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これで安心!食品工場のための台風対策ガイド:災害に強い現場作りの秘訣と被害事例から学ぶリスク回避策コラム


台風が接近することで、私達の生活環境だけでなく、食品工場にも甚大な影響を及ぼします。台風による強風や豪雨は、工場の物理的な損害だけでなく、従業員の安全にも脅威をもたらします。このため、台風被害を未然に防ぐ対策が不可欠です。

この記事では、食品工場への台風被害として、工場が稼働できない、大雨の雨漏り、強風で屋根が飛ぶ、浸水で釘が緩むことを解説します。

食品工場への台風被害を未然に防ぐ対策としては、台風を予測する、屋根を強風対策する、窓・シャッターを補強する、外壁を補強する、浸水対策する方法があります。また、休業のルールを明確にする、ハザードマップを確認する、マニュアルを作成する、安全な場所に移動する対策についても解説しています。

また、過去に食品工場における台風被害の事例は、いくつか報告されています。こちらも併せて具体的な事例を紹介します。

食品工場への台風被害とは?

大雨の雨漏り

台風が引き起こす激しい降雨は、様々な場所で被害をもたらします。工場や倉庫のオーナーにとって、水没を避けられたとしても、大雨による雨漏りは大きな問題です。雨漏りにより、価値ある商品や製品が損傷し、これが工場のみならず、企業運営にも困難をもたらすことがあります。

強風で屋根が飛ぶ

近年の台風はより大型化し、その風の強さも増しています。このため、工場では屋根が飛ばされることがあります。屋根が失われると、製造ラインは風雨に晒され機能停止に追い込まれ、ビジネス運営に大きな障害が生じます。製品を保管する施設を保護するためには、屋根の飛散を未然に防ぐ対策が必要です。

浸水で釘が緩む

台風が原因で発生する工場の屋根に関する問題は、屋根が飛ばされることだけではありません。棟板金(屋根の頂点部分にある金属製の板)やその他の板金部品を固定している釘の緩みも問題です。金属屋根においては、特に屋根の最上部に設置された棟板金が屋根材を圧迫し固定しています。時間が経つにつれて、棟板金を固定している釘は徐々に緩んできます。釘が緩むと屋根に隙間が生じ、そこから水が侵入し雨漏りや建物の構造体の腐食を引き起こす原因となります。これは屋根だけでなく、倉庫や工場全体の耐久性に影響を与える問題です。

工場が稼働できない

工場や倉庫に直接的な被害が見られなくても、施設の運営に影響を及ぼすケースがあります。例えば、台風が上陸すると、電車やバスといった公共交通のサービスが中断されることはよくあります。公共交通機関を利用している従業員が多い場合、台風により従業員の出勤が困難になり、結果として工場や倉庫の稼動に障害が生じる可能性があります。

食品工場への台風被害を未然に防ぐ対策

台風を予測する

台風から工場を守るのには多様な方法が存在しますが、まずは災害の予測が必要です。気象庁のウェブサイトを活用し、台風の規模、速度、進行方向、強風域への進入時期など、関連する情報を確認してください。

屋根を強風対策する

雨漏りや屋根の損傷を事前に防ぐには、塗装作業、カバー工法などの屋根工事が効果的です。カバー工法とは、既存の屋根材を取り除かずに新しい材料を上から施工します。

この作業により屋根を強化し、耐久性を高めることが可能です。屋根の現状や条件に応じて、最適な工事方法を選択することが重要です。

窓・シャッターを補強する

シャッターの強度を高めたり、窓の強化を行ったりするのは台風に有効です。防御策の一環として、アルミ合金製の棒をシャッターの内外に設置し、強風での破損を防ぐような補強装置も登場しています。このような装置の導入には費用がかかりますが、工場の安全を確保するためには、このような予防措置が非常に重要と言えます。

外壁を補強する

外壁に亀裂が入っている、または穴が開いている場合、そこから雨水が侵入して建物内部の機械や設備に故障をもたらしたり、製品が濡れてしまうという問題が生じます。特に台風時には、風によって雨が激しく外壁を叩くため、通常時には問題のない場所からも水漏れのリスクが高まります。

外壁塗装のひび割れ、外壁材の損傷、老朽化などを定期的にチェックし、必要に応じてメンテナンスを施すことが大切です。また、外壁の修繕工事を通じて、建物の耐久性を高める方法もあります。これは台風に備える上で特に推奨される対策の一つであり、建物の機能性を向上させることが可能です。

浸水対策する

工場では店舗の在庫や出荷予定の商品が保管されているため、水害に対する予防策が欠かせません。水害を回避するためには、土のうの準備やシャッターの設置などの手段が有効です。さらに、潜在的な被害を予測するためのシミュレーションを行うことも重要です。水の侵入経路を予測し、それに基づき商品の保管場所を浸水リスクのないエリアに変更することで、被害を最小限に抑えることが可能になります。

休業のルールを明確にする

工場が大きくなればなるほど、より多くの従業員が働くため、台風などの災害時に休業や時差出勤をどのように取り扱うかのルールを明確に設定する必要があります。

法的な義務が明確に存在するわけではありませんが、休業や時差出勤に関するルールを人事部がはっきりと定め、周知させることは不可欠です。従業員に判断を委ねるのではなく、安全を最優先にしたルールを設け、それを徹底的に伝えるべきでしょう。休業、時差出勤、早退、テレワークなどの決定をどのように通知するか、行動指針と就業規則を事前に確定し共有しておくことが重要です。

ハザードマップを確認する

ハザードマップは国土地理院によって次のように定義されています。「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」

これは、地域特有の自然災害リスクを予測し、それらを地図上で直感的に理解できるようにした「被災予測地図」です。災害発生時の影響範囲や具体的状況が視覚的に表現されているため、防災計画や危機管理において非常に役立ちます。

特に企業の防災面では、工場や倉庫の位置する地域の洪水リスクなどを事前に把握できるところが利点です。土砂崩れや浸水の過去の事例があれば、それを基に施設の保護対策を事前に準備できます。

水害に特化したハザードマップは主に2種類あります。

「内水ハザードマップ」は下水道からの浸水被害を予測する地図。

「洪水ハザードマップ」は洪水時の避難情報を提供する地図。

予想される浸水水位や潜在的な被害の程度を確認し、社内でこれらの情報を共有し、安全対策を計画することが重要です。ハザードマップには、避難所の位置や工場周辺の地形、水没しやすい場所などの情報が含まれています。工場の立地がどのような災害に対して脆弱かを把握することで、より効果的な予防策を立てることが可能になります。

マニュアルを作成する

台風接近時に非常に有用なのは、初動対応のマニュアルです。強い風によって飛散する物体からの損傷や、ガラスの破損による怪我など、応急処置が必要となる場合があります。怪我をした場合に備え、必要な応急処置キットを準備しておくことが重要です。

さらに、高潮や豪雨による洪水のリスクがある場合は、避難計画を立てておく必要があります。最も近い避難所の場所はもちろん、避難ルートや緊急時用の持ち出しバッグを事前に準備し、迅速に避難できる体制を整えておくことが勧められます。

安全な場所に移動

河川近くにある工場から、より安全な地域にある倉庫へ大切な商品を移動させることは効果的な防災策の一つです。可能な限り、商品を安全地帯へ避難させておくことが重要です。風で飛ばされる恐れのある物品は敷地内に置かないよう心がけてください。

商品だけでなく、人間も安全な場所へ移動することが大切です。台風が近づくと、工場の状況を心配して確認に行き、結果的に被害に遭うという事態が発生します。実際に、ニュースで川の状況を見に行き、行方不明になるという報道もあります。製品や商品の安全が気になるかもしれませんが、自身の安全が保証されない場合に現場を訪れることは避けるべきです。台風が通過した後であっても、川の氾濫や土砂崩れといった二次災害のリスクがあるため、注意が必要です。

台風接近時の対策

情報収集と共有

気象情報をこまめにチェックし、台風の進路や影響を把握します。従業員に最新の情報を共有し、必要な対策を迅速に行います。

設備の保護

窓やドアには防風シートや板を取り付け、風雨の侵入を防ぎます。屋外の機器や資材は、飛散しないように固定します。

製品と原材料の保護

製品や原材料を高い位置に移動し、浸水被害を防ぎます。また、密閉容器に保管することで、水濡れや汚染を防ぎます。

生産ラインの調整

台風接近に伴い、生産ラインの稼働状況を調整します。必要に応じて、操業を一時停止し、従業員の安全を確保します。

台風通過後の対応

被害状況の確認と報告

台風通過後、設備や施設の被害状況を迅速に確認します。被害が発生した場合は、関係部署や管理者に報告し、復旧作業を開始します。

清掃と消毒

浸水した場合は、工場内の清掃と消毒を徹底します。食品工場では衛生管理が重要であるため、汚染物質の除去と清潔な環境の確保が不可欠です。

復旧作業と再稼働の準備

被害を受けた設備や施設の修理・交換を行い、生産ラインの復旧を図ります。再稼働前には、全ての設備が正常に稼働することを確認します。

従業員のケア

台風後のストレスや疲労を考慮し、従業員の健康管理にも注意を払いましょう。必要に応じて、休息時間を確保し、心理的なケアも行います。

過去の台風被害例

食品工場は台風による被害を受けやすく、これまでにも多くの被害事例があります。以下に、いくつかの具体的な事例を紹介します。

平成16年台風第23号(2004年)

この台風は四国地方、近畿地方、東海地方に甚大な被害をもたらしました。特に大雨による河川の氾濫が発生し、多くの家屋が浸水しました​。食品工場でも浸水被害が発生し、生産ラインが停止するなどの影響が出ました。

集団食中毒事件(2000年)

台風による停電が発生し、冷却装置が停止した結果、脱脂乳中で黄色ブドウ球菌が増殖し、食中毒が発生しました。この事件では、被害者が14,780人に達し、大規模な被害となりました。

台風による設備破損と生産停止

ある食品工場では、台風による強風で屋根が損壊し、雨水が工場内に侵入しました。この結果、製造設備が水浸しとなり、機械の故障が相次ぎました。復旧作業には時間がかかり、生産停止による損失は甚大でした。こうした被害は、事前の設備補強や排水対策が不十分だったために発生しました​。

まとめ

食品工場への台風被害とは?

・工場が稼働できない

・大雨の雨漏り

・強風で屋根が飛ぶ

・浸水で釘が緩む

食品工場への台風被害を未然に防ぐ対策

・台風を予測する

・屋根を強風対策する

・窓・シャッターを補強する

・外壁を補強する

・浸水対策する

・休業のルールを明確にする

・ハザードマップを確認する

・マニュアルを作成する

・安全な場所に移動



この記事では、食品工場への台風被害と、台風被害を未然に防ぐ対策・過去の食品工場における台風被害の事例について解説しました。食品工場の台風による被害を最小限に抑え、事業の継続性を確保し、従業員の安全を守るための対策をしていきましょう。


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