news

生鮮食品の表示について~注意したい3つのポイント~コラム


 食品製造を行う事業者にとって、生鮮食品の取り扱いと表示は非常に重要なテーマです。消費者が商品を手に取るとき、表示ラベルの情報が購買の決め手になることも多く、表示に関する法律やルールをしっかり理解することは企業にとってとても重要であり対策が必要です。本記事では、生鮮食品の表示にまつわる基本的なルールと、現場で押さえておくべき具体的なポイントを「法律遵守」、「表示の正確性」、「持続可能性」の3つの柱に分けて分かりやすく解説していきますので、初心者の方もぜひ参考にしてください。

生鮮食品について

生鮮食品とは?

生鮮食品とは、野菜や果物、肉、魚などの、新鮮な状態で流通する食品のことを指します。保存料や添加物を使用せず、自然のままの状態で販売されるため、鮮度が低下しやすく、腐敗が早いことが特徴です。そのため、取り扱いや保存方法が特に重要になります。

 保存が適切でないと微生物が繁殖し、食中毒のリスクが高まります。野菜や果物は水分蒸発で鮮度を失い、魚や肉は酸化や細菌で劣化が早まります。温度管理が不十分だと、細菌が増える温度帯(5℃~60℃)で安全性が損なわれ品質低下に繋がります。

加工食品との違い

 加工食品は生鮮食品とは異なり、保存性を高めたり風味を向上させるために加工が施された食品を指します。例としては、缶詰や冷凍食品、レトルト食品が挙げられます。加工食品は保存期間が長く、調理の手間が省ける一方で、食品添加物や保存料が使用されることが多い点が特徴です。

 以下に、生鮮食品の食品表示に関して注意すべきポイントを「法律遵守」、「表示の正確性」、「持続可能性への配慮」の3つの観点から詳しく解説します。

1. 法律遵守:食品表示法への適合

食品表示法とは?

食品表示法は、消費者に正確な情報を提供するために定められた法律で、すべての食品製造業者が従うべき重要な規制です(詳しい内容はコチラ)。この法律は、食品の安全性と透明性を確保することを目的としており、以下の情報を正確に表示することを義務付けています:

名称

 食品の種類(例:トマト、サーモンなど)。食品の特性を正しく表現することが求められます。また、特定の加工や栽培方法がある場合は、それらを明示することも含まれます。例えば、有機栽培や減農薬栽培などが該当します。

原産地

 主に採取・生産された国または地域を明示することで、消費者の購入判断を支援します。また、複数の地域・場所の原材料が混合されている場合には、それぞれの原産地を詳細に記載することが望まれます。

消費期限または賞味期限

 食品の品質を維持できる期間を正確に伝え、消費者の安全を確保します。消費期限は特に安全性を保証する期限であり、これを超えて消費することは推奨されません。一方、賞味期限は美味しく食べられる期間を示し、期限を過ぎても一定期間は品質を保つ場合があります。

保存方法

 冷蔵、冷凍、常温など、食品の品質を保つための条件を明示することで、品質低下を防ぎます。さらに、具体的な温度や湿度の範囲が重要な場合、それらを明記することで、保存状態の適切な管理を促すことができます。

法規制を遵守する重要性

 食品表示法を遵守することは、消費者との信頼関係を築く上で欠かせない要素です。正確な表示が消費者の信頼を獲得し、食品業界全体の品質向上にも寄与します。また、表示内容を見やすくし、理解しやすい形式で提供する努力が求められています。例えば、アイコンやカラフルなデザインを活用して視覚的にわかりやすくすることで、情報が消費者に伝わりやすくなります。

違反リスク

食品表示法に違反すると、罰則や行政指導を受ける可能性があります。この法律違反がもたらすリスクは非常に大きく、以下のような影響が考えられます:

罰金・行政処分

 違反内容に応じて、高額な罰金や製品の回収命令が科される場合があります。これは企業の財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

ブランドイメージの低下

 不適切な表示が発覚すると、消費者からの信頼を失うことになります。特に、SNSや口コミを通じた情報拡散により、企業イメージの回復には長期間を要する可能性があります。

市場シェアの減少

 信頼を失った企業は、顧客離れが進み、結果的に競合他社に市場シェアを奪われるリスクが高まります。これにより、売上の減少が長期的な問題となり得ます。

 これらのリスクを回避するためには、法規制を正確に理解し、定期的に表示内容を見直すプロセスを導入することが重要です。また、食品製造業者は従業員に対して法規制に関する教育を行い、全社的なコンプライアンス意識を高める努力が求められます。さらに、第三者機関を活用した表示内容の監査も有効な手段として検討すべきです。

【余談】食品表示法に関連する法律について

 食品表示法には関連する法律として、「食品衛生法」や「計量法」が挙げられます。食品衛生法は、食品の安全性確保を目的とし、製造工程や販売の際の衛生基準を規定しています。一方、計量法は、商品の内容量や重量表示の適正化を求める法律で、消費者が正確な情報に基づいて購入判断を行えるよう支援します。これらの法律と食品表示法は、相互に補完しながら食品の安全性や信頼性を高める役割を果たしています。

2. 表示の正確性:消費者への信頼を構築

表示情報の透明性

 消費者は、生鮮食品のラベルから多くの情報を得ています。例えば、 「有機野菜」や「地元産」などの記載がある場合、正確であることが求められます。不正確な情報を提供すると、消費者の信頼を失うだけでなく、法的な問題に発展する可能性があります。

実例 ~正確な情報提供の成功例~

 ある食品メーカーは、原産地表示を徹底し、生産者の顔写真と名前をラベルに記載しました。この取り組みは消費者からの信頼を得て、売上増加に成功しました。正確な情報は、消費者の購買意欲を高める効果があります。

3. 持続可能性への配慮:エシカルな表示

環境負荷を軽減する表示方法

 環境への配慮を示す食品ラベルが注目されています。「プラスチック削減」や「再生可能エネルギーで生産」などの情報は、消費者の購買選択に影響を与える重要な要素です。これらのラベルは、企業の環境への取り組みを消費者にアピールするための有効な手段となっています。具体的には、ラベル上で削減されたプラスチック量や、使用された再生可能エネルギーの比率を数値で明示することで、消費者により具体的な情報を提供することができます。

循環型経済を促進する取り組み

 食品業界では、廃棄物削減やリサイクル促進といった循環型経済への移行が進められています。例えば、再利用可能な包装材や、堆肥化可能な素材を使用したパッケージが注目されています。このような素材を採用し、ラベルにその旨を明記することで、企業は環境意識の高い消費者を惹きつけることができます。さらに、消費者に対してリサイクルの方法や適切な廃棄方法を案内する付加情報を提供することも効果的です。

実例 ~環境配慮型パッケージの活用~

 ある食品企業は、生鮮食品の包装にバイオマス素材を採用し、「環境配慮型」のラベルを表示しました。このラベルには具体的な取り組み内容として、使用する材料が持続可能な資源から供給されていること、製造過程で排出される二酸化炭素の削減努力が行われていることが記載されています。このように詳細な情報を明示することで、消費者は企業の取り組みに共感しやすくなります。その結果、この企業は環境意識の高い消費者層から高い支持を得ただけでなく、新規顧客の獲得にも成功しました。

表示を最適化するためのヒント

デジタルツールの活用

 QRコードを利用することで、消費者が詳細な情報を簡単に検索できる仕組みを構築します。例えば、生産地の動画や生産者のインタビュー、環境への取り組みなどを視覚的に訴求するサービスを提供することで、消費者に信頼と安心感を与えることができます。実際に、ある企業ではQRコードを導入し、生産者が語る栽培方法や環境保護の取り組みを紹介した結果、顧客満足度とリピート率が向上しました。このような事例は、デジタルツールを活用することで表示の可能性を広げる良い例といえます。

従業員教育

 定期的な研修を実施し、従業員が最新の法規制や規格、トレンドに精通するよう努めます。特に、食品表示法や環境配慮型ラベルの重要性についての理解を深めることで、全社的に表示の品質向上を目指します。また、具体的な事例を用いた実践的なトレーニングを行うことで、効果的な教育が可能です。

第3者機関の利用

 表示内容の適正性を確認するために、第三者機関による監査を活用します。これにより、法的リスクを低減し、消費者に対する透明性をさらに向上させることができます。さらに、認証マークや評価を取得することで、製品の信頼性をアピールできます。

まとめ

 生鮮食品の表示は、消費者の信頼構築やブランド価値向上に不可欠であり、食の販売においても大きな役割を果たします。以下の3点を意識し、適切な表示を行いましょう:

食品表示法の遵守:法律を正確に理解し、違反リスクを軽減。法規制に適合することで、消費者に安全な食材を提供できます。

表示情報の正確性:消費者に誠実で透明な情報を提供し、信頼を得るだけでなく、販売促進にも寄与します。

持続可能性への配慮:環境に優しい取り組みを表示でアピールし、エシカルな食文化を広げる役割を担います。

 これらの工夫により、企業の成長と消費者満足度の向上が期待できます。表示ラベルの改善は、単なる規制対応にとどまらず、食の販売市場で競争力を高める鍵となるでしょ

 FOOD TOWNでは他にも様々な食品業界に特化した内容を随時更新中です!

 まずは下記から無料会員登録をお願いします!

お問合せはこちらまで

Robots Town株式会社

〒532-0011

大阪府大阪市淀川区西中島6丁目6-17 RIC1st.ビル 501号室

TEL:06-4703-3098


関連リンク・資料