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食品工場の生産性を劇的に変える!IE手法とはNEWコラム

食品工場は、人手不足やコスト高騰、品質管理の厳格化など、かつてない課題に直面しています。
そんな現場改善の切り札として注目されているのが、IE手法(インダストリアル・エンジニアリング)。
もともと自動車や電機など製造業で培われてきたこの手法が、今、食品業界にどう生きるのかを解説します。
IE手法とは?
IE(Industrial Engineering)とは、人・設備・材料・情報など生産要素を科学的に分析し、ムダをなくして効率化する技法の総称です。
単なる作業スピードアップではなく、作業の本質を分析し標準化することで、人材不足の工場でも安定した生産を実現します。
食品工場が抱える典型的な課題
労働力不足
慢性的な人材不足で残業や外注が増加
コスト上昇
エネルギーや原材料価格の高騰
品質要求の高度化
HACCP対応や輸出基準への適合
これらの課題に対し、IE手法は「現状のムダを見える化→最適な工程を設計→標準化」という3ステップでアプローチします。
食品業界ならではのIE活用ポイント
食品工場には、他の製造業にはない独特の制約があります。
IE手法を導入する際は、以下の視点が欠かせません。
衛生・安全の確保
清掃や殺菌など外せない作業を短時間かつ確実に行う標準化が必要です。
季節変動や需要の波
需要が急に増減する食品は、柔軟なライン設計が欠かせません。
手作業の多さ
原料の形状や温度にばらつきがあり、自動化だけでは難しい工程が多いため、人の動きを最適化する工夫が重要です。
代表的なIE手法と食品工場での実例
食品工場でIE手法を活用する際は、以下のような代表的技法が特に効果を発揮します。単独で導入するだけでも改善効果がありますが、複数を組み合わせることで相乗効果が期待できます。
動作分析(Motion Study)
作業員の動きを細かく分解し、ムダな動作や移動を削減します。
例:冷凍惣菜工場で盛付ラインを分析したところ、作業台の高さが不適切で余計な歩行が多いことが判明。作業台の高さを調整した結果、歩数を約3割削減し、疲労軽減と生産性向上を同時に実現しました。
時間研究(Time Study)
作業ごとの所要時間を正確に計測して標準時間を設定します。
例:調味料充填工場では、清掃や殺菌工程の段取り時間をIoTで計測し、1日あたり約60分の短縮に成功。衛生基準を維持したまま効率化できました。
工程分析(Process Analysis)
原料搬入から出荷までの工程を俯瞰してムダを見つけ、全体の流れを改善します。
例:製麺工場では通路が複雑で作業者が交錯していました。搬送経路を一本化することで、移動距離を半分以下に短縮し、製品の鮮度保持にも寄与しました。
ラインバランシング
各作業の負荷を均一化して、生産ラインの滞留や待ち時間をなくします。
例:レトルト食品工場では包装工程に負荷が集中。作業を並列化した結果、生産能力が約15%向上しました。
レイアウト改善
工場内の機械や作業台、保管場所の配置を見直して動線を最短化します。
例:冷凍食品工場で冷凍庫を包装室の近くに移設したところ、搬送時間の短縮と製品温度の安定化が同時に達成されました。
作業標準化
作業手順をマニュアル化し、誰が作業しても同じ品質を確保します。
例:製菓工場では計量・検品工程の手順を動画付きで標準化。不良率を30%削減し、新人教育期間も短縮できました。
このように動作分析・時間研究・工程分析・ラインバランシング・レイアウト改善・作業標準化を組み合わせることで、食品工場は「人が主役の自動化」を実現しながら、省人化や品質安定、生産性向上といった成果を継続的に得ることができます。
導入ステップ:今日から始められるIE活用
現場診断
まずは「どこにムダがあるか」を見える化。ストップウォッチだけでなく、BLEビーコンやAIカメラなどデジタルツールを活用します。
改善案の立案
動作分析や工程分析から、レイアウト変更や作業分担の改善案を策定。
標準化と教育
改善後の手順を標準書にまとめ、従業員教育を行い、定着させます。
継続的改善
データを蓄積し、日々の小さな改善を積み重ねることで、持続的な生産性向上が可能です。
期待できる成果
- 省人化・人手不足対策:同じ人数でも生産量アップ
- コスト削減:エネルギーや廃棄ロスの削減
- 品質の安定化:誰が作業しても一定品質を実現
- 自動化投資の効果最大化:機械導入計画を科学的に立てられる
実際にIE手法を導入した冷凍食品工場では、人員を減らさずに生産量を25%増加させた例も報告されています。
まとめ・関連記事
食品工場は今、人手不足やコスト高、品質要求の高度化といった大きな課題に直面しています。
その解決のカギとなるのが、現場に眠るムダを見つけて改善し続けるIE手法です。
IE手法は「古典的な改善技術」と思われがちですが、IoTやAIなどのデジタル技術と組み合わせることでリアルタイム分析や自動制御へと進化しています。実際にAIカメラが作業者の動線を自動計測し、ライン配置を最適化する事例も増えています。これからの食品工場では、デジタル×IEのハイブリッド改善が当たり前になるでしょう。
食品工場がIE手法を活用する際に重要なのは、次の3ステップです。
- 作業を細かく観察し、動作・時間・工程を科学的に見直す
- 改善後は標準化し、データを活用して継続的に更新する
- デジタル技術と組み合わせ、さらなる自動化と省力化を進める
これらを着実に実践していくことで、「人が主役の自動化」を実現し、省人化や品質向上、持続的な生産性アップが可能になります。
まずは明日からできる小さな改善から。IE手法を活かした一歩が、未来の食品工場を強くしなやかに変えていくはずです。
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