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食品ロスとは?【食品工場の用語解説】NEWコラム


食品産業における重要な課題の一つが「食品ロス」です。日々さまざまな理由で、本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロスが発生しています。この記事では、食品ロスとは何か、分類、問題、食品ロスを減らす方法や事例を解説します。

食品工場で食品ロスが発生する原因と削減の重要性

「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。これには、不良品や過剰生産、在庫管理の不備、製品の規格外品、賞味期限・消費期限切れ、食べ残し、売れ残りなどのさまざまな理由があります。

日本では、農林水産省をはじめとする政府機関が「食品ロス」という表現を用いて、食品の廃棄問題に取り組んでいます。

また、「フードロス」や「フードウェイスト」という用語もあり、これらは「食品ロス」と混同されがちですが、それぞれに特有の意味があります。

フードロスとは?

「フードロス」は、食品が流通する前半部分の生産・収穫、輸送、製造・囲う・包装に至るまでの食品供給過程の途中で生じる廃棄食品を指します。これには、加工や製造の過程で生じる食品のくずや残り物も含まれています。

フードウェイストとは?

「フードウェイスト」は、食品が流通する後半部分の主に小売業者や消費者の段階で発生する食品の廃棄を指します。これにはスーパーマーケットやコンビニエンスストアで売れ残った商品や、家庭内で食べられずに廃棄される食品が含まれます。食品を無駄にすることは資源の浪費であるだけでなく、環境への負担も大きく、深刻な問題とされています。

食品ロス、フードロス、フードウェイストの違い

「食品ロス」は広義には、「フードロス」と「フードウェイスト」の両方を含む概念です。

「フードロス」は、生産・収穫・加工などの食品供給過程の前半部分で発生する廃棄食品を言います。

「フードウェイスト」は主に消費者や小売業者の段階で発生する廃棄食品で、売れ残りや食べ残しが主な原因です。

食品ロスの分類

食品ロスは、主に「家庭系食品ロス」と「事業系食品ロス」の二つに大別されます。

家庭系食品ロス

「家庭系食品ロス」は家庭内での料理の残り物や使用しないまま廃棄される食品など、個人の生活範囲で発生するロスを指します。全体の約半分を占める「家庭系食品ロス」は、日々の生活において個々人が意識を持って対策を講じることで減少させることが可能です。

例えば、正しい計画的な買い物や、食材の有効食材の有効活用方法、調理後調理後の保存対策が有効です。

また、地域や行政によるフードロス削減プロジェクトやサービス、フードバンクの利用、賞味期限に近い食品を購入するなどの工夫も、個人が家庭系食品ロスを減らすための対策として有効です。環境保護や資源の節約に貢献することが可能です。

事業系食品ロス

「事業系食品ロス」は小売業の店舗の売れ残り、飲食店の食べ残しなど、事業活動に伴って生じるロスを指します。食品の製造・卸・小売業で発生する食品ロスには、規格外品(形が崩れた商品、従来よりも大きい・小さい商品)、パッケージなどの印字ミス、欠品を防ぐための過剰生産によるロス、返品された商品、売れ残りなどが挙げられます。

他にも、流通時における商品の破損や欠損、パッケージの変更に伴う旧商品や季節限定品、消費・賞味期限を過ぎた商品なども食品ロスの対象となります。

特に、スーパーなどで設けられている高い外観品質基準や、先進国に多くみられるような商品の大量陳列による食品ロスは、大きな課題の一つといえるでしょう。


外食産業では客の食べ残しや過剰に調理された料理、保存期限を過ぎた食材、可食できるが捨てられた食材などが食品ロスになります。

農林水産省の調べによると、外食時における食べ残し量の割合は、宴会14.2%、披露宴12.2%、 食堂・レストラン3.6%と、一度に大勢が集まる食事の場での食べ残しが多いことがわかりました。

具体的な対策

製造業

食品の製造に携わる企業では、最新の技術や機械などを使うことで保存容器や保存方法を工夫し、賞味期限の延長や品質保持に取り組むことが、食品ロス削減に繋がります。最新のデータやIT技術を取り入れ、商品の流通量をコントロールすることで、過剰生産を抑えることが可能となります。

卸・小売業

生産・製造後の食品を取り扱う卸業や小売業では、商品の売りきりや商品のバラ売り、配送時の汚染・破損防止などの取り組みが食品ロス削減に効果的です。賞味期限の近い商品を割引価格で提供する、規格外品を「訳あり商品」「アウトレット」などといったセールで販売し、消費者が手に取りやすいように販売することで、食品ロス削減に繋がります。

外食産業

飲食店や販売店などの外食産業では、調理ロスの削減や食べきり運動の呼びかけ、提供サイズの調整、エコ容器での持ち帰りの協力などが食品ロス削減に繋がります。

例えば、商品を食べきった客に対して特典を付与するサービスや、通常は廃棄されやすい食材の部位を活用したメニュー開発などが挙げられます。

他にも、店内だけでサービスを完結するのではなく、食事を求めている消費者とマッチングするような、食品ロス削減への取り組みを応援するアプリやサービスを利用することは、より効果的な食品ロス対策になるでしょう。


食品ロスの問題

2024年6月21日に政府が発表した最新の数値(令和4年度推計)によると、食品ロスは472万トン(前年度比▲51万トン)にも上ります。

世界全体では、年間約13億トンの食料が廃棄されており、これは生産された食料の約3分の1に相当します。このように、大量の食料を生産・輸入しながらも多くを捨てる現状は、多方面にわたる影響や問題を引き起こしています。ごみ処理にかかるコストの増加、可燃ごみの焼却によるCO2排出や埋め立てに伴う環境負荷の増大という社会的課題などが挙げられます。

これらの事実は、私たち一人ひとりが食べ物を無駄にせず、大切に扱うことの重要性を強調しています。食品ロスの削減は、環境保護、経済的効率性、社会的公正性を高めるために、各個人が意識して行動することが求められています。

食品ロスの発生

日本での年間食品ロス量は約523万トンに及びますが、このうち事業系からは約279万トンが発生しており、これには品質基準を満たさない規格外品、返品された商品、売れ残り、飲食店での食べ残しなどが含まれます。


一方、家庭系からは約244万トンの食品ロスが生じており、主な原因としては、食べきれずに残される食べ残し、消費されずに直接廃棄される未使用の食品、過度に取り除かれた食品の部分(例えば、皮を剥きすぎる行為)などが挙げられます。


2017年の消費者庁による食品ロス削減に関する資料によると、家庭系の食品ロスで「まだ食べられるのに捨てた理由」としては、「食べ残し」が57%で最も多く、次いで「傷んでいた」が23%、「期限切れ」が11%(うち賞味期限切れが6%、消費期限切れが5%)となっています。


食品ロスを減らすためには、事業者だけでなく家庭の各人が日々の行動を見直し、食品を大切にする意識を持つことが重要です。食品ロスの削減は、環境保全や資源の有効活用に貢献するだけでなく、経済的な節約にもつながります。国民一人ひとりがこの問題に対する意識を高め、食品ロスの削減を目指すことが求められています。

食品ロスの影響

食品ロスの大量発生は、廃棄物処理のコスト増加につながり、その費用は最終的に消費者が購入する食品の価格に反映されています。加えて、食品を燃やすことでのCO2排出や、焼却後の灰の処理が環境負荷を増加させています。

日本の食料自給率は38%に過ぎず、多くの食料を輸入に頼っているにも関わらず、大量の食品を消費せずに廃棄している現状があります。これは、食料の生産や流通に伴う土地利用の変化、エネルギー消費といった環境負荷だけでなく、食料を生産する人々の時間や労力の無駄遣いにもつながります。

日本では、多くの食品が捨てられている一方で、7人に1人の子どもが貧困で食事に困っています。私たち一人一人が現在の消費行動や食生活を見直さずにいると、持続可能な社会を築くことはできません。より意識的で、責任ある消費行動を心がけ、食品ロスの削減に努めることが、地球環境を守り、未来世代に良い影響を与える第一歩となるでしょう。


食品ロスを減らす方法

1人1人が取り組むことができる食品ロスを減らす方法を解説します。

買物での取組

買いすぎない

買い物をする前には、冷蔵庫内の在庫をチェックして買いすぎないことが重要です。買い物後に冷蔵庫を見て、既に同じ食品があることに気付くと、余分な食材が発生し無駄になってしまいます。食材の無駄遣いを防ぐためにも、購入前に何が必要かを確認する習慣をつけましょう。

必要な量のみを購入

必要な量を購入し、全てを消費することが大切です。大量購入がお得に思えても、消費期限内に食べきれなければ結局は損失となります。必要な時に必要なものだけを買うことで、無駄を避けましょう。

近々食べる予定の食材を選ぶ

スーパーマーケットでの買い物では、近々食べる予定の場合は棚の前方から商品を選びましょう。店側は賞味期限や消費期限が近い商品を前に置くことが多いためです。消費者は賞味期限や消費期限の長い商品を選びがちですが、これにより期限が短い商品が売れずに廃棄されることになりかねません。


お店の取り組みを支援

賞味期限や消費期限が近い商品、若干の傷みがある商品を割引価格で提供するお店が増えています。また、さまざまな理由で商品が不足していたり、閉店時間直前に商品の選択肢が限られていることもあります。

料理での取組

残存食材を優先

残存食材を優先して使いましょう。新たに購入した食品を先に使用してしまうと、以前からある食材が悪くなるリスクがあります。家にある食材を活用し、無駄なく使い切ることを心掛けてください。

食べ切れる量を作る

体調、健康状態、家族のスケジュールを考慮して、食べきれる分量を調理することが重要です。家族のメンバーが一人一人どれくらい食べるかを理解し、家族間でコミュニケーションを取りながら、余分に作り過ぎないよう心がけましょう。

リメイクレシピを活用

余った料理は、リメイクレシピを活用して食べきる工夫をしましょう。新しい料理に生まれ変わらせることで、食べ残しを減らし、食材を無駄なく活用することができます。

保存での取組

小分けに保存する

食べきれない野菜は、冷凍や乾燥などの方法で下処理し、使いやすいように小分けに保存しましょう。これにより、食材を長持ちさせることができます。さらに、市販の冷凍食品を活用することで、必要な分だけ取り出して使うことができ、食品の無駄を減らすことにも繋がります。

正しく保存する

食品パッケージに記載されている保存方法に従って保存しましょう。間違った保存方法を用いると、食品が早く劣化する恐れがあります。正しい方法で保存することで、食品を最後まで美味しくいただけます。

外食での取組

食べられる量を注文

外食産業では消費者が小盛りやハーフサイズのメニューを活用して、食べられる量だけを注文することにきをつけましょう。


食べ残しを持ち帰る

食事でどうしても料理を残してしまった場合は、お店のスタッフと相談して、持ち帰りが可能かどうかを確認しましょう。


このようにして、食べ残しを減らし、食品ロスの削減に貢献することができます。


SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」への影響

SDGs目標12は、持続可能な生産と消費のパターンを確立することを目指しており、食品ロス削減はその中心的な要素です。事業者が効率的な生産・流通システムを構築し、消費者が適切な消費行動をとるために、資源の浪費を削減し持続可能な社会を実現することが求められています。

食品ロスの削減は、食糧生産に必要なエネルギーや水資源の浪費を削減させ、温室効果ガス排出の削減に大きな効果をもたらします。具体的には、食品の廃棄に伴う処理プロセスで発生するメタン、さらに、資源の効率利用は、生態系の保護にも配慮します。例えば、水や肥料の使用量が減少することで、農業や食料生産の持続可能性が向上します。


まとめ

「食品ロス」とは、本来食べられるはずの食品が、さまざまな理由で廃棄されてしまうことを指し、その多くはサプライチェーンの各段階で発生します例えば、製造工程で規格外となったものや、販売段階で消費期限が切れて廃棄されるものが含まれます。これらの廃棄物は、環境への負担や資源の無駄を招き、社会的にも大きな問題です。

食品ロスを減らすためには、各段階での適切な管理が必要です。生産段階では、効率的な収穫や規格外品の有効活用が求められます。流通や販売では、適切な在庫管理と販売促進策を通じて、食品が無駄なく消費者に届くようにすることが重要です。また、家庭では、買い物時に計画を立て、必要な量だけ購入することや、保存方法を工夫することで、食品ロスを減らすことができます。


さらに、外食時に適切な量の注文を心がけ、食べ残しを減らすことも効果的です。個人の小さな行動が、社会全体の食品ロス削減に大きく貢献します。



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