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美味しいパンを焼こう!業務用オーブン選びの基本を徹底解説コラム


 パンの命ともいえる「焼成工程」。どんなに良いレシピ開発、パン生地の調整、発酵ができても、オーブン選びを間違えると美味しいパンには仕上がりません。本記事では、業務用オーブンの選び方や導入のポイント、さらには成功事例をご紹介します。オーブンの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください!

美味しいパン作りに欠かせない業務用オーブンとは

パン作りにおいて美味しさを左右する要素は大きく分けて生地の品質、発酵の状態、焼成工程の3つが挙げられます。このうち、焼成工程は業務用オーブンの力が非常に重要となります。

焼成工程がパンの品質を決める理由

 焼成工程では、パンの内部にある水分が蒸発し、グルテンが固まってパンの形状が固定されます。同時に、表面のデンプンがキャラメリゼして香ばしい焼き色がつき、クラストがパリッと仕上がります。焼成時間や温度が少しでもズレると、表面が焦げたり内部が生焼けになるなど、理想のパンとはかけ離れた仕上がりになってしまいます。そのため、焼成工程は職人の技術と業務用オーブンの性能によって支えられています。

業務用オーブンが持つ焼成の強み

 業務用オーブンは、パン作りに最適な焼成環境を提供するための多彩な機能を備えています。例えば、庫内の温度を均一に保つ機能や、蒸気を加えてパンの膨らみを助けるスチーム機能は、家庭用オーブンにはない大きな強みです。さらに、パンの種類ごとに焼成モードを設定できる機能もあり、ハード系パンや食パンなど、異なる特性を持つパンに合わせた最適な焼成が可能です。




業務用オーブンと家庭用オーブンの違い

業務用オーブンと家庭用オーブンには、機能面や性能において大きな違いがあります。パンの焼成を本格的に行いたい場合や、生産量が多いパン屋やベーカリーでは業務用オーブンの導入が必須です。ここでは、業務用オーブンと家庭用オーブンの主な違いについて詳しく見ていきましょう。

温度の安定性

 業務用オーブンは庫内の温度が均一に保たれるため、大量にパンを焼いても品質にばらつきが出にくい設計になっています。焼成中の温度変動が少ないため、焼きムラが発生しにくく、理想的な焼き上がりを実現します。さらに、業務用オーブンは「予熱」機能が強力で、短時間で庫内を適温に温めることができるため、パンを焼く前の準備がスムーズです。一方、家庭用オーブンでは扉の開閉や焼成量の増加により熱が逃げてしまい、温度が不安定になりやすく、仕上がりにムラが出ることがよくあります。

焼成力の強さ

 業務用オーブンは高温かつ短時間で一気に焼き上げることが可能です。これにより、クラスト(表皮)がしっかりと焼き上がり、パンの香ばしさと食感を引き出します。特にハード系パンなど、高温での焼成が求められるパンには業務用オーブンの性能が不可欠です。家庭用オーブンでは焼成力が限られるため、外側は焦げやすいのに中身は焼き切れない、といった問題が発生しやすいです。

大量生産対応

 業務用オーブンは、一度に多くのパンを効率的に焼き上げることができます。大型の庫内や複数段の設計により、限られた時間で大量のパンを焼成することが可能です。これはパン屋にとって、生産効率を高め、顧客の需要に応える上で重要な要素です。対して家庭用オーブンやオーブンレンジは容量が小さいため、一度に焼ける量が限られ、店舗のような大量生産には不向きです。オーブンレンジは便利な一方で、庫内が狭く、大量焼成には適さない点が課題です。

耐久性と機能性

業務用オーブンは毎日何十回と稼働することを前提に設計されており、耐久性が非常に高いです。また、スチーム機能や温度管理機能、焼成モードの多様性など、パン作りに必要な機能が豊富に備わっています。家庭用オーブンは耐久性や機能面で簡易的な設計が多く、長時間・高頻度の使用には向いていません。

 このように、業務用オーブンはパン作りの質を高め、生産性を向上させるために特化した設備であり、本格的なパン屋を目指すのであれば欠かせない存在です。家庭用オーブンでは対応しきれない部分をカバーし、パン作りをサポートしてくれるのが業務用オーブンの最大の魅力です。


業務用オーブンの種類と用途

 業務用オーブンにはいくつかの種類があり、それぞれ得意なパンや特徴が異なります。用途に応じて最適なオーブンを選びましょう。

デッキオーブン

特徴

 高温・均一な焼成が可能であり、庫内全体が均一に熱せられることで、焼きムラの少ない仕上がりを実現します。特に遠赤外線効果によってパンの表面がパリッと仕上がり、内部のクラムはしっとりとした食感になります。

おすすめのパン

 ハード系パン(バゲット、カンパーニュ、フランスパンなど)や本格的な食パンに最適です。焼き色が美しく、香ばしい香りを引き出すことが得意です。

メリット

 クラスト(表皮)の仕上がりが非常に良く、見た目も味も本格的なパンが焼けます。また、焼成中の温度が安定しているため、高品質なパンを安定して提供できます。

デメリット

 設置スペースが広く必要なため、大きな厨房が必要です。また、初期コストが高めであり、導入にはある程度の予算が必要になります。


コンベクションオーブン

特徴

 庫内に熱風を循環させてパンを焼き上げる方式のオーブンです。焼成中に熱風がパン全体に均一に当たることで、焼きムラが少なく安定した品質を維持できます。比較的小型な機種も多く、小規模店舗にも導入しやすい点が特徴です。

おすすめのパン

 ソフト系パン(食パン、ロールパン)や焼き菓子(マフィン、クッキーなど)に最適です。焼成ムラが少ないため、見た目が均一な製品を作りやすいのがポイントです。

メリット

 小型で導入しやすい機種が多く、スペースや予算が限られている店舗にも適しています。また、大量生産にも対応できるため、日々の効率を大幅にアップさせることが可能です。

デメリット

 ハード系パンの焼成にはあまり向いておらず、クラストの仕上がりが十分に得られないことがあります。また、熱風が強いため、繊細な製品には注意が必要です。

スチームオーブン

特徴

 焼成中に蒸気を発生させることで、パンの表面を適度にしっとりと仕上げることができるオーブンです。水分を加えながら焼き上げるため、パンの膨らみを助け、見た目もふっくらと美しい仕上がりになります。

おすすめのパン

 クロワッサン、ブリオッシュ、食パンなど、水分を保ちながら焼き上げたいパンに最適です。また、外側がパリッとしつつ中はしっとりしたパンを作りたい場合にも有効です。

メリット

 蒸気を加えることでパンの水分保持が可能となり、品質の高いパンが焼けます。クラムの柔らかさやふんわりとした食感を維持することができ、パンの保存性も向上します。

デメリット

 機器のコストが高めであり、初期投資の予算が必要です。また、蒸気機能のメンテナンスが重要で、日常的な手入れが欠かせません。

失敗しないオーブン選びのポイント

 業務用オーブンは決して安い買い物ではありません。導入後に後悔しないために、以下のポイントをしっかり押さえましょう。

生産量と設置場所の把握

1日の焼成量

 1日数十個程度のパンを焼く小規模店舗であれば、コンパクトなコンベクションオーブンが適しています。一方、大量生産が求められる店舗では、デッキオーブンやリールオーブンのような高性能な設備が必須です。

店舗規模と設置スペース

 オーブンはサイズが大きく、厨房内のスペースを大きく占めるため、事前に寸法や排気環境を確認しておきましょう。特に排気ダクトや電源設備の工事が必要になるケースもあるため、余裕を持った計画が求められます。

焼成の仕上がりとパンの種類

 焼成の仕上がりは、オーブンの種類によって大きく変わります。ハード系パンを焼く場合は、デッキオーブンが適しており、しっかりとしたクラストを実現します。一方、ソフト系パンや焼き菓子には、焼成ムラが少ないコンベクションオーブンが最適です。また、店舗で扱うパンの種類が多い場合は、複数の機能を備えたオーブンの導入も検討しましょう。スチーム機能付きのオーブンであれば、幅広い製品に対応しつつ品質を高めることが可能です。

導入事例から学ぶ成功の秘訣

 実際に業務用オーブンを導入し、課題を解決したパン屋の事例を紹介します。

事例①:ハード系パン専門店 A店

課題

 A店は粉と水にこだわったハード系パンを専門に扱う店舗でしたが、従来のオーブンでは焼きムラが発生し、パンの品質にばらつきが出てしまうという課題を抱えていました。特に、外側は焦げやすいのに中身は焼き不足という状況が続き、顧客満足度にも悪影響を及ぼしていました。

導入機器

高温・均一な焼成が可能なデッキオーブンを導入し、ハード系パンの品質向上とクラストのパリッとした仕上がりや均一な焼き上がりを実現することによる顧客満足度の向上を目指しました。

結果

 デッキオーブン導入後、パンの品質が安定し、焼きムラが解消されました。クラストがパリッと仕上がり、クラムもふんわりとした食感が実現しました。結果として、顧客からの評価が向上し、リピーターが増加。生産効率も改善され、売上が20%増加しました。

事例②:小規模ベーカリー B店

課題

 ふわふわでシンプルな蒸しパンが人気の小規模ベーカリーB店では、業務用オーブンの導入を検討しているものの設置スペースや導入コストに課題があり家庭用オーブンを使用してパンを生産していました。いたため、生産量や焼き上がりに限界を感じていました。

導入機器

 コストを抑えつつ生産効率を向上させるため、小型のコンベクションオーブンを導入しました。コンパクトな設計で厨房の限られたスペースにも設置が可能です。

結果

 小型コンベクションオーブン導入後は、一度に多くのパンを均一に焼成できるようになりました。焼きムラが解消され、製品の見た目も向上したことで顧客満足度がアップ。さらに、1日あたりの生産量が増加し、顧客数も伸びたことで売上に好影響を与えました。


まとめ

 業務用オーブンはパンの仕上がりや生産効率を大きく左右する重要な設備です。選び方のポイントとして、生産量や設置スペース、焼きたいパンの種類に合ったオーブンを選ぶことが大切です。また、機能性やランニングコスト、アフターサポートも確認し、長期的な視点で最適なオーブンを導入しましょう。実際の導入事例からも分かるように、適切なオーブン選びは売上や顧客満足度の向上にもつながります。自店にぴったりの業務用オーブンを見つけて、美味しいパンをお客様に届けましょう。


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