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【開催レポート】第3回 食品ユーザー交流会|DX/ITによる現場改善NEWメディア

はじめに
2025年10月21日に開催された農林水産省推進 食品企業生産性向上フォーラム主催
「第3回 食品ユーザー交流会(テーマ:DX/ITによる現場改善)」では、オンラインと現地を合わせて200名を超える食品製造業関係者が参加しました。製造現場に携わる工場長や生産技術担当者、DX推進担当のみならず、課題共有や情報収集を目的とした商社・IT企業の参加も目立ち、「自社に合った改善の進め方を知りたい」という前向きな熱意が会場に漂っていました。
DXは「ツールの導入」ではなく「現場の見える化」から始まる
今回の発表内容では、登壇者たちが「まず現場の課題を見える化し、標準化するプロセスがDXの出発点である」と強調していたことが印象的でした。
「判断基準が人によって異なる状態では、どれだけITツールを導入しても成果につながらない」「業務の棚卸しなくしてDXの成功はない」といったメッセージが繰り返し語られ、多くの参加者がうなずきながらメモを取っている様子が見られました。
この中で紹介された事例にはそれぞれ異なるアプローチがありながらも、「現場の課題を具体的な形で可視化し、改善プロセスへつなげる」という共通点が見られましたので簡単にご紹介いたします。
- やまや様の発表では、人流検知システムを活用し、包装工程における人の動きや負荷の偏りを可視化することで、「どの工程に重点的な人員配置が必要か」を科学的に判断する取り組みが紹介されました。属人的な判断ではなく、人の流れをデータで捉えることで、改善の優先順位や導入効果を説明しやすくなった点が印象的でした。
- セブン-イレブン・ジャパン様からは、ペーパーレス化のシステム導入事例が紹介されました。ただし「紙をなくすこと自体は目的ではない」という前提に立ち、現場担当者から管理職までの理解を得ながら「情報共有のスピードと精度を高める」という本質的なDXの狙いが強調されました。
- 富士倉庫様からは、AI外観検査システムをアーモンドなどの異物選別工程に導入した事例を紹介されました。これにより経験や感覚に頼らざるを得なかった選別作業の精度安定と生産性向上が図られ、「品質判断を属人化から標準化へ移行するDX」の具体例となりました。
- 丸善食品様からは、需給調整システムを導入し、生産量の判断を担当者経験に依存せず、データベースと需要予測に基づいて調整できるようにした事例が共有されました。これにより「判断の再現性」と「工場全体の安定化」という効果が見られたといいます。
これらの発表を通じて、参加者の間では「DXとは新しい仕組みを入れることではなく、現場の判断プロセスを“見える形”にしていくことから始まる」という認識が共有されていきました。
「同じ悩みを持つ企業がいる」という安心感
質疑応答の時間・当日のアンケートでは、「DXはやるべきだと分かっているが、どのプロセスから手を付けるかでつまずく」「担当者一人の熱意だけでは社内合意形成が難しい」「“業務の棚卸し”をどう実行すべきかが分からない」といった声が多く聞かれました。
その一方で、「他社も同じ課題を抱えていたと知り安心した」「改善の順番が理解できた」「いきなり完璧なDXではなく“できるところから”で良いと実感できた」といった前向きな感想も目立ちました。
食品業界では「変化への慎重さ」も特性のひとつとされています。しかし今回の交流会では、「DX=大掛かりな改革」という固定観念がほどけ、「小さな前進を積み重ねる努力こそが変革につながる」という認識が共有されていく空気がありました。
全国の食品製造業が直面する課題に対し、AIやIoTを実際に導入・運用している企業の成功事例を中心に、現場での「導入プロセス」「効果」「課題」までを具体的に共有します。
オンライン併用のハイブリッド形式で行われ、地方の工場や中小企業の方々にも門戸が開かれています。
FOOD TOWN事業部が感じた“現場DXのリアル”
FOOD TOWNとして今回の交流会を振り返ると、特に次の3点が食品業界DXの現場感として浮かび上がりました。
- DXは“ツールの導入”ではなく“現場の棚卸し”から始まる
- 「成果の見える小さな改善」が社内理解の突破口になる
- “他社との共感”がDXを進める心理的な後押しになる
DXを難しいものとして構えるのではなく、「改善のステップを言語化し、共通理解を持つ」という姿勢が広がっていることを、今回の交流会は示していたと言えます。
今後の食品業界DXとFOOD TOWNの役割
今回の交流会を通じて、「DXは答えを示されるものではなく、業界全体で課題を共有しながら進めていくもの」という認識がより明確になりました。
そのうえで、現場同士の悩みを可視化し、改善プロセスを学び合える「対話型の場」の重要性は今後さらに増すと考えられます。
FOOD TOWNとしても、今回の交流会で示された「課題の言語化 → 改善ステップの共有 → 小さな変革の積み重ね」という流れを軸に、以下のような支援を強化していきます。
- 現場改善のプロセス整理に役立つ情報発信(メールマガジン)
- 他社事例や学びが得られるコンテンツ展開(食品工場 課題解決セミナー)
- 導入前に“業務構造を整える”視点を支える企画(ヒアリングシート)
- DXへの一歩目を踏み出した企業の声を伝える特集企画(FOOD TOWNサイト内)
まとめ
今回の交流会で生まれたのは、“DXの正解”と言うわけではありません。
多くの参加者が「小さな改善で良い」「自社の課題を整理することから始めれば良い」と確信を持てたことこそ、DX推進の第一歩となる大きな成果だったと感じています。
食品業界のDXは、まだ始まったばかりです。
そして、その歩みを加速させるのは、「同じ悩みを語れる場」と「共に試行錯誤する仲間の存在」です。
FOOD TOWNは、これからも業界の改善ストーリーに寄り添いながら、“変わりたい食品現場”の伴走者であり続けたいと感じる交流会でした。
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