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食品表示法とは?【食品工場の用語解説】


食品を選ぶ際に、その安全性を判断する上で欠かせないのが「食品表示」です。その表示基準を定めている「食品表示法」について、食品業界に関わる人は理解しておく必要があります。そこで、この記事は食品表示法とは何か、目的、8つのポイントについて解説しています。

食品表示法とは?

食品表示法とは、消費者が安全で身体によい食品をわかりやすく選べるように、食品の安全性や機能性に関する表示について定めた法律になります。


従来、食品表示に関する規則は複数の法律によって定められ、理解しにくい状態でした。この問題を解決するため、食品衛生法、JAS法(日本農林規格等に関する法律)、健康増進法における食品表示に関する法律を統合し、業界関係者と消費者の両方にとって分かりやすい「食品表示法」を導入しました。この新しい法律は、2015年4月より実施されています。


食品表示法の目的

食品表示法の目的は、食品を食べる際に安全を確保し、消費者が自分で考え合理的に選べるようにすることです。消費者の利益を高めることで国民の健康を守り、向上させ、食品の生産と流通をスムーズに進めること。消費者のニーズに応える形での食品生産を促進し、それに貢献することなどが目的です。

食品表示法のポイント

食品表示法の主なポイントについて8つ解説します。

①機能性表示ができる

野菜や果物といった生鮮食品、加工された食品、サプリメント等が、健康維持や向上に役立つ具体的な効果(機能性表示)を示せるようになりました。この表示をするためには、表示内容、事業者の基本情報(名前や連絡先など)、安全性や効果の根拠、生産や品質管理の情報、健康被害への対応体制など、必要な情報を販売予定日の60日前までに消費者庁へ報告することが求められます。

②原材料と添加物を区別する

これからは、原材料と添加物をはっきりと区別できるように、「添加物」というラベルをつけて分かりやすく表示します。以前のJAS法での品質表示基準では、原材料と添加物の区分なく重さの順に表示することが決まっていました。しかし、これからは他の加工食品と同じように、原材料と添加物を別々にし、それぞれを重量の多い順に表示するように統一されます。


また、原材料を単に混ぜ合わせたような場合でも、大きな変化がない複合原材料を使う際には、構成する原材料を個別に表示できるようになります。これにより、消費者はより詳細な情報を手に入れられるようになります。

③アレルギー表示の義務化

多くのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こすもの)が存在し、それらは卵、エビ、カニ、小麦、そばなどがあります。これらの情報が食品のラベルに誤って表示されると、健康上の問題を引き起こす可能性があります。


国内での食品リコールの約4分の1がアレルギー表示の誤りに関連しているとされています。この問題に対処するため、食品表示の法規制が改正され、新たなアレルギー表示のルールが導入されました。以前は一部の表示を省略することができましたが、改正後は含まれているすべてのアレルゲンを表示することが義務付けられています。


例えば、以前は焼きうどんに含まれる小麦や、マヨネーズに含まれる卵のような、一般的に理解されている情報は表示から省略可能でした。しかし、法改正により、これらのアレルゲンを含む成分は「焼きうどん(小麦を含む)」や「マヨネーズ(卵を含む)」といった形で明示的にラベルに記載する必要があります。


また、パッケージの一括表示欄に「一部に小麦を含む」や「一部に卵を含む」といった形で記載することも求められます。複数の成分や添加物が同じアレルゲンを含む場合、その中の一つに表示をすれば、他は省略可能です。


特に子供向けの食品では、以前からアレルゲンが目立つように表示されることがありましたが、今回の改正により、すべての食品でアレルゲン情報が明確に表示されるようになり、消費者がより安全に食品を選択できるようになりました。

表示義務

表示義務は、特に発症数、重篤度から表示する必要性の高いものが定められています。


・卵、乳、小麦、落花生、そば、えび、かに

任意表示

任意表示の食品は、症例数や重篤な症状を持つ人の数が一定程度継続して見られるものの、特定原材料によるものに比べて少ない状況です。この特定原材料を指定するかどうかについては、将来にわたってさらなる調査が必要とされています。


・いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、カシューナッツ、バナナ、やまいも、もも、りんご、さば、ごま、さけ、いか、鶏肉、ゼラチン、豚肉、オレンジ、牛肉、あわび、まつたけ


④栄養成分表示の強化


食品表示法の改正に伴い、加工食品や添加物における栄養成分の表示が以前は任意であったものが現在は必須となりました。


表示を義務付けられている栄養成分

・エネルギー(カロリー)

・たんぱく質

・脂質

・炭水化物

・食塩相当量


これまでは、製品に含まれる食塩量がナトリウム量としてラベルに記されていました。しかし、新たな規定により、これからは食塩相当量としての表示が必須になります。


さらに、ラベルに任意で表示できる成分には、飽和脂肪酸、食物繊維、糖質、脂質、コレステロール、ビタミンやミネラルなどがありますが、この中で特に飽和脂肪酸と食物繊維の表示が推奨されています。


⑤加工食品と生鮮食品の区分が統一

食品表示法の施行以前は、食品衛生法とJAS法で食品の分類が異なっていましたが、これが統一され、整理されることになります。


例えば、簡単な加工を施した食品(例: ドライマンゴーなど)に関しては、以前の食品衛生法のもとでは、アレルゲン表示や製造所の所在地表示が義務付けられていませんでした。しかし、新しい基準では、これらが加工食品としての分類に含まれるため、アレルゲンと製造所所在地の表示が必要となります。

⑥製造所固有記号が使えない

以前の規則では、製造所固有記号、販売者の名前、および住所の表示をもって、製造者の名前や製造場所の住所の代用とすることが認められていました。しかし、現在では基本的に製造所固有記号の使用が許可されていません。


基本的には、複数の製造所で同一の製品を生産する場合など、包装材料を共用することによる利点がある際に限り、製造所固有記号の使用が例外的に許可されます。この例外を利用する際には、以下のいずれかの情報を製品に表示する必要があります


・製造所の所在地などの情報を要求された際に応答する担当者の連絡先を表示

・製造所の所在地などを掲載したウェブサイトのURLを表示

・当該製品を生産している製造所の所在地などを表示


ただし、業務用食品の場合は、製品が複数の製造所で製造されるかどうかに関わらず、製造所固有記号を使用することができ、上記の表示要件は適用されません。

⑦小さい食品の表示を省略しない

商品の表示面積が30平方センチメートル以下の小さなサイズであっても、以前は保存方法、消費期限または賞味期限、アレルゲン、L-フェニルアラニン(必須アミノ酸のひとつで、脳と神経細胞間の信号を伝達する役割を持つ神経伝達物質として働く)含有について省略することが許されていました。


改訂された新しい規定により、これらの情報の省略は不可能となりました。この変更により、たとえ表示面積が30平方センチメートル以下であっても、商品の名称、保存方法、消費期限または賞味期限、含まれるアレルゲン、L-フェニルアラニンを記載します。さらには、食品関連事業者の名前や住所などの情報を必ず記載しなければならなくなりました。

⑧加工食品の原産地の表示が必須

以前の食品表示法では、漬物など特定の加工食品に限り、使用されている原料の産地を表示する必要がありました。しかし、改正された食品表示法の下では、原則として全ての加工食品で最も使用量が多い原材料の原産地の表示が必須となりました。表示は、原材料の使用量が多い順で行われ、最初にある材料の原産地が括弧内に示されます。

まとめ

食品表示法とは?

食品表示法とは、消費者が安全で身体によい食品をわかりやすく選べるように、食品の安全性や機能性に関する表示について定めた法律になります。


食品表示法のポイント

①機能性表示ができる

②原材料と添加物を区別する

③アレルギー表示の義務化

④栄養成分表示の強化

⑤加工食品と生鮮食品の区分が統一

⑥製造所固有記号が使えない

⑦小さい食品の表示を省略しない

⑧加工食品の原産地の表示が必須


この記事では、食品表示法とは何か、主なポイントについて解説してきました。食品業界に関わる人は、食品表示法を理解しておくことが、消費者の安全性と信頼を獲得し維持するために不可欠といえるでしょう。


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