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食品ロスとは?日本の現状461万トンと食品工場でできる削減対策を解説コラム

食品ロスは、食品業界にとって大きな課題のひとつです。
食品工場では、製造工程で発生するロスや規格外品、過剰生産、包装・印字不良など、さまざまな理由から、まだ食べられる製品が廃棄につながってしまうことがあります。
食品ロスを削減することは、環境への負荷を減らすだけではありません。原材料費や廃棄コストの削減、歩留まりの改善、生産性向上など、食品工場の経営にも関わる重要な取り組みです。
そこで今回は、「食品ロスとは何か」という基本から、2026年時点で公表されている最新データ、食品工場で食品ロスが発生する原因、削減に向けた考え方までわかりやすく解説します。
食品ロスとは?
食品ロスとは、「まだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品」のことです。
家庭で発生する食べ残しだけでなく、食品メーカー、食品卸売業、食品小売業、外食産業など、食品が製造されてから消費されるまでのさまざまな段階で食品ロスが発生しています。
食品工場で考えられる食品ロスの例
・製造しすぎて出荷できなかった製品
・重量、形状、色などが規格から外れた製品
・製造工程で発生した可食部分のロス
・包装不良や印字不良によって出荷できなくなった製品
・賞味期限・消費期限を迎えてしまった原料や製品
【2026年最新】日本の食品ロスは年間461万トン
消費者庁が2026年6月30日に公表した最新の推計によると、2024年度の日本の食品ロス量は年間461万トンとなっています。
前年度の464万トンから3万トン減少しました。
日本の食品ロス量:年間461万トン
事業系食品ロス:237万トン
家庭系食品ロス:224万トン
食品工場にとって特に注目したいのが、企業などの事業活動から発生する「事業系食品ロス」です。
参考:消費者庁「2024(令和6)年度食品ロス量推計値の公表について」
食品製造業では年間110万トンの食品ロスが発生
農林水産省によると、2024年度の事業系食品ロス237万トンの内訳は、次のようになっています。
食品製造業:110万トン
食品卸売業:9万トン
食品小売業:48万トン
外食産業:70万トン
食品製造業だけで年間110万トンとなっており、事業系食品ロス全体の約46%を占めています。
食品メーカーにとって食品ロス削減は、社会的な課題への対応だけではなく、原料歩留まりや生産効率、製造コストを改善するという観点からも重要なテーマです。
参考:農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」
食品ロスによる経済損失は年間約3.8兆円
食品ロスは、廃棄される食品の量だけの問題ではありません。
消費者庁が公表している2024年度の推計では、食品ロス461万トンによる経済損失は年間約3.8兆円とされています。
さらに、食品ロスによって発生する温室効果ガス排出量は、約978万t-CO2と推計されています。
食品ロスによる経済損失:約3.8兆円
温室効果ガス排出量:約978万t-CO2
食品工場では、製品そのものを廃棄するだけでなく、その製品をつくるために使用した原料、水、電気、ガス、包装資材、人件費などもコストとして発生しています。
そのため、食品ロスを削減することは、原料費や廃棄コストを抑え、生産性を高める取り組みにもつながります。
参考:消費者庁「2024(令和6)年度食品ロス量推計値の公表について」
食品工場で食品ロスが発生する主な原因
では、食品工場ではどのような場面で食品ロスが発生するのでしょうか。
1.過剰生産
需要以上に製品を製造すると、販売・出荷できなかった製品が在庫となり、最終的に廃棄につながる可能性があります。
過去の販売実績や受注状況などをもとに需要を把握し、生産計画の精度を高めることが重要です。
2.製造工程での歩留まり低下
原料投入、カット、成形、充填、盛付などの工程では、設備の設定や原料のばらつき、作業方法などによってロスが発生することがあります。
1個当たりのロスは小さくても、大量生産を行う食品工場では年間を通じて大きな差になる可能性があります。
3.規格外品・不良品
重量、サイズ、形状、色などが定められた規格から外れることで、食べることができても商品として出荷できなくなる場合があります。
製造条件を安定させ、不良が発生する原因を把握して改善していくことが重要です。
4.包装・印字不良
製品自体に問題がなくても、包装不良や賞味期限・消費期限の印字不良、ラベル間違いなどによって出荷できなくなる場合があります。
包装工程の安定化や、画像検査・印字検査などを活用した確認もロス削減を考える際の方法のひとつです。
5.在庫管理
原料や製品の在庫状況を適切に把握できていない場合、賞味期限・消費期限切れなどによる廃棄が発生しやすくなります。
入出庫や使用期限などを把握し、適正な在庫量を維持することが食品ロス削減につながります。
食品工場でできる食品ロス削減対策
食品ロスを削減するうえで、最初から大規模な設備投資を行う必要はありません。
まず重要なのは、「どこで、どの程度のロスが発生しているのか」を見える化することです。
工程ごとのロスを数値化する
原料投入量、製造数量、良品数量、不良数量、廃棄量、歩留まりなどを工程ごとに把握します。
「工場全体で食品ロスが多い」という状態ではなく、どの製品の、どの工程で、なぜロスが発生しているのかまで把握することで、具体的な改善につなげやすくなります。
生産計画・在庫管理を見直す
過剰生産や期限切れによるロスを減らすためには、販売状況や在庫状況を踏まえて、生産量を適正化することが重要です。
生産管理システムや在庫管理システムを活用し、製造・販売・在庫の情報を連携する方法もあります。
需要予測の精度を高める
食品は賞味期限・消費期限があるため、需要と生産量のずれが食品ロスにつながりやすい特徴があります。
過去の販売実績だけでなく、曜日、季節、天候、イベント、販促情報などを参考に需要予測の精度を高めることで、過剰生産の抑制につながります。
自動化によって製造のばらつきを抑える
計量、充填、カット、盛付、検査などでは、工程を自動化することで作業のばらつきを抑えられる場合があります。
計量機、充填機、画像検査装置、ロボットなどを適切に活用することで、次のような改善につなげられる可能性があります。
・過充填の削減
・規格外品の削減
・検査精度の安定化
・原料歩留まりの改善
・不良品発生の早期発見
食品工場の自動化は、人手不足や省人化への対応だけでなく、食品ロスや製造ロスを削減するという視点から検討することも重要です。
2030年度までに事業系食品ロス60%削減へ
食品ロス削減に向けた国の目標も見直されています。
食品リサイクル法に基づく新たな基本方針では、事業系食品ロスについて、2030年度までに2000年度比60%削減する目標が設定されています。
2024年度時点では、事業系食品ロスは2000年度比で57%削減されています。
目標達成に向けて、食品メーカーを含む食品関連事業者には、今後も食品ロス削減に向けた取り組みが求められます。
参考:農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」
食品ロス削減を「生産性向上」につなげる
食品工場における食品ロス対策は、単に「廃棄する食品を減らす活動」だけではありません。
・歩留まりの改善
・生産計画の最適化
・品質の安定化
・原材料費の削減
・廃棄コストの削減
・自動化・省人化
このように、食品ロスを分析して改善していくことは、工場全体の生産性向上にもつながります。
まずは自社工場のどこでロスが発生しているのかを把握し、その原因に合わせて、作業方法の見直しや設備改善、自動化などを検討していくことが大切です。
まとめ
食品ロスとは、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のことです。
2026年時点で公表されている最新推計では、日本の食品ロス量は年間461万トン。そのうち事業系食品ロスは237万トンで、食品製造業からは110万トンが発生しています。
食品工場では、過剰生産、製造工程でのロス、規格外品、包装・印字不良、在庫管理など、さまざまな場面で食品ロスが発生する可能性があります。
食品ロス削減を進めるためには、まずロスが発生している工程と原因を見える化し、そのうえで生産管理や設備改善、自動化など、自社工場に適した対策を進めていくことが重要です。
参考資料
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