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食品とは何か?食品衛生法とCodexの定義をわかりやすく解説コラム


日常生活では当たり前のように使っているこの言葉ですが、食品衛生や表示ルールの文脈では、明確な定義が必要となります。特に食品工場や流通関係者にとっては、国内外の定義の違いを理解することが、製品の企画や品質管理、表示対応に大きく関わります。

本記事では、日本の「食品衛生法」における定義と、国際的な食品規格「Codex(コーデックス)」の定義を比較しながら、食品の概念をわかりやすく解説します。

日本における食品の定義とは?

日本では、「食品衛生法」によって食品の定義が定められています。

同法第4条では以下のように規定されています。

「食品」とは、すべての飲食物(医薬品及び医薬部外品を除く)をいう。

つまり、口に入れて食べるものであれば基本的に「食品」とされます。ただし、医薬品や医薬部外品は明確に除外されています。これにより、「サプリメント」や「健康食品」の一部は、薬機法との関係で食品に該当しないこともあります。

現場で起こる誤解の例

  • 「○○に効く」などの効果効能表示を記載し、医薬品扱いになる
  • 新製品の素材が“食品”に該当するかの社内判断が曖昧
  • 海外からの原材料がCodexには準拠しているが、日本の定義では曖昧な場合 など

Codexによる定義:国際的な視点での「食品」


国際的には、「Codex Alimentarius(食品規格)」が食品の安全や取引に関する基準を提供しています。Codexによる食品の定義は以下のとおりです。

“Any substance, whether processed, semi-processed or raw, which is intended for human consumption.”

この定義では、「加工品・半加工品・未加工品を含め、人の食用を目的としたすべてのもの」が食品とされており、非常に広い範囲をカバーしています。日本の定義と比較しても、ほぼ同様の内容ですが、Codexでは貿易や国際基準の文脈で使用されるため、表現の幅がやや広くなっています。

Codexが関係する現場事例

  • 海外輸出を行う製品のHACCP文書作成でCodexに準拠が求められる
  • 貿易相手国から「Codexに適合しているか?」と問い合わせがある
  • 食品表示や栄養表示で国際基準を採用する必要がある

医薬品と食品の違いに注意

製品開発や表示対応を行ううえで、特に重要なのが「医薬品」と「食品」の線引きです。これは以下のような観点で区別されます。

例えば、「関節の痛みを和らげる」などの効能効果を表示すれば、それは医薬品とみなされる可能性があり、薬機法の対象となります。これにより、誤った表示をすると行政指導や回収などのリスクが発生します。

NG表示の一例(食品なのに医薬品的に扱われる)

  • 「血糖値が下がる」
  • 「痛みを和らげる」
  • 「ウイルスに効く」

食品の分類:どこまでが「食品」か?

実務上、「食品」に含まれるかどうかが問われる例として以下のようなものがあります。

  • :飲用であれば食品に該当します。
  • ガムやキャンディ:当然ながら食品です。
  • ガス充填剤:食品に直接使うものであっても、摂取しない場合は食品に該当しないことがあります。


このように、「最終的に人が口にするものかどうか」が判断の基準です。

HACCP構築・食品表示対応への影響

食品定義の理解は、以下のような工場の実務にも直結します。

  • HACCPの適用対象の明確化:食品に該当するかで、計画・手順書の作成対象が異なる
  • 製品ラベルの適正化:食品表示基準に則っているか判断基準が変わる
  • 輸出関連の書類整備:Codex準拠の有無が要求されるケースあり

食品定義の誤解が招くリスクと対策

リスク:行政処分、回収、企業信用の失墜、輸出トラブル

対策

  • 開発・品質保証部門が法令確認の体制を持つ
  • 社内教育に「定義と法規対応」の項目を組み込む
  • 海外向けにはCodexベースで表示・仕様を二重で用意

まとめ

食品工場にとって「食品」の定義は、単なる言葉の話ではなく、製造・表示・品質・流通すべての基盤となる知識です。
特に、海外展開を視野に入れた製品設計や、HACCP義務化を背景にした工程設計では、日本と国際基準の違いを理解したうえでの対応が不可欠です。

製品の安全性と信頼性を高め、余計なリスクを未然に防ぐためにも、定義の理解は“食品工場の標準知識”として身につけておくことが望まれます。


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