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監査で指摘されないために!在留資格ごとの帳簿・書類管理の基本コラム

 近年、食品工場では深刻な人手不足の解消策として、外国人労働者の雇用が進んでいます。しかし、在留資格の種類によって就労可能な業務や雇用形態に違いがあるため、管理を誤ると監査時に重大な指摘を受けるリスクがあります。
 本記事では、在留資格ごとに必要な書類や帳簿の管理方法を詳しく解説し、監査や法令違反のリスクを最小限に抑えるための実務ポイントをご紹介します。

★ 在留資格の種類や基本的な違いについて知りたい方は、「【食品工場】外国人雇用に必要な在留資格とは?まず押さえる7種と「技能実習制度」の実践活用ガイド」をご覧ください。

なぜ帳簿・書類管理が重要なのか

 外国人を雇用する場合、日本人と同様に雇用契約や就労状況の管理が求められます。しかし、それに加えて、「在留資格に基づいた就労条件」を遵守しなければなりません。

 たとえば以下のようなケースでは、企業側に重大な責任が問われる可能性があります
  ●「就労不可」の資格で働かせた
  ●「在留期間」が切れたまま就労を継続した
  ●「契約内容」と実際の業務内容に乖離がある

 特に食品工場のような多国籍労働者が増えている現場では、法務・人事・現場の連携体制が必須です。

よく確認すべき4つのポイント

在留資格の内容に合った業務で働いているか

 例えば「特定技能」資格者が単純作業ではなく、定められた飲食料品製造業の工程に従事しているかを確認します。

在留期間を超えていないか

 在留カードの有効期限や延長申請の状況を確認し、無許可就労を防ぐために早めの管理が求められます。

更新手続きの遅れや漏れがないか

 就労継続のための更新手続きが完了しているか、また、証明書類の控えをファイリングしているかをチェックします。

適法な労働条件で契約されているか

 最低賃金、労働時間、福利厚生などが適正で、契約内容が在留資格と矛盾していないかの確認が必要です。


管理すべき主な在留資格と書類一覧

 以下は食品工場で雇用される可能性の高い在留資格ごとに、最低限準備しておくべき書類の一覧です。

主な在留資格別 書類チェックリスト

在留資格

主な対象業務

必要な管理書類例

特定技能(1号)

飲食料品製造業

技能試験合格証、雇用契約書、支援計画、
出入国在留管理庁への届出控え

技能実習

缶詰巻締、
パン製造など

実習計画書、監理団体との契約書、
技能実習日誌、評価報告書

技術・人文知識・国際業務

通訳、品質管理等

学歴証明書、職務内容記録、就労状況報告書

高度専門職

経営・技術管理職など

ポイント計算シート、専門性を示す業務記録

永住者・
日本人配偶者

制限なし

一般的な雇用契約書・勤怠記録のみでOK

留学生
(アルバイト)

製造補助など
(週28時間以内)

資格外活動許可証の写し、
シフト表、タイムカード記録

各書類は主に以下の公的機関・サイトから入手可能です。
出入国在留管理庁:在留カードの確認、特定技能・技能実習関連資料

厚生労働省:技能実習制度の概要、監理団体関係書類

法務省:在留資格ごとの制度詳細

JITCO:技能実習生の手引き、実習日誌フォーマット

登録支援機関リスト:特定技能外国人の支援に必要な情報

 必要に応じて、監理団体や登録支援機関、行政書士とも連携を取りながら、正確な書類の準備・保管を行うことが重要です。

【ポイント】
在留カードの写しは、就労可能かどうかの確認のために全員分保管しておくことが基本です。

書類管理でよくあるミスとその対策

よくある4つのミスとその防止策

就労可能かの確認をせずに採用してしまう

【防止策】
 在留カードの「就労制限の有無」を必ず確認し、写しをファイリング。外国人の就労は在留資格によって制限されているため、採用段階での確認が非常に重要です。確認を怠ると、結果として違法就労に該当する可能性があります。

在留期限切れに気づかず就労継続させてしまう

【防止策】
 期限1か月前に通知が届く仕組み(アラート管理)を整備。 有効期限を過ぎて働かせると、雇用主にも法的責任が発生します。アラートの設定や一覧表での期限管理が効果的です。

技能実習生の実習日誌が未提出・虚偽記載

【防止策】
 記録サポートツールの導入、日本語が苦手な実習生向けマニュアル作成。実習日誌は、実習の成果や状況を示す重要な記録です。虚偽記載や提出漏れがあると、監理団体や監査機関から厳しい指摘を受けます。

支援計画書の更新や報告義務を忘れている

 【防止策】
 支援責任者の業務マニュアルに定期報告のタスクを明記。特定技能外国人に対しては支援義務があります。定期的な報告や更新の履歴を残すことで、適正な受入体制を証明できます。

電子化・クラウド管理の活用法

 書類管理は紙ベースでは煩雑になりがちです。電子化・クラウド化には以下のようなメリットがあります。

電子管理で得られる4つの効果

情報の検索性が高まる

 必要な書類をすぐに検索・抽出できるため、監査時や社内確認時の対応スピードが向上します。

在留期限のリマインド設定が可能

 システム上で期限通知の設定を行えば、更新忘れによる不法就労リスクを回避できます。

他拠点との情報共有がスムーズ

 クラウド上で一元管理することで、複数工場・部署での連携が容易になります。

紛失・災害リスクを低減

 紙媒体と違い、電子データはバックアップが可能なため、火災や水害などの非常時にも対応しやすくなります。

 外国人雇用に特化したHRクラウドサービス(例:ジンジャー、SmartHRなど)を活用することで、業務の属人化を防ぎ、適切な情報管理が実現できます。

まとめ:記録は“証拠”になる

 帳簿や書類は、「適法に雇用しています」という証拠です。特に在留資格の条件に合わない業務に従事させた場合、知らなかったでは済まされません。採用・配属・更新・退職といった外国人労働者のライフサイクルすべての場面で、正確な記録と整理が必須です。

 誰もが安心して働ける職場づくりのために、今できる一歩から始めていきましょう。食品工場の現場から、より良い雇用管理をともに目指していきましょう。

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