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食品工場の資格ガイド|製菓衛生士とは?コラム


 製菓衛生士は、製菓業における食品衛生の専門資格であり、安全で美味しい菓子づくりを支えるプロフェッショナルです。食品工場、特に菓子製造の現場では、HACCPや品質管理の観点からも、製菓衛生士の知識と役割が注目されています。

本記事では、製菓衛生士の資格概要から取得方法、食品工場での具体的な活用場面までをわかりやすく解説します。

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製菓衛生士とは?

 製菓衛生士とは、製菓衛生士法に基づいて都道府県知事の免許を受けた、製菓業に従事する専門職です。主に「菓子類の製造」に携わる際に必要とされる衛生面の知識・技術を有することを証明する国家資格です。

 「製菓衛生士でないと菓子を作れないのか?」という疑問を持たれる方も多いかもしれませんが、実際には資格がなくても製造に従事することは可能です。ただし、品質管理や自主基準の整備が求められる現場では、資格者の存在が重要な指標となっています。

製菓衛生士が求められる理由

 製菓業界は近年、異物混入やアレルギー表示ミスなど、消費者トラブルのリスクと常に隣り合わせにあります。こうした背景から、製造ラインにおける衛生管理の徹底がより一層求められ、製菓衛生士のような専門知識を有する人材が強く求められるようになってきました。

他資格との連携で価値が高まる

 製菓衛生士は単体でも価値ある資格ですが、食品衛生責任者、調理師、衛生管理者などの資格と組み合わせて取得することで、製造現場での活用の幅がさらに広がります。特に、衛生教育やマニュアル整備、第三者認証の対応など、多岐にわたる食品工場のニーズに応えることができます。

菓子衛生士との違いは?

 「製菓衛生士」とよく混同されがちな資格に「菓子衛生士」という名称が存在することがありますが、実際には「菓子衛生士」という正式な国家資格は存在しません。一部の地域や施設で独自に使用されている呼称である場合もありますが、法的に認められた資格ではありません。

 そのため、履歴書や公的な書類では「製菓衛生士」と正しく記載する必要があります。名称が似ているために混乱が生じやすいものの、認知度や信頼性においては製菓衛生士の方が明確に上回っている点に注意が必要です。

資格取得の方法

製菓衛生士の免許を取得するには、以下の2つの方法があります。

1. 養成施設で学ぶ(最も一般的)

 製菓衛生士の取得には2つのルートがありますが、そのうち多くの方が選ぶのが「養成施設ルート」です。専門学校などで体系的に知識と技術を学び、国家試験を経ずに資格を得られるというメリットがあります。

① 厚生労働大臣が指定する製菓衛生師養成施設(通常は2年制の専門学校)を卒業する

② 卒業後、都道府県に免許申請を行う

 このルートの大きな特徴は、国家試験が不要である点です。所定のカリキュラム(食品衛生学、公衆衛生学、栄養学、製菓理論および実習など)をすべて修了し、成績が基準を満たしていれば、卒業時に自動的に資格取得の要件を満たします。

卒業後の免許申請では、学校から発行される卒業証明書と共に、戸籍抄本や手数料の納付書類などを提出する必要があります。審査が通れば、正式に製菓衛生士として認定されます。

2. 実務経験からのルート(試験あり)

 もう一つのルートが、製菓業務の実務経験を活かして受験する「試験ルート」です。すでに現場で働いている方や、過去に製菓の業務に携わった経験がある方にとって現実的な選択肢となります。

 ① 製菓業務に2年以上従事していること

 ② 都道府県が実施する製菓衛生師試験に合格すること

 この試験は各都道府県ごとに年1回程度実施され、受験には事前の申し込みと必要書類の提出(実務証明書・履歴書など)が求められます。試験内容は「衛生法規」「公衆衛生学」「栄養学」「食品衛生学」など多岐にわたっており、幅広い知識が問われます。実務経験があるとはいえ、一定の学習時間を確保しておくことが合格の鍵です。

 試験に合格後、都道府県に免許申請を行えば、製菓衛生士として正式に登録され、資格証が交付されます。

食品工場での活躍シーン

 製菓衛生士は単に「菓子を作る人」ではなく、菓子製造における品質・安全・衛生のプロフェッショナルとして、さまざまな工程に関与できます。とくに近年は「HACCPに沿った衛生管理」の導入が進むなか、製菓衛生士の知見を活かして食品安全文化の向上を図る工場も増加しています。

原材料の衛生チェック(異物・菌数・保存状態)

 仕入れた原材料に異物が混入していないか、細菌の基準値を超えていないか、適切な温度で保管されているかなどを確認します。特にチョコレートやクリーム類などは保存条件が重要で、賞味期限管理も含めて徹底する必要があります。

製造ラインの洗浄・殺菌の適正評価

 菓子製造では砂糖やバターなどが機械に付着しやすいため、製造ラインの洗浄頻度と方法が重要です。洗浄記録のチェックや、ATPふき取り検査を用いた清浄度の評価を行うこともあります。

製造従事者への衛生教育・指導

 手洗いやマスクの着用、毛髪混入防止対策など、作業者の衛生習慣を定着させるための教育を行います。新人研修だけでなく、定期的な再教育やマニュアルの見直しも担います。

自主衛生管理マニュアルの作成・改善

 HACCPに対応した管理計画や手順書を作成し、現場で実施可能な形に落とし込む役割を担います。作業手順の見直しや、記録の簡素化提案なども製菓衛生士の仕事です。

まとめ

 製菓衛生士は、菓子製造現場の安全と品質を守る国家資格です。義務資格ではないものの、衛生意識が高まる今、食品工場での採用や人材育成の一環として導入を検討する企業が増えています。

資格取得のハードルは比較的低く、実務経験からのチャレンジも可能なため、これからの製菓業界で長く活躍したい方には非常におすすめの資格です。


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