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【2026年版】食品工場の食品廃棄物対策とは?食品リサイクル法と5つの資源化方法コラム

食品工場では、製造工程の中で野菜の皮や芯、肉や魚の端材、加工残さ、規格外品など、さまざまな食品廃棄物が発生します。
こうした食品廃棄物を、単に「捨てるもの」として処理するのではなく、発生そのものを減らし、飼料や肥料、エネルギーなどの資源として活用することが重要になっています。
その中心となる制度が「食品リサイクル法」です。
食品リサイクル法では、食品の製造や流通、外食などから発生する食品廃棄物について、発生抑制や再生利用などを進めることが求められています。
食品工場の食品廃棄物対策は、環境対応だけではありません。
・廃棄物処理費用の削減
・原材料の有効利用
・歩留まりの改善
・新たな資源活用
・工場全体の生産性向上
などにもつながります。
今回は、2026年時点で公開されている農林水産省・環境省などの情報をもとに、食品工場で発生する食品廃棄物をどのように減らし、資源として活用できるのかを解説します。
食品リサイクル法とは?
食品リサイクル法は、正式には「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」といいます。
食品の売れ残りや食べ残し、食品製造工程から発生する加工残さなどについて、発生抑制や再生利用を進め、最終的に処分される食品廃棄物を減らすことを目的としています。
対象となる食品関連事業者には、食品製造業だけでなく、食品卸売業、食品小売業、外食産業なども含まれます。
まずは食品廃棄物を「発生させない」
農林水産省では、食品廃棄物について「まず発生抑制することが第一」としています。発生してしまった食品廃棄物について、次の段階として再生利用を進めることが基本的な考え方です。
参考:
環境省「食品リサイクル法について」
参考:
農林水産省「食品リサイクルの推進」
食品工場では「リサイクルする前」が重要
食品廃棄物対策というと、
「飼料にする」
「肥料にする」
「バイオガスとして利用する」
といったリサイクル方法をイメージする方も多いかもしれません。
しかし、食品工場にとって最初に考えたいのは、「その食品廃棄物をそもそも発生させずに済まないか」ということです。
農林水産省でも、食品リサイクル法における食品廃棄物等の発生抑制を、食品関連事業者が取り組むべき最優先事項としています。
食品工場では、まず製造工程のロスを把握し、そのうえで発生してしまった食品廃棄物の再生利用を検討することが重要です。
発生そのものを減らす
↓
食品として活用できないか検討する
↓
発生した食品廃棄物を再生利用する
食品工場でできる5つの食品廃棄物対策
ここからは、食品工場で検討できる代表的な食品廃棄物対策を紹介します。
1.製造ロスを見える化して発生を減らす
最初に取り組みたいのが、製造工程で発生しているロスの把握です。
食品工場では、
・原料のカットロス
・成形不良
・充填量のばらつき
・過充填
・包装不良
・重量規格外
・生産切替時の残留原料
・過剰生産による余剰品
など、さまざまな理由でロスが発生します。
まずは「どの工程で」「何が」「どれだけ」「なぜ発生しているのか」を把握しましょう。
歩留まりや廃棄量を工程ごとに記録することで、設備設定の変更、作業方法の改善、自動化など、具体的な改善につなげやすくなります。
2.食品として別の商品に活用する
安全性に問題がなくても、形状やサイズなどの理由で通常の商品として利用しにくい食品が発生する場合があります。
例えば、野菜や果物の端材、パンの端材、肉や魚の加工時に発生する部分、製造工程で余った原料などです。
品質・安全性を確保できる場合には、
・スープやペーストへの加工
・調味料への利用
・菓子や冷凍食品への利用
・業務用原料としての活用
・別製品の原料としての活用
などを検討できる場合があります。
「廃棄するしかない」と判断する前に、食品として別の用途に活用できないかを検討することも大切です。
3.飼料として再生利用する
食品として活用することが難しい食品循環資源については、条件によって家畜用の飼料などへ再生利用できる場合があります。
食品リサイクル法では、食品循環資源を原材料とした飼料・肥料などへの再生利用を促進しています。
実際に再生利用を進める場合には、原料の種類や安全性、異物混入、保管・輸送方法などを確認したうえで、リサイクル事業者などと連携して進める必要があります。
4.肥料として農業へ循環させる
食品残さを堆肥化し、農業で利用する肥料などへ再生する方法もあります。
食品工場から発生した食品循環資源を肥料として再生し、その肥料を利用して農産物を生産し、再び食品として利用する。
こうした資源循環の仕組みは、食品リサイクル法の「食品リサイクルループ」として制度化されています。
食品工場・食品関連事業者
↓
食品循環資源
↓
飼料・肥料などへ再生利用
↓
農畜水産物を生産
↓
再び食品として利用
参考: 農林水産省「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)認定制度」
5.エネルギーとして活用する
食品廃棄物をエネルギーとして活用する方法もあります。
代表的な方法のひとつが、メタン発酵によるバイオガス化です。
食品廃棄物などの有機物を発酵させ、発生したバイオガスを発電や熱などに活用することができます。
すべての食品廃棄物に適しているわけではありませんが、食品としての利用や飼料・肥料への再生利用が難しい場合などに、選択肢のひとつとなります。
参考: 環境省「食品リサイクル関連」
2029年度の食品製造業の目標は95%
2025年3月には、食品リサイクル法に基づく新たな基本方針が策定されました。
この中で、2029年度までの業種別の再生利用等実施率について、新たな目標が設定されています。
食品製造業:95%
食品卸売業:75%
食品小売業:65%
外食産業:50%
食品製造業では、4業種の中で最も高い95%という目標が設定されています。
なお、この数値は個々の食品工場に対して一律に95%を義務付けるものではなく、業種全体で達成を目指す目標です。
食品製造業では再生利用の取り組みが進んでいるからこそ、これからはリサイクル率だけでなく、食品廃棄物の発生量そのものを減らすことも重要になります。
参考:
近畿農政局「食品リサイクル」
※同ページから、食品リサイクル法に基づく新たな基本方針および再生利用等の目標を確認できます。
食品廃棄物削減で、まず確認したい5つのこと
食品工場で食品廃棄物対策を進める場合、最初から大規模なリサイクル設備を導入する必要はありません。
まずは、自社工場で食品廃棄物がどのように発生しているのかを整理しましょう。
1.どれだけ発生しているか
年間、月間、1日単位などで食品廃棄物の重量を把握します。
可能であれば、廃棄処理にかかっている費用も確認しておきましょう。
2.どの工程から発生しているか
原料受入、下処理、加工、充填、包装、検査など、工程ごとに発生量を分けて確認します。
3.なぜ廃棄されているか
加工残さ、規格外、過剰生産、設備トラブル、重量不良、包装不良など、発生原因を分類します。
4.発生量を減らせないか
設備設定、作業方法、生産計画、製造条件などを見直し、発生そのものを減らせないか検討します。
5.発生したものを資源化できないか
それでも発生する食品廃棄物について、食品としての再利用、飼料化、肥料化、エネルギー利用などの可能性を検討します。
量を把握する
↓
発生工程を特定する
↓
原因を分析する
↓
発生量を減らす
↓
残ったものを資源化する
食品廃棄物を「処理コスト」から「資源」へ
食品工場から発生する食品廃棄物は、そのまま処理すれば工場にとってコストになります。
一方で、発生原因を分析して工程を改善したり、食品として別の用途に活用したり、飼料・肥料・エネルギーとして再生利用したりすることで、廃棄物を減らすことができます。
食品廃棄物削減によって期待できること
・原材料の有効利用
・歩留まり改善
・廃棄処理費用の削減
・製造工程の改善
・資源循環の促進
食品廃棄物対策を「環境活動」だけで終わらせず、食品工場の生産性改善のひとつとして捉えることが重要です。
まずは自社工場で、 「何を、どの工程で、どれだけ捨てているのか」 を把握するところから始めてみましょう。
まとめ
食品工場で発生する食品廃棄物は、すべてが「捨てるしかないもの」ではありません。
食品リサイクル法では、まず食品廃棄物の発生を抑えることを重視し、そのうえで発生した食品循環資源の再生利用を進めています。
発生させない
↓
食品として活用する
↓
飼料・肥料などへ再生利用する
↓
エネルギー利用などを検討する
2029年度の再生利用等実施率について、食品製造業では95%という目標が設定されています。
これからの食品工場では、食品廃棄物を単なる「廃棄物」として処理するだけでなく、発生を減らし、残ったものを資源として活かすという考え方がますます重要になるでしょう。
参考資料
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