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2025年5月31日までに対応必須!食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度に向けた具体的な対策とは?コラム


近年、食品の安全に対する関心が高まり、食品用器具や容器包装に使用される化学物質の規制も強化されています。日本では、2020年6月に「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度」が導入され、2025年5月31日までの対応が求められています。このポジティブリスト制度は、消費者の健康を守るために制定された重要な制度です。この記事では、ポジティブリスト制度の基本概要、対応を急ぐ理由について解説します。

ポジティブリスト制度とは?

ポジティブリスト制度とは、食品用器具や容器包装に使用できる化学物質をあらかじめリスト化し、そのリストに記載された物質のみを使用することが許される制度です。この制度の目的は、食品と接触する器具や包装材に含まれる化学物質が食品に移行し、消費者の健康に悪影響を与えるリスクを最小限に抑えることです。

従来、日本では食品用器具や容器包装の材料に使用される化学物質に関する規制は一部のみで、リスクが高いと判断された物質のみを制限する「ネガティブリスト方式」が採用されていました。しかし、この方式では新しい化学物質の安全性を確認するまでに時間がかかることや、未確認の化学物質が食品に移行するリスクが存在するという問題がありました。

これを受けて、より包括的で安全な「ポジティブリスト制度」への移行が決定されました。この制度では、リストに掲載されていない化学物質の使用は禁止され、企業は安全性が確認された物質のみを使用することが義務付けられています。

ポジティブリスト制度の対象範囲

ポジティブリスト制度の対象となるのは、食品と接触する可能性のある以下のような器具や包装材料です。

プラスチック製品

食品用の容器、包装フィルム、使い捨てカトラリーなど。

ゴム製品

密封用のゴムパッキン、ゴム製の調理器具の一部。

シリコーン製品

シリコーン製の調理器具や食品保存容器。

その他

コーティング材、接着剤、印刷インキなど、食品と接触する器具や容器包装に使われる材料全般。


これらの製品に使用される化学物質が、ポジティブリストに記載されていることが必要です。また、プラスチック以外の材質(紙、金属、ガラスなど)は、現段階では対象外ですが、今後の規制拡大も考慮されています。

ポジティブリスト制度への対応を急ぐ理由

ポジティブリスト制度は、消費者の安全を守るために設けられた規制です。この制度では、食品と接触する可能性のある器具や容器包装に使用される化学物質をリスト化し、そのリストに掲載されていない物質の使用を禁止しています。これは従来の「ネガティブリスト方式」から大きく変わり、より包括的な規制体制です。


企業に求められる対応の主な理由

食品の安全性向上

化学物質のリスクを最小限に抑え、消費者が安全に食品を利用できる環境を整える。

法令遵守

ポジティブリストに記載されていない物質を使用している場合、法的な罰則や製品販売の停止などのリスクが生じる。

企業の信頼性向上

適切な対応を行うことで、安全性を確保し、企業の信頼性を高めることができる。


対応すべき具体的な取り組み

2025年5月31日までに企業が行うべき対応には、製品に使用する化学物質の見直しや、サプライチェーンとの連携強化が含まれます。以下では、各取り組みについて詳しく説明します。

原材料の確認と化学物質の見直し

まず最初に行うべき重要なステップは、自社製品に使用している化学物質がポジティブリストに含まれているかどうかの確認です。ポジティブリストには、食品用器具や容器包装に使用できる化学物質が詳細に記載されています。企業は、このリストに基づいて自社製品を精査し、以下の点を確認する必要があります。

使用している化学物質がリストに記載されているか

リストに掲載されていない化学物質は使用できません。これらの物質を使用している場合は、速やかに代替物質への移行が必要です。

使用制限がないか

リストに記載されている化学物質でも、使用量や用途に制限がある場合があります。適切な条件で使用されているか確認が必要です。


代替物質の選定

ポジティブリストに含まれていない化学物質を使用している場合、適切な代替物質の選定が必要です。代替物質の選定には、以下の要素を考慮します。

安全性

代替物質がポジティブリストに含まれているかどうか、またその物質が食品に与える影響やリスクを十分に確認する必要があります。

製品の品質保持

代替物質を使用した際に製品の品質が維持されるかを評価し、性能や耐久性が従来の材料と同等以上であることを確認します。

コストと供給の安定性

代替物質のコストや供給の安定性も重要です。特に中小企業ではコスト増加の影響を受けやすいため、コストパフォーマンスを考慮した選定が求められます。

これらの要素をバランスよく評価し、適切な代替物質を選定することが、長期的な成功のカギとなります。

製造工程の見直し

新しい化学物質や代替物質を使用する場合、製造プロセスにも影響が出る可能性があります。そのため、以下の点についても見直しが必要です。

製造工程の変更

新しい材料に合わせて製造工程を変更する必要がある場合、現場スタッフのトレーニングや機械の調整が必要です。

品質管理体制の強化

新しい材料の品質を適切に管理するため、品質管理体制の強化も欠かせません。検査項目の追加や、サプライヤーからの安全データシート(SDS)を活用した確認作業が求められます。


サプライチェーンとの連携

ポジティブリスト制度に対応するためには、自社製品の材料に関する情報を正確に把握することが重要です。そのため、サプライチェーンとの連携を強化し、以下の取り組みを進めましょう。

サプライヤーからの情報収集

使用している材料や化学物質がポジティブリストに対応しているかを確認するため、サプライヤーからの情報提供を依頼します。必要に応じてSDSや証明書を取得し、材料の安全性を証明する文書を整備します。

定期的な見直し

サプライチェーンに変更があった場合や、新たな材料を採用する場合には、定期的な見直しと情報の更新を行います。

2025年5月31日までの猶予期間中の企業へのアドバイス

猶予期間は2025年5月31日までと限られており、適切な対応が遅れると罰則や製品販売の停止などのリスクがあります。したがって、早期の取り組みが重要です。


早めの取り組みがもたらすメリット

リスクの軽減

期限が迫るにつれて、対応に追われることを避け、計画的に準備を進めることでリスクを最小限に抑えることができます。


コスト管理

早期に対応を開始することで、材料の切り替えや製造プロセスの調整に時間をかけ、無駄なコストの発生を抑えることができます。

競争力の向上

消費者に対して安全性を強調できる製品を早期に市場に投入することで、競合他社に対して優位性を持つことができます。


消費者に向けた情報提供

ポジティブリスト制度に対応した製品を提供することは、消費者にとって大きな安心材料です。企業は消費者向けに、安全性に対する取り組みをアピールすることも重要です。

ウェブサイトや製品パッケージでの情報公開

ポジティブリスト対応製品であることを、ウェブサイトや製品パッケージで明確に示すことで、消費者の信頼を得ることができます。

透明性のあるコミュニケーション

化学物質に対する消費者の関心が高まっているため、使用されている材料や製造プロセスについて、透明性のある情報提供を行いましょう。

まとめ


2025年5月31日までに食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度に対応するためには、原材料の見直しや代替物質の選定、製造プロセスの改善、サプライチェーンとの連携など、多岐にわたる取り組みが必要です。企業が早期に対応を進めることで、法令遵守だけでなく、消費者の信頼を得ることができ、競争力を高めることが可能です。全社一丸となって、適切な対応策を講じていきましょう。


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