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食品工場のIOTとは?コラム

食品工場では「品質を守る」「衛生管理を徹底する」「ムダを減らす」など、日々さまざまな課題に向き合っています。最近はどの工場でも人手不足が深刻になり、少人数でも安定的に生産ができる仕組みづくりが求められるようになりました。
そこで注目されているのが IoT(Internet of Things:モノのインターネット) です。
「IoTって聞くけど、結局なにができるの?」
「ウチの工場にも関係あるの?」
そんな方に向けて、今回は食品工場で使われるIoTの具体例や、現場でどんなメリットがあるのかを、わかりやすく解説します。
食品工場におけるIoTとは?
IoTとは、これまで“見えなかった情報”をセンサーなどで集めて、データとして蓄積・分析できるようにする仕組みのことです。
食品工場では特に以下のような情報が自動で見える化できます。
- 温度・湿度
- 重量や個数
- 機械の稼働状況
- 従業員の作業工程
- 清掃や点検の記録
- 原材料の使用量・在庫量
今まで紙で書いていたもの、記憶に頼っていたもの、毎日誰かが確認しに行っていたものが、自動で記録され、リアルタイムに確認できるようになります。
IoT導入で食品工場がラクになるポイント
温度管理の負担が劇的に減る
食品工場で最も大事な温度管理。実際の現場ではこんな悩みがよく聞かれます。
- 毎時チェックに行くのが負担
- 人によって記録の抜け漏れがある
- 異常に気づくのが遅い
- 記録の管理が手書きで大変
IoTセンサーを使えば、庫内温度を自動で記録し、異常があればアラートを飛ばすことが可能。
「人が見に行く」「紙に書く」という作業から解放され、HACCP対応の記録もデータで一元管理できます。
作業状況が見えるから“属人化”が減る
食品工場ではベテランの勘や経験に頼った作業が多く、「あの人がいないと進まない」といった状況が起きがちです。
そこで、IoTを使って以下の情報をデータ化します。
- 作業時間
- 作業手順
- どの機械がどれだけ動いているか
- 生産量の推移
これにより、作業のムラやラインの詰まりがわかり、誰でも同じ品質で作業できる環境づくりが進みます。
在庫が“自動で”把握できる
原材料が「いつの間にか足りない」「発注し忘れた」といった経験はありませんか?
IoTの重量センサーや棚センサーを使えば、材料の残量が自動で把握され、一定量を下回ると通知が来る仕組みも作れます。
これにより
- 発注ミスが減る
- 在庫の持ちすぎがなくなる
- 廃棄ロスが減る
という現場メリットが生まれます。
機械トラブルを未然に防げる
食品工場で止めたくないのが「ライン停止」。
IoTを使うと機械の以下の状態を自動で監視できます。
- 振動
- 温度
- 電力の使用量
- 稼働回数
機械の異常の兆候がわかるため、故障前にメンテナンス可能。急な停止が減り、生産計画が安定します。
IoTの導入で働き方はどう変わる?
現場の人にとって、IoTは「仕事を奪うもの」ではなく「ラクにしてくれる道具」です。
たとえば…
- 記録作業が自動化され、時間が浮く
- 点検やチェックの負担が減る
- 過去のデータがすぐ出せる
- トラブル対応が減る
- 人手不足でも生産を回せる
特に、温度管理や記録作業が毎日数時間かかっている工場では、IoT化の効果が非常に大きいです。
IoT導入の始め方
まずは“小さく始める”がおすすめ
いきなり工場全体をIoT化する必要はありません。
多くの工場は次のような流れで進めています。
困っている業務を洗い出す
まずは、「毎日めんどくさい」「人によってムラがある」「よくミスが起きる」など、現場の負担や課題をリスト化します。
▼例
- 温度記録が1日8回あり、そのたびに冷蔵室まで移動するのが大変
- 従業員によって記録漏れがある
- 揚げ物ラインの油交換タイミングが“勘”になっている
- 材料がいつの間にか不足して、生産計画を変更せざるを得ない
- 夜間の機械アラートに気づけず、不良が大量に出てしまった
小さな範囲でセンサーを入れて効果を確認
いきなり全体ではなく、「まずは1台・1工程」からスタート。
▼例
- まずは冷蔵庫1台に温度センサーを設置して、自動記録の運用を試す
- フライヤーに油温センサーをつけて、温度の変動がどう見えるか確認
- 材料置き場の棚に“棚センサー”をつけ、残量のデータ化をテスト
- 1ラインだけに稼働監視センサーをつけ、ライン停止回数を見える化
最小単位で試すことで「本当に効果ある?」が確認できます。
使い勝手やランニングコストを確認
「現場が使いやすいか」「月額コストは適正か」をじっくり確認します。
▼例
- 現場スタッフでもスマホで温度が見れるか?
- アラート通知が多すぎて逆に負担になっていないか?
- 月額費用は何台までなら運用できるか?
- 電池交換の頻度は?メンテナンス担当が対応できそうか?
- データがHACCPの記録としてそのまま使えるか?
導入したけど使われないを防ぐための大事なチェックです。
効果があれば徐々に拡大
小さな成功を確認したら、少しずつ設備・工程を広げていきます。
▼例
- 冷蔵庫1台 → 5台 → 全庫全体へ
- 仕込み工程の温度管理 → 加熱工程 → 冷却工程まで順次拡大
- 1ラインの稼働監視 → 全生産ラインへ
- 材料棚のセンサー → 調味料 → 出荷前倉庫にも展開
- データを紙HACCPからデジタルHACCPへ段階的に移行
いきなり全部ではなく、成功体験を積みながら広げる方が失敗しにくいです。
まとめ
食品工場のIoTとは、現場の負担を減らし、安心・安全な食品づくりを支えるための技術です。
難しそうに聞こえますが、実際には
- 自動で温度を記録してくれる
- 異常があればすぐ通知してくれる
- 作業状況が見える
- 在庫が自動でわかる
- 機械の故障を防げる
など、「現場がラクになる仕組み」が中心です。
今後、人手不足が加速する中で、食品工場はデータを使って効率化する時代に入っています。実際に導入した工場からは「もっと早くやればよかった」という声も多く、日々の小さなストレスが驚くほど減っていきます。
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