把握できるようになります。この規制は、食品による健康へのリスク拡大を未然に防ぐために設立されました。

⑥営業許可制度の強化

HACCPの導入に伴い、従来営業許可が不要だった事業者(自治体が独自に設定していた許可制度を含む)も営業に関して届出や許可を求められるようになりました。この変更により、各都道府県は地域内の食品事業者の存在とその活動内容を正確に把握することができ、事業者に対する衛生管理や指導の強化を実施しやすくなりました。


⑦健康被害を行政に報告する義務

特定の注意を要する成分を含む健康食品による健康被害が発生した場合、事業者はその情報を行政に報告する義務が新たに設けられました。この報告制度は、摂取によって潜在的に生じ得る健康リスクについて国民に適切な情報を提供し、さらなる被害の拡散を防止することを目的としています。

⑧HACCPが完全義務化

HACCPは、食品の安全を保障するための衛生管理システムであり、食品事故の予防や発生時の迅速な原因調査に寄与することから、世界的に認められた基準となっています。しかし、日本では特に中小規模の事業者の間でこのシステムの採用が進んでいない状況があり、これを改善するため制度化が決定されました。2018年6月に可決した改正食品衛生法によって、2020年6月に施行され、施行後1年間は経過措置がとられ、2021年6月に完全義務化となりました。

⑨食中毒の対策強化

広範囲にわたる食中毒の発生とその拡散を阻止するため、国と地方自治体の間で情報の共有と協力を促進する措置が取られることになりました。緊急性が高い場合、厚生労働大臣は協議会を通じて迅速な対応を行う権限を持ちます。この決定は、2017年のO-157による食中毒事件などの事例を受けての措置です。このような体制強化は、将来的な食中毒事案への迅速な対処につながることが期待されています。


⑩食品衛生管理者を置く

食品の安全をさらに確実にするため、食品衛生法は特定の製造や加工業務を行う企業に、それぞれの施設に「食品衛生管理者」を置くことを義務付けています。この規定は、乳製品、食肉製品、魚肉ハム・ソーセージ、食用油脂、添加物の製造・加工などをする企業に適用されます。


ただし、企業が食品衛生管理者を一人だけ配置すればいいというわけではなく、製造や加工が行われる現場ごとに、その衛生状態を適切に管理する必要があります。そのため、施設や部門ごとに「食品衛生管理者」を置くことが求められることになります。

まとめ

食品衛生法とは?

食品衛生法とは、食品や飲料を通じて発生する健康上の被害を防ぐことを目的とした法律です。


食品衛生法のポイント

①誇大広告の禁止

②有害な食品・添加物の禁止

③器具・容器包装は衛生的にする

④輸出入食品の安全性を確保

⑤自主回収(リコール)情報の公開

⑥営業許可制度の強化

⑦健康被害を行政に報告する義務

⑧HACCPが完全義務化

⑨食中毒の対策強化

⑩食品衛生管理者を置く


この記事では食品衛生法とは何か、知っておくべき10のポイントを解説してきました。

食品に関わる企業の方は、この法律を理解し、常に最新の情報に基づいた適切な管理と対応が求められるでしょう。


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