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食品添加物とは?【食品工場の用語解説】


私たちの食卓に毎日登場するさまざまな食品の中には、品質を保ったり、風味を向上させるために、食品添加物が使用されています。食品産業に関わる上では、この食品添加物について理解しておく必要があります。この記事では、食品添加物とは何か、役割、分類、使われる食品例を解説します。

食品添加物とは?

食品添加物とは、食品の製造や加工、保存を目的として、添加や混合といった方法で使用されるものです。過去には合成されたもののみがこの中に入っていましたが、現在では自然由来のものも含め、合成か天然かを問わず食品添加物と認識されています。


日本では、食品を加工する際や保存、味付けするために使用される調味料、保存料、着色料などが食品添加物と称されています。これらは全て科学的に安全性と効果が検証され、厚生労働省により認可されたもののみが使用されてます。


食品添加物の定義

食品添加物は食品衛生法において、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう」のように定義されています。つまり、食品添加物とは「食品の製造、加工、保存を目的として食品に加えられるもの」となります。

食品添加物のはじまり

食品に何らかの物質を添加する概念自体は古くから存在し、人類は歴史を通じて「塩」のような天然の添加物を使用してきました。塩は、食材の保存性を高め、味の向上に貢献してきた最も基本的な添加物です。


日本で初めて化学物質が食品添加物として利用されたのは、明治時代です。「サリチル酸」がその例で、清酒の防腐剤として使用されました。当時は食品添加物に関する規制がまだ緩やかで、サリチル酸のような有害な物質も広く使用されていました。


明治時代からのこれらの経験は、1947年に食品衛生法の制定へとつながり、政府は食品添加物の規制と管理を強化することになったのです。「食品添加物」という用語が広く普及したのは、食品衛生法が制定されたことが契機です。この法律の制定により、食品添加物に対する社会の認識と管理が一新されました。

食品添加物の役割

食品添加物は、単に食品の安全性を高めたり保存性を延ばすだけではなく、さまざまな重要な機能を果たしています。多くの場合、食品添加物は食品の「おいしさ」、品質、そして栄養価を向上させるために使われています。

食品の製造と加工の補助

ほとんどの加工食品には食品添加物が含まれており、伝統的な食品から現代の加工食品に至るまで、添加物なしでは製造が困難なものが多数存在します。たとえば、豆腐を固める「にがり」や、中華麺の食感(コシ)や色・風味を出すために用いる「かんすい」などがあります。

食品の品質維持

食品の品質を保つことは、安全で健康的な食生活を送る上で非常に重要です。特に、食中毒は避けなければならないリスクの一つであり、このリスクを低減するために食品添加物が有効に機能します。保存料は、食品中に存在する微生物の成長を抑えることで、食品の安全性を高め、長期間の保存を可能にします。このような微生物の抑制は、特に肉類、乳製品、そして加工食品など、容易に腐敗する食品にとって重要です。


また、酸化防止剤は食品中の油脂が空気に触れることで起こる酸化を防ぎます。酸化された油脂は、食品の風味を損ねるだけでなく、健康に悪影響を及ぼす過酸化物質の生成を促す可能性があります。酸化防止剤を利用することで食品の品質を維持するだけでなく、健康を守る役割も果たします。

食品の嗜好性の向上

食品添加物は食品の外見や味わい、香り、食感を改善し、消費者にとってより魅力的なものにするために役立っています。これは、食品を彩り豊かにしたり、新しい食感や味を創出することによって、食文化を豊かにし、生活の質を向上させています。

栄養価の補填と強化

食品添加物は、調理や加工の過程で失われがちな栄養成分を補うため、または食品の栄養価を向上させるために使用されます。ビタミンやミネラル、アミノ酸などが、これに該当します。


食品添加物は、安全かつ適切に使用されることで、私たちの食生活を豊かにし、食品の安全性や品質を保ちながら、栄養価を向上させることができます。

食品添加物の分類

食品衛生法に基づき、食品添加物は主に4つの分類に分けられています。


指定添加物

「指定添加物」は、食品衛生法において食品に添加される物質を規制する分類の一つです。原則として食品への添加物の使用は禁止されていますが、厚生労働大臣によって安全性と有効性が確認されたものだけが使用を許可されています。


これらは「指定添加物」と呼ばれ、その使用が特別に許可されている添加物を指します。指定添加物の多くは化学的に合成されたもので、石油製品などが原料となることが一般的です。ただし、この中には一部、天然由来の成分を含むものもあります。

既存添加物

「既存添加物」は、1995年に食品衛生法が改正された際に導入された分類です。これは、長い間にわたり食べ続けられてきたものとして、特別な指定を受けることなく使用が許可されている食品添加物を指します。これらの添加物は、植物、海藻、昆虫、細菌、鉱物などから抽出された特定の成分であり、すべて天然由来のものです。

天然香料

「天然香料」とは、食品に香りを加えるために使用される成分で、自然界に存在する植物や動物から抽出した香りの成分を指します。このカテゴリの特徴は、指定添加物や既存添加物とは異なり、具体的な化学物質名(例:○○ナトリウム)ではなく、その香料を抽出する基原物質名(エビ、アボガド、イチゴなど)が公表される点にあります。天然香料のリストには「例示品目」として多くの成分が挙げられていますが、これらはあくまで例であり、リストに含まれない品目も使用が可能です。

一般飲食物添加物

「一般飲食物添加物」とは、普段我々が食品として消費しているものからそのまま、または特定の成分を抽出して添加物として使用されるもののことを指します。これには、食品の質感を改良する増粘安定剤や、着色料として使われることが多いようです。一般飲食物添加物リストには「例示の品目」が挙げられていますが、より広範な食品が対象となります。


食品添加物の使われる食品例

カップ麺

カップ麺が手軽に美味しく感じられるのは、様々な添加物のおかげです。一般的には、約20種類の添加物が使用されています。

コンビニ弁当・おにぎり

コンビニの弁当やおにぎりでは、使用される食材の数が多くなるにつれて、含まれる添加物も多くなることが一般的です。

菓子パン

手頃な価格で楽しめる菓子パンは、美味しさを引き出すために様々な添加物が使われています。


ジュース

ジュースには、甘味を加えたり色を美しく見せたりするために、人工甘味料や着色料がよく用いられています。特に人工甘味料は、通常の砂糖と比べて何百倍もの甘さを持つため、シュガーレスやカロリーオフの製品に頻繁に含まれています。

加工肉製品

ベーコンやソーセージ、ハムといった加工肉製品は、その製造過程で多くの添加物が使用されています。これらの添加物は、製品の見た目を改善するだけでなく、肉の結合を良くし、不快な臭いを減らすなど、さまざまな目的で利用されています。

お菓子

お菓子の風味や色彩を豊かにするためには、添加物が不可欠です。スナックからケーキ類に至るまで、これらが食感や味わい、見た目の魅力を高める役割を果たしています。

漬物

大量生産される漬物(たくあん、キムチ、梅干し等)には、多種多様な添加物が使用されています。塩分を抑えた製品では、塩の量を減らす目的で更に添加物が配合されることもあります。

まとめ

食品添加物とは?

食品添加物とは、食品の製造や加工、保存を目的として、添加や混合といった方法で使用されるものです。


食品添加物の役割

・食品の製造と加工の補助

・食品の品質維持

・食品の嗜好性の向上

・栄養価の補填と強化


食品添加物の分類

・指定添加物

・既存添加物

・天然香料

・一般飲食物添加物


食品添加物の使われる食品例

・カップ麺

・コンビニ弁当・おにぎり

・菓子パン

・ジュース

・加工肉製品

・お菓子

・漬物


この記事では、食品添加物とは何か、役割、分類、使われる食品例を解説しました。カップ麺から漬物に至るまで、日常的に接する様々な食品に使用されている食品添加物について正確な理解を深めることは、健康的な食生活を送る上で重要です。食品産業に関わる上では、食品添加物に関する基本的な知識を身につけておきましょう。


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