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食品工場の結露対策徹底解説コラム
食品工場での品質管理は、製品の安全性を確保する為に欠かせません。その中でも、見逃されがちなのが「結露」です。結露は食品工場内の衛生状態や製品品質に大きな影響を与える可能性があり、適切な対策を取らなければ、大きな問題を引き起こす事があります。この記事では、食品工場における結露対策について、最新の技術や実際の事例を交えながら解説・紹介します。
食品工場の結露対策とは?
結露とは、空気が温度の低い物体に触れるなどにより冷やされることによって、空気の水蒸気を含むことができる許容範囲が下がり、その限界を超えた水蒸気が液体の水に変わる現象を言います。
食品工場内では、冷蔵・冷凍設備や冷却ライン周辺で頻繁に発生しやすく、衛生管理の観点から無視できない問題です。結露が放置されると、水滴が製品や作業環境に落ち、カビや細菌の繁殖を助長し、最悪の場合、食品の安全性に直接的なリスクを与えることになります。また、設備の錆や腐食の原因となり、長期的には設備の寿命を縮める可能性もあります。
結露が発生する理由
面積が広く、空調効率が悪い
工場や倉庫のように面積が広い建物では、空調設備の効きが悪く湿気がこもりやすく、結露が発生しやすくなります。工場、倉庫は建物内の天井が高い、さらに間仕切りが少なく空間が広い構造上、空調効率が悪くなる傾向があります。
空気の循環が悪いと室内に湿気がこもり、結露が発生しやすくなります。倉庫や工場は構造上の問題で湿気がこもりやすいので、小まめな換気を心がけましょう。
窓が少なく、換気がしづらい
工場や倉庫では、構造上、窓が少なく換気効率が悪いため、外気の流入が制限され、湿気がこもりやすくなります。これにより、屋内の結露が発生する恐れがあるため、可能な限り窓を開けて外気を取り入れ、空気を循環させることが重要です。ただし、食品工場などでは、窓を開けての換気が難しい、もしくは窓がそもそもない場合があります。その際は、屋根や床の断熱性能を高めるなどして結露を発生させない対策を講じることが必要です。また、電子機器や精密機器は湿度に弱いため、湿度や温度を小まめにチェックすることが不可欠です。特に、外気を取り込むことが難しい場合は、業務用の除湿剤や大型除湿器を導入し、床や屋根からの湿気対策を行いましょう。
工場の結露対策の基本原則
結露対策には、物理的な対策と管理体制の強化の両方が求められます。物理的な対策としては、適切な断熱材の使用や、工場内の空調システムの最適化が挙げられます。
物理的な対策は以下になります。
シーリングファンを天井に設置する
工場や倉庫は室内に湿気がこもりやすい構造のため、空気を循環させることが大切です。そこで、天井にシーリングファンを設置し常に空気を循環させる対策は非常に有効です。
シーリングファンとは、天井に取り付ける大型の扇風機のことです。大きな羽根が天井でゆっくりと回転することで、室内の空気が循環し、湿度対策に役立ちます。さらに室内の空気を循環させることで、室内の温度と湿度を均一にできるようになり、結露ができにくくなります。
遮熱シートを天井や壁に施工する
遮熱シートを天井や壁に施工する方法も、結露には非常に有効です。
結露は、前述の通り温度差から発生します。そのため、遮熱シートを天井や壁に施工し、室内・室外の温度差がない状態にすることで、結露を防止することができます。遮熱シートが直接室内の空気と触れてしまうと結露が起きてしまうため、室内の空気と触れないように注意して施工する必要があります。
結露防止シートの施工
結露対策には、結露の発生を防ぐ結露防止シートを使うと効果的です。結露防止シートとは、窓に貼ることで断熱性を高め、結露を防ぐシートのことです。
結露は室内と室外の温度差で発生するため、結露防止シートにより室内と室外の温度差を軽減させ、結露の発生を抑えることが可能となります。ただし、工場や倉庫のような広範囲な場所だと、結露防止シートだけでは湿気を防ぎきれないことも考えられます。
そのため、窓を開けて小まめな換気、または除湿機を使うなどその他の湿気対策も行い、結露防止に努めましょう。
管理体制の強化としては、定期的な点検や清掃、結露が発生しやすい場所のモニタリングを行うことが大切です。これにより、結露が発生する前に予防措置を講じることができ、問題が大きくなる前に対処することが可能になる。
最新技術で結露を撃退
結露対策には、従来の方法に加えて、最新のテクノロジーを活用したソリューションも効果的です。例えば、結露を検知するセンサー技術は、結露が発生する前に早期に警告を発し、対策を講じることができます。これにより、工場内の結露リスクを低減させ、迅速な対応が可能となります。
また、最近では結露を抑制するための特殊コーティング剤も開発されています。これらのコーティング剤は、表面に塗布することで結露が発生しにくい環境を作り出し、衛生的な工場環境を維持するのに役立ちます。さらに、AIを活用した湿度管理システムも注目されています。これにより、リアルタイムで工場内の湿度を監視・制御し、結露発生のリスクを大幅に低減することができます。
各企業の具体的事例
結露防止の具体的な取り組み
キリンエンジニアリング
取り組み:
・低温の部屋では6面全てを断熱材を囲む
・断熱扉やオーバースライダーは、温度帯によって床下や枠周りにヒーターを設置する
・断熱パネル貫通部や切欠部に隙間を作らない
・パネルのジョイントや吊金具、シャッターの補強鉄骨には断熱材を吹付けヒートブリッジを防止する
昭和鉄工株式会社
取り組み
・除湿は空調機(エアコン等)による冷却除湿方式
・低温除湿に有効なのは吸着式の除湿方法
シリカゲルやゼオライトなどの乾燥剤(デシカント)を使って水分を吸着する方法
まとめ
食品工場における結露対策は、製造プロセスにおける品質管理や衛生管理に直結する、非常に高く評価される重要な課題です。最新の技術を駆使し、物理的な対策と管理体制の強化を組み合わせることで、冷たい表面に結露が発生するリスクを最小限に抑えることができます。また、結露対策はコスト削減や持続可能な経営にも大きく寄与し、現代の食品工場にとって不可欠な要素となっています。この記事を参考に、読者が自社の結露対策を見直し、さらなる改善を図ることで、より安全で持続可能な食品工場運営を実現することを願っています。結露対策により、食品工場が未来に向けてさらなる発展を遂げることを期待しています。
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