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原材料高騰のいま、食品工場が取り組む“固定費の見直し術”コラム

食品価格の上昇が止まりません。原材料費、燃料費、物流費などのコストが軒並み高騰するなか、価格転嫁が難しい食品工場では「利益が出にくい構造」に頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。とくに大手と比べて交渉力の弱い中小・地域食品工場では、売価を据え置いたまま、いかに利益を確保するかが喫緊の課題です。
そこで注目されているのが、「固定費の見直し」です。日々の業務で見落とされがちな電気代・ガス代、設備保守費、人件費といった“毎月必ず出ていく支出”にこそ、削減の余地があります。本記事では、エネルギーコスト、メンテナンス契約、人材費の観点から、食品工場における固定費最適化のポイントをわかりやすく解説します。
固定費とは?食品工場が抱える“見えにくい出費”の正体
食品工場における主な固定費の内訳とは
食品工場における固定費には、さまざまな項目があります。たとえば、生産設備や冷凍・冷蔵機器などにかかる電気・ガス代、定期的な点検や修理に必要な設備メンテナンス費用、常勤スタッフや夜勤要員などの人件費がその代表例です。また、設備保全や点検、帳票管理といった業務を外注している場合、それらの委託費用も固定費に含まれます。これらの支出は日々の生産活動に欠かせない一方で、「当たり前のコスト」として見直されずに積み重なっているケースが少なくありません。
毎月“当たり前のように出ていく”支出こそ見直すべき
- 見直しのハードルが高いため放置されがち
- 5%の固定費削減は、売上10%増に匹敵するインパクト
見直しポイント① エネルギーコスト(電気・ガス)
冷凍・冷蔵設備が占める電気代の割合とは
チラー・ショックフリーザー・スパイラルフリーザーなど
稼働時間や熱損失によって大きな差が出る
ピーク電力の抑制と「見える化」が鍵
デマンド監視システムの導入
オンオフ制御による運転最適化
ガス使用の見直しで“脱・ルーティン運転”へ
蒸気釜・殺菌釜などの運転条件を最適化
深夜運転シフトによる単価調整も有効
見直しポイント② メンテナンス契約と設備保守
機械トラブル発生時、「誰に頼むか」決まっていますか?
トラブル対応の属人化、複数業者への連絡の手間
社内の設備履歴・修理履歴がブラックボックス化しやすい
見積・発注業務も省力化できる余地あり
毎回見積取得・稟議が必要なケースは「隠れ固定費」
見直しポイント③ 人件費と業務の属人化
熟練スタッフに依存しない「仕組みづくり」が重要
- 例:帳票記録、ライン切替、保守判断などの属人業務
- 手順書化・IoT導入でミスや手戻りも削減
自動化機器の部分導入で“人件費の置き換え”
包装・計量・充填など単純反復工程からの自動化
省人化投資補助金・ものづくり補助金の活用も視野に
「2人でやる仕事を1人に」は危険!合理化と安全のバランスを
安全衛生面からのチェックも忘れずに
固定費削減は、工場経営の“余力”をつくる
手間”がかかるが、利益を守る防御策になる
固定費の見直しは、一朝一夕で成果が出るものではありません。まず現状を把握するために、各種契約内容の確認や、エネルギー使用量・外注費の分析、現場ヒアリングなどの工程が必要です。こうした作業は日常業務と並行して進めるため、一定の手間と時間がかかるのが現実です。しかし、それでもなお取り組む価値があります。というのも、変動費や売上は市況や取引先に大きく左右される一方で、**固定費は社内の努力次第で着実に削減できる“コントロール可能なコスト”**だからです。
つまり、固定費の見直しは、**利益を外部要因から守るための「守りの経営」**と位置づけるべきなのです。
現場任せにしない、経営者の“戦略的関与”が鍵
固定費の削減は、現場スタッフの努力だけでは実現が難しいテーマでもあります。たとえば契約変更や設備投資、業務の再構築には、経営判断や組織間の調整が不可欠です。現場がどれだけ課題を感じていても、「会社として動かないと変わらない」ことは少なくありません。
経営者や工場長が“コスト構造の見直し”を中長期の経営戦略として捉え、現場と連携しながら旗を振ることで、ようやく改善のサイクルが回り始めます。特にエネルギー契約の見直しやメンテナンス体制の再構築といった分野では、部門横断の意思決定が欠かせません。
省人化・自動化・補助金の“複合活用”で効果を最大化
固定費の見直しを成功させるには、単一の手段に頼るのではなく、複数の打ち手を組み合わせて総合的に進めることが重要です。たとえば、属人化した作業の自動化によって人件費を抑えながら、同時にその投資に対して「ものづくり補助金」や「省力化投資補助金」を活用すれば、初期負担を軽減しつつ効果を高めることが可能です。また、メンテナンスやトラブル対応を一括窓口に集約することで、外注費の効率化と修理対応のスピードアップも実現できます。
このように、戦略的に複数施策を掛け合わせていく視点が、固定費改革を持続的かつ成功へと導くカギとなります。
まとめ
固定費の見直しは、一気にすべてを変えようとすると現場も経営側も負担が大きく、非現実的です。だからこそ、「最もコストインパクトが大きい領域」や「誰もが無駄だと感じている工程」から、着実に手をつけていくことが成功への第一歩です。
特に食品工場では、現場の肌感覚と経営数値のギャップが起きやすいため、エネルギー使用状況や人員配置などを“見える化”し、現場と経営の視点をつなぐ工夫が不可欠です。
固定費のリデザインは、単なるコストカットではなく、工場全体の生産性や持続可能性を高めるための土台づくり。小さな改善を積み重ねることで、未来の経営をより強固なものにすることができます。
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