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食品工場の衛生管理HACCP(ハサップ)とは?徹底解説

今回は食品工場の衛生管理HACCP(ハサップ)とは?徹底解説についてご紹介いたします。

食品の安全性を確保するためには、厳密な衛生管理が不可欠です。特に食品工場では、消費者の健康を守るためにさまざまな衛生管理手法が採用されていますが、その中でもHACCP(ハサップ)は特に重要な役割を果たしています。この記事では、食品工場での衛生管理に不可欠なHACCPとは何かについて解説します。


食品工場の衛生管理HACCP(ハサップ)とは?

HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)は、食品の安全性を高めるための衛生管理方法です。つまり、食品を取り扱う工程の中で、どこで何が危ないかを考え、食品の安全を守るために重要な工程を集中的に管理していくという衛生管理の手法になります。


HACCPは改正食品衛生法(飲食による健康被害の発生を防止するための法律)に基づいており、食品等事業者が異物混入や食中毒菌汚染などの危害要因を特定し、衛生管理計画に基づいて対策を講じるシステムです。このプロセスにより、原材料の入荷から製造、出荷に至るまでの全工程を衛生的に管理し、食品の安全性を向上させます。

HACCP(ハサップ)の言葉の意味

HACCPは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の頭文字を組み合わせた言葉です。このシステムは、食品安全管理において2つの主要な部分、すなわち「危害要因分析(Hazard Analysis: HA)」と「重要管理点(Critical Control Point: CCP)」に分けられています。HAは潜在的な危害要因を分析するプロセスを指し、CCPはそれらの危害を効果的に管理するための重要なポイントや手段を示します。

HACCP(ハサップ)の始まり

HACCPはもともとアメリカのアポロ計画で宇宙食品の安全性を確保するために考案されたもので、その後、世界各国に広がりました。1993年には、食品規格委員会がHACCPに関するガイドラインを作成し、現在では国際的な食品安全性の基準として広く認識されています。


多くの先進国でHACCPの導入が進んでいる中、日本では導入率が比較的低く、その義務化が進められています。しかし、人手不足などの課題もあり、日本におけるHACCPの導入は遅れているのが現状です。

日本でHACCPは義務化している?

日本におけるHACCP制度の義務化は、2018年6月に改正された食品衛生法に基づき決定し、2021年6月に完全義務化されました。


HACCPの制度化により、食品の安全性向上が目指されています。国際標準として認識されているHACCPを採用することで、国内外の消費者に対して安全で品質の高い食品を提供することが可能になります。


さらに、海外との食品取引ではHACCPが一つの基準として用いられているため、HACCPの導入を義務化することは、国際市場での日本の食品の競争力を高め、海外との取引をスムーズに進めるためにも重要です。このようにHACCP制度の義務化は、国内の食品安全性の向上だけでなく、国際的な食品市場での日本の地位を強化するための戦略的な意味合いも持っています。

HACCP(ハサップ)の手順

HACCPのプロセスは、食品の安全を保証するために設計されており、各段階に特定の食品衛生管理手順が設けられています。食品事業者は、これらの工程ごとの衛生管理を理解し、適切に実施することが重要です。HACCPに沿った食品製造の工程例を以下に示します。


食品製造の工程例

原料受入→保管→加熱→冷却→包装→出荷


これらの各段階は、食品の安全性を確保するためにHACCP制度に基づいて慎重に管理されます。食品事業者は、これらの工程を通じて、製品の安全性を最大限に保つための措置を講じることが求められます。

HACCP制度の対象とは?

HACCP制度は、食品に関わる全ての事業者を対象としており、これには食品の調理や販売を行う飲食店だけでなく、食品製造や加工を行う食品工場などの施設も含まれます。しかし、すべての食品等事業者がHACCP制度を完全に導入する必要があるわけではありません。業種や事業規模などに応じて、食品衛生管理の方法を調整することが認められています。


大規模な食品事業者は、資金や人材の面でHACCPの導入が比較的容易ですが、小規模な事業者にとっては資金不足や人手不足などの理由で導入が困難な場合があります。このため、HACCPは柔軟なアプローチをとっており、事業者の規模や特性に応じた適切な食品衛生管理を実施することが求められています。


現在、管理部門を持つ大きな規模の食品事業者(例えばチェーン店の運営会社など)はHACCPを基準にした食品衛生管理を行うことが期待されています。一方で、従業員数が50名以下の小規模事業者や、衛生管理に問題がないと判断される業種(例えば個人経営の飲食店など)は、HACCPの考え方を取り入れた食品衛生管理を実施することが促されています。これにより、食品の安全性を確保しつつ、事業者の実情に配慮した管理が可能となっています。


HACCP義務化で何をする?「12手順と7原則」

HACCPを導入する際の具体的なステップについて説明します。まず、改正食品衛生法に準拠した「一般的衛生管理プログラム」の理解と実施が必要です。これには、食品衛生管理の手法、手順、従業員の教育や訓練などが含まれます。


HACCPは、原材料の入荷から製造、出荷までの全工程を管理する手法です。重要なのは、これらの工程を継続的に監視し、管理することです。以下はHACCP導入のための「12手順と7原則」の概要です。

手順1:HACCPチーム編成

製品を作るための情報がすべて集まるように、HACCPチームをつくる。

手順2:製品説明書の作成

製品の名称や種類、原材料、添加物などを書き出すなどして洗い出す。

手順3:意図する用途の特定

加熱して食べるか、そのまま食べるかなどや、誰が食べるかなど製品の特性を確認。


手順4:「製造工程図」の作成

原材料の仕入れから最終製品の出荷までの工程図として「製造工程図」を作成。

手順5:「製造工程図」の現場検証

「製造工程図」と、現場の状況や認識とにズレがないか確認。

手順6:原則1:危害要因を分析

各工程で危害要因になる可能性があるものを洗い出し、分析し、対処方法を検討。

手順7:原則2:重要管理点の決定

加熱・殺菌などの工程で危害要因を取り除くための重要管理点(CCP)を決定。

手順8:原則3:管理基準の設定

製品に応じた中心温度と加熱時間の設定など、定めた重要管理点で、危害を適切に排除できるか判定するための管理基準を定める。

手順9:原則4:モニタリング方法の設定

中心温度計で確認、調理器具の設定温度の確認など、定めた管理基準が、適切に実施できているか確認するためのモニタリング方法を定める。

手順10:原則5:改善措置の設定

廃棄、再加熱など、管理基準が守られなかった場合に行うべき改善措置を定める。

手順11:原則6:検証方法の設定

定めた衛生管理が適切に機能しているかを検証するための方法を定める。

手順12:原則7:記録と保存方法の設定

管理内容に見合った記録用紙作成、保存期間の設定など、実施したことを記録に残し、それを保存する方法を定める。



食品の種類や調理方法、製造施設や工程は多岐にわたるため、職種や業態によって導入方法や管理手順も異なります。厚生労働省のWEBサイトには業種別のHACCP入門のための手引書があり、これらを参照することが推奨されています。これらのガイドラインに従って、食品衛生管理を行うことが重要です。


まとめ

HACCP(ハサップ)とは?

食品の安全性を高めるための衛生管理方法です。


この記事では、HACCPについて解説しました。HACCPは、原材料の入荷から製造、出荷までの各段階で危害要因を特定し、管理することで食品の安全を確保します。国際的な基準として認められるHACCPの採用は、食品の品質向上と消費者の信頼獲得に寄与し、日本の食品産業にとって重要な意味を持ちます。食品業界関係者だけでなくとも、HACCPの重要性を理解し、安全な食品供給の基盤としての役割を認識しておきましょう。


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