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フードサプライチェーンとは?【食品工場の用語解説】コラム

国内外で企業が、持続可能な食料システムを構築するためフードサプライチェーンでの脱炭素化を目指す取り組みが広がっています。この記事ではフードサプライチェーンとは何か、 「2050年カーボンニュートラル」の目標、フードサプライチェーンの脱炭素化技術を解説します。
フードサプライチェーンとは?
フードサプライチェーンとは、農林水産物の生産から始まり、その食品が加工、流通、そして販売を経て消費者に届けられ、最終的に廃棄されるまでのプロセス全体を指します。食料、農林水産業の分野で脱炭素化を進めるには、このフードサプライチェーンを構成するすべての関係者が一体となり、気候変動などに関連するリスクを自らの問題として捉え、共に課題に対処していくことが求められます。
日本の現状
環境省の報告によれば、日本の温室効果ガス総排出量は2019年度にCO2換算で約12億トンに達し、このうち農林水産業からの排出量は約4,747万トンで、全体の約3.9%を占めています。これを受け、農林水産省は「2050年カーボンニュートラル」目標の実現に向け、2020年に「フードサプライチェーンにおける脱炭素化の実践とその可視化の在り方検討会」を立ち上げました。
フードサプライチェーン全体での脱炭素化は、単に生産者や流通業者の努力だけではなく、消費者を含む全ての関係者の連携が不可欠です。各ステージでの気候変動リスクへの対応、問題解決への共同取り組みが求められます。
また、フードサプライチェーンの持続可能性を高めるためには、廃棄物の再利用やリサイクル、再生可能エネルギーの活用など、循環型のシステム構築が重要とされています。こうした取り組みは、環境負荷の低減だけでなく、将来にわたって持続可能な食料・農林水産業の確保に寄与すると期待されています。
「2050年カーボンニュートラル」の目標
2020年10月、日本は「2050年カーボンニュートラル」の目標を掲げました。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量が全体としてゼロになっている状態を表す言葉です。この「2050年カーボンニュートラル」は、温室効果ガスの排出と吸収のバランスを取り、実質的な排出量を2050年にゼロにするという目標です。これは、排出される温室効果ガス量から植林や森林管理を通じて吸収される量を差し引き、排出量をゼロにする計算式に基づいています。
この目標達成に向けては、フードサプライチェーンを通じた脱炭素化が重要とされています。特に食品業界においては、地球温暖化を進行させる温室効果ガスの約8~10%が食品ロスが原因であることが国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の調査で明らかにされており、食品ロス削減が環境負荷の軽減に直結します。食品が廃棄される過程での焼却や埋立てにより、大量の二酸化炭素やメタンガスが排出され、これらは自動車の排出する温室効果ガス量と同等の影響を持っています。
さらに、フードサプライチェーン全体で発生する温室効果ガスは、世界の人為的排出量の約21〜37%を占めているともされています。このデータから、食品産業がカーボンニュートラルの実現において果たす役割の大きさが理解できます。したがって、生産、加工、流通、調理、消費といった一連のプロセス全体での脱炭素化への取り組みが不可欠であると言えるでしょう。
J-クレジット制度
「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、日本政府は脱炭素経営を評価するための制度を創設しています。その一つがJ-クレジット制度です。この制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの使用、適切な森林管理によって削減された二酸化炭素(CO2)の量を国が「クレジット」として公式に認証するものです。創出されたクレジットは、国内外の報告義務の遵守や企業の自主的な環境対策に利用されます。
この制度には、クレジットを創出する側と購入する側の両方にメリットがあります。
クレジット創出者のメリット
クレジット創出者は、ランニングコストの削減、投資費用の回収、温暖化対策への積極的な取り組みによる公表効果、そして関係する企業や自治体とのネットワーキング強化などのメリットがあります。
クレジット購入者のメリット
クレジット購入者には、環境への貢献による公表効果、ESG投資への対応、製品やサービスの炭素排出量を相殺することによるブランディング効果、新しいビジネスチャンスの創出などのメリットがあります。
J-クレジット制度を通じて、企業や団体は脱炭素社会への移行に積極的に貢献し、その過程で経済的な利益や社会的な評価を得ることが期待されます。これは、日本国内におけるカーボンニュートラルへの重要な一歩となる制度です。
フードサプライチェーンの脱炭素化技術
フードサプライチェーンにおいて利用されている脱炭素化技術の一部をご紹介します。
農業用機械の電動化
農業用機械の電動化は、化石燃料に依存する従来のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを、電気モーターとバッテリー(二次電池)に置き換える技術です。この技術により、農業機械は電力をエネルギー源として動作し、化石燃料の使用を避けることが可能になります。
既に小型の耕うん機や刈払機などの歩行型や可搬型機械、荷役用の電動運搬機などが実用化され、市場に導入されています。しかしながら、より大きな動力を必要とする乗用トラクタの電動化には、大容量でありながら小型のバッテリー開発など、さらなる技術革新が必要です。
電動化技術の導入により、露地栽培での乗用トラクタを含む農作業におけるCO2削減が期待されます。特に収穫工程で消費されるエネルギーの削減が大きな影響を与えると考えられており、再生可能エネルギー由来の電力を活用することで、作業時の廃棄物の排出ゼロを目指せます。
また、動力噴霧器や刈払機などの電動化は、作業者の身体負担を軽減し、労働環境の改善にも寄与します。振動や騒音の低減は、農作業の快適性向上につながるでしょう。
バイオマスプラスチック製容器包装
バイオマスプラスチックは、植物や動物由来のバイオマスを原料として製造されるプラスチックであり、化石燃料を使用しないため、環境への負荷が低減されることが期待されています。近年、さまざまなバイオマスプラスチックが開発され、実用化の段階から普及の段階に移行している状況です。
日本では、バイオマス製品の利用と普及を目指す「日本バイオマス製品推進協議会」が、国内のバイオマスプラスチック市場規模の推計や情報の集約を行っています。この協議会は、一般社団法人日本有機資源協会が事務局を務めており、バイオマスマーク認定制度を通じて、物流・包装分野などで700件を超える登録がなされています。
バイオマスプラスチックの導入により、大気中のCO2をバイオマスとして固定化し、石油資源を使用する従来のプラスチック製造に比べてライフサイクルにおける温室効果ガス排出量を削減する効果が期待されます。これは、CO2の排出量削減に貢献し、地球温暖化対策に有効な手段の一つとされています。
バイオ炭の農地施用
バイオ炭は、有機物(バイオマス)を原料として製造される固形炭化物で、木炭や竹炭、鶏ふん炭などがこれに該当します。バイオ炭は、酸素が制限された状態で350℃以上の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物と定義されています。バイオ炭を農地に施用することで、難分解性の炭素を長期間地中に貯留し、温室効果ガスの排出削減に寄与することができます。
バイオ炭の農地への施用は、土壌の透水性、保水性、通気性の改善に効果があり、土壌の質を向上させることができます。また、酸性土壌の矯正や保水性の向上など、目的に応じたバイオ炭の選択が推奨されています。
まとめ
フードサプライチェーンとは?
フードサプライチェーンとは、農林水産物の生産から始まり、その食品が加工、流通、そして販売を経て消費者に届けられ、最終的に廃棄されるまでのプロセス全体を指します。
「2050年カーボンニュートラル」の目標
温室効果ガスの排出と吸収のバランスを取り、実質的な排出量を2050年にゼロにするという目標です。
フードサプライチェーンの脱炭素化技術
・農業用機械の電動化
・バイオマスプラスチック製容器包装
・バイオ炭の農地施用
この記事ではフードサプライチェーンとは何か、 「2050年カーボンニュートラル」の目標、フードサプライチェーンの脱炭素化技術を解説しました。食品業界と関わる上ではフードサプライチェーンを正しく理解しておくことが大切です。
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