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ヒアリハットとは?【食品工場の用語解説】コラム


 「ヒアリハット」という言葉は、主に労働安全の分野で使用される日本語の専門用語です。この言葉は英語の「Near Miss」から来ており、直訳すると「ひやり」「はっと」という感情を表現しています。ヒアリハットとは、事故やトラブルには至らなかったものの、潜在的に危険があった状況を指します。食品工場などの職場では、労働者が「ひやり」としたり「はっと」したりする瞬間があれば、それを記録し、安全対策を強化するために活用します。

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ヒアリハットの重要性

 ヒアリハットの記録と分析は、食品工場の安全管理において極めて重要です。実際の事故が発生する前に潜在的な危険を発見し、対策を講じることで、労働者の安全を守ることができます。また、ヒアリハットの報告は、工場全体のリスクアセスメントに役立ち、潜在的な問題を早期に特定することができます。

ヒアリハットの具体例

 食品工場におけるヒアリハットの具体例をいくつか挙げてみましょう。

滑りやすい床

 清掃後に床が乾いておらず、労働者が滑りそうになった。特に、作業場や休憩室などで床が湿っていると、従業員が転倒してケガをするリスクが高まります。ヒアリハットとして報告する際には、どの場所で、どのタイミングで発生したかを明確に記録し、清掃作業後の乾燥時間を確保するなどの対策を講じます。

機械の誤作動

 包装機が正常に動作せず、労働者が手を挟みそうになった。特に機械の操作中に発生する誤作動は、労働者に重大な危険を及ぼす可能性があります。誤作動が発生した際には、ヒアリハットとして報告し、機械の定期的なメンテナンスや点検を強化する必要があります。また、機械の故障やエラーを迅速に発見するためのシステムや警告機能が重要です。

落下物

 高所に積まれていた箱が不安定になり、落下しそうになった。特に高所作業を行う場合、積み重ねた物が不安定になって落下することがあります。これは、作業員の頭部や体に直接的なダメージを与える危険を伴います。ヒアリハットとして報告し、積み方や収納方法、落下防止措置を見直す必要があります。


 これらの事例は、実際の事故に発展する前にヒアリハットとして報告されるべきです。ヒアリハットを早期に発見し、迅速に対策を講じることが、事故を未然に防ぐための重要なステップとなります。

ヒアリハットの報告方法

 ヒアリハットを効果的に報告するためには、以下のステップを順に実行することが重要です。各ステップにおいて、具体的な方法やポイントを意識することで、より効果的な報告が可能になります。

ステップ1:事象の詳細な記録

 ヒアリハットの報告を始める際、まずは発生した事象を詳細に記録します。

何が起こったのか

 単に「滑りそうになった」などではなく、具体的に「どのような状況で」「どんな危険があったのか」を記載します。例えば、清掃後の湿った床で足を取られそうになった場合、床の状態や作業中だった人物の動きなども記載します。

発生した場所とタイミング

 事象がどこで発生したのか、またその時刻や状況を明確に記録します。例えば、「包装機の前で、午後2時ごろ」といった情報が含まれます。

ステップ2:写真や図を添付する

 可能な限り、事象が発生した場所や状況を示す写真や図を添付します。

視覚的証拠

 写真や図は、後に対策を立てる際や他の人に報告する際に非常に有効です。例えば、滑りやすい床の場合は、床面の状態や清掃後の湿り具合を示す写真を添付します。

状況を視覚化する

 単なる文章だけでは伝えきれない状況を、視覚的に伝えるためにも図やイラストを添付するのが効果的です。例えば、機械の誤作動の際には、機械の内部や誤動作した部品を示す図が役立ちます。

ステップ3:再発防止策の提案

 報告した事象が再発しないように、再発防止策を提案します。

具体的な対策

 「床が乾くまで作業を開始しない」や「機械の定期点検を強化する」といった具体的な対策を提案します。また、問題が発生した原因を分析し、その根本的な原因に対する対策を検討します。

責任者の設定

 どの部署や担当者が対策を実施するのか、具体的な責任者を設定して、再発防止の実行を確実にします。

ステップ4:上司や関連部門への報告

 ヒアリハットの報告は、上司や関連部門に迅速に報告することが大切です。

速やかな報告

 ヒアリハットの事象が発生した際には、できるだけ早く報告を行います。これにより、迅速な対応が可能となり、再発防止策の実行も早くなります。

情報の共有

 関連部署やスタッフに対して、ヒアリハットの情報を共有します。これにより、全員が問題の重要性を認識し、同様のリスクを避けるために注意を払うことができます。

ステップ5:改善策の実行と評価

 最後に、提案した改善策を実行し、その効果を評価します。

実行の進捗確認

  提案した改善策が実際に実行されたかどうかを確認します。実行後は、改善策が実際に効果を発揮しているかを評価し、必要に応じてさらに対策を強化します。

定期的な見直し

  改善策が効果的であるかを定期的に見直し、必要に応じて変更や追加を行います。ヒアリハット報告は一度きりではなく、継続的に行うことで安全対策が強化されます。


 このように、ヒアリハットの報告方法をステップごとに分けることで、実施すべき具体的な行動が明確になり、報告の質が向上します。

ヒアリハットの活用方法

 ヒアリハットを報告するだけでなく、それを分析し、具体的な改善策を講じることが重要です。以下に、ヒアリハットを活用する方法を紹介します。

データの集積と分析

 ヒアリハットの報告をデータベース化し、傾向や共通点を分析します。これにより、潜在的な危険を特定しやすくなります。

教育と訓練

 労働者に対してヒアリハットの重要性を教育し、報告の方法や手順を訓練します。これにより、報告の質が向上し、より正確なデータを収集できます。

定期的な見直しと改善

 ヒアリハットの報告内容を定期的に見直し、改善策を実施します。これにより、工場の安全性が向上し、労働者の安心感も高まります。

まとめ

ヒアリハットは、食品工場における安全管理において重要な役割を果たします。事故やトラブルを未然に防ぐためには、ヒアリハットの報告とその分析を徹底し、具体的な改善策を講じることが求められます。労働者一人ひとりが積極的にヒアリハットを報告することで、事故のリスクを減少させ、より安全な作業環境を実現することができます。

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