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食物アレルギーとは?食品事業者が気を付けるべきこと!コラム


今回は食品事業者が食物アレルギーについて気を付けるべきことを解説していきます。

食物アレルギーとは?食品事業者が気を付けるべきこと!

アレルギーとは、体の免疫システムが、食物や花粉(アレルギー物質)など無害な物に対して過剰に反応する事によって起こり、喘息や皮膚炎、花粉症など人によって原因や症状は大きく変わります。症状としては、皮膚のかゆみ、喘息、胃腸障害、そして重篤な場合にはアナフィラキシーショックなどが含まれます。なんてことない物質が体に悪影響を及ぼす可能性があり、決して無視することはできません。

その中でも、食物アレルギーとは、実際に食べる以外にも、原因食材と同じ設備で調理されている食品を食べただけで発症する場合もあり、食中毒や異物同様注意が必要です。

 主要なアレルゲン

アレルギーを引き起こす物質をアレルゲンといい、食物アレルギーであれば、原因食材のタンパク質がアレルゲンになることが多いです。

表示義務8品目

また、食品衛生法では、特定原材料として以下の8品目が義務表示とされています。これらのアレルゲンを含む原材料を使用する場合、適切な管理と表示が必要です。

・乳

・小麦

えび

かに

そば

落花生

くるみ


表示推奨20品目

表示義務はありませんが、特定原材料に準ずるものとして、以下の20品目は可能な限り食品表示をするよう推奨されています。

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、ゼラチン、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご


 食物アレルギー事故を起こさない対策は「つけない」

食中毒予防の3原則は、「つけない」「増やさない」「なくす」ですが、アレルゲンは化学物質のため、増殖することはなく、また、一度付着したアレルゲンは加熱や薬剤、すすぎなどでは除去することができません。

そのため、食物アレルギー事故を防ぐには、いかに他の食材にアレルゲンをつけないかが重要になります。

実際の食品製造の現場でのアレルゲンの管理ポイントを説明していきます。


食品製造・加工業者における食品アレルゲン管理のポイント


1.アレルゲン管理の実施体制

社内に食品安全文化を根付かせる、つまりアレルゲン管理の重要性や取組方針を共通認識として社内の全ての関係者に定着させることが欠かせません。

そのために、まずは経営トップが、アレルゲン管理に一丸となって取り組む必要性を従業者に教育し、アレルゲン管理及び、各々の役割の重要性について意識づけを行いましょう。

また、円滑な報告・連絡・相談、アレルゲン管理の実施に必要な人材の確保・製造ラインや機械器具等も重要です。


2.アレルゲン管理方法の検討

アレルゲンの管理の第一歩は施設内で取り扱う原材料に含まれるアレルゲンを正確に把握するところから始まります。

原材料のアレルゲン含有状況を正確に把握し、アレルゲンを一覧できる表を作成します。また、原材料に変更があった場合は、情報伝達が確実に行われるようにします。

施設内での交差接触(アレルゲンが意図せず混入すること=コンタミネーション)対策を検討し、施設内のアレルゲン情報を整理したアレルゲンマップを作成することが重要です。


 3.原材料取扱時の対策

製造ライン

アレルゲンを扱う製造ラインを専用化又は、十分に離して設置できないか検討し、製造ラインを十分に離せない又は、専用かできないときは製造時間を分けます。製造に使う機械器具や容器の専用化、機材をしっかり洗浄するなどの対策が必要です。

受け入れ時

原材料の受入時に包材の破損がないか確認と原材料表示をチェックし、アレルゲン食品とそうでない食品を別々に受け入れるようにします。アレルゲンを含む原材料を保管するときは、含まれるアレルゲンを分かりやすく識別表示し、そのアレルゲンを含まない原材料とは離しておきます。特に、小麦やそば粉などの粉体は、密閉空間内に充満し、他の食品に付着するおそれがあるので、特に気を付けましょう。

保管時

アレルゲン食品と、そうでない食品は分け、中身が漏れ出さないように密閉容器に入れて保管してください。誤使用を防ぐため、アレルゲン食品にはマーキングやタグ表示などを行い、中身が明確に分かるようにしましょう。

アレルゲン食品とそうでない食品を同じ場所で保管する場合は、アレルゲン食品の下にアレルゲンを含まない食品を置かないようにしてください。

牛乳とチーズなど、同じアレルゲン食品は一緒の場所に保管しても問題ありません。


 4.洗浄・清掃時の対策

一度付着したアレルゲンは加熱や薬剤では除去できず、洗浄でのみ除去することができます。アレルゲンをつけないことが最重要ですが、付着してしまった場合、洗浄作業が食物アレルギー事故を防ぐ最後の砦となります。食品が直接触れる機械器具はもちろん、アレルゲンが付着するおそれのある、床なども確実に洗浄作業を行いましょう。洗浄時にアレルゲンを広げないために、他のツールと色分けをした専用の洗浄ツールを用意することをオススメします。また、確実な洗浄を行うために、作業手順書を作成し、従業員に周知徹底させましょう。


食品工場における影響と被害

食品工場におけるコンタミネーション(異物や有害物質、アレルゲンなどが製品に意図せず混入すること)は、消費者の健康に深刻な影響を及ぼし、企業にも大きな被害をもたらします。


 1.健康被害

アレルゲンや病原菌が食品に混入した場合、消費者に食中毒やアレルギー反応などの健康被害を引き起こす可能性があります。特にアレルゲンによる反応は、重篤な場合アナフィラキシーショックに至り、命に関わる危険性があります。


 2.製品リコールと経済的損失

該当製品のリコールが必要となります。リコールには多大な費用がかかり、製品の回収、廃棄、顧客対応などで大きな経済的損失を被ることになります。また、リコールの発表は企業の信用にも悪影響を与え、長期的な損害を招きます。

 3.生産ライン停止と遅延

製造ラインを一時停止して原因究明や清掃、再検査を行う必要があります。これにより生産スケジュールが大幅に遅れ、納期の遅延や供給不足が発生することもあります。特に大規模な工場では、影響が広範囲に及ぶため、損失が増大します。


 4.ブランドイメージの低下

消費者に対する食品の信頼性が低下することは、長期的に企業のブランドイメージを損なう可能性があります。一度失われた信頼を取り戻すことは難しく、売上の減少や顧客離れが続くことになります。


 5.法的責任と罰則

健康被害が発生した場合、企業は法的責任を問われ、損害賠償や罰金の対象になることがあります。さらに、食品衛生法や関連する規制違反として、行政からの指導や制裁を受ける可能性もあります。



まとめ

食物アレルギー対策は消費者の命に関わる事なのでとても重要です。消費者の健康や企業の経済的利益に重大な影響を与えるため、徹底した管理が必要です。特に加工食品において、最も重要な対策は「つけない」ことが最も重要です。アレルゲンが他の製品に混入しないよう、徹底した管理と衛生対応を講じることで、アレルギー事故のリスクを減らし、安全な製品を消費者に提供することが可能です。食の安全を守り、消費者に提供する際に、これらの対策をしっかりしましょう。


参考文献

・日本水産資源保護協会(2011)「東京都健康安全研究センター」

https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/k_shokuhin/allergy/(参照 2024-09-019)


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