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OEEとは?食品工場の設備総合効率を高める方法|3つの指標と改善ポイントNEWコラム

食品工場では、人手不足への対応や生産性向上を目的として、自動化設備やロボットの導入が進んでいます。
しかし、新しい設備を導入しても、
「設備は動いているのに、思ったほど生産量が増えない」
「小さな停止が多く、計画通りに生産できない」
「速度を上げると不良や廃棄が増えてしまう」
といった問題が起こることがあります。
そこで、設備が本来持っている能力をどの程度発揮できているのかを見るために使われる指標が、OEE(Overall Equipment Effectiveness:設備総合効率)です。
農林水産省では、食品製造業の人手不足・人材不足が深刻化しているとして、生産性向上を重要な課題に位置付けています。また、2029年度までの5年間で集中的な省力化投資・生産性向上を進める「省力化投資促進プラン(食品製造業)」も示されています。
設備を新しく導入するだけではなく、今ある設備がどれだけ有効に使われているのかを把握し、改善につなげることも重要になっています。
本記事では、OEEの基本的な考え方から、食品工場でOEEが低下する原因、改善を進める際のポイントまで分かりやすく解説します。
この記事の目次
OEE(設備総合効率)とは?
OEEとは、設備が本来発揮できる能力に対して、実際にどの程度有効に使われているのかを見るための指標です。
OEE = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率
つまり、
時間稼働率 設備が止まっていなかったか
性能稼働率 本来の速度で生産できていたか
良品率 生産したものが良品になっていたか
という3つの視点から、設備の状態を確認します。
単純に「設備が何時間動いていたか」を見るだけではなく、停止・速度低下・不良まで含めて設備の能力がどれだけ活用されたかを見るのがOEEの特徴です。
経済産業省のものづくり白書でも、設備総合効率について、時間稼働率・性能稼働率・良品率を掛け合わせた指標として紹介されています。
OEEを構成する3つの指標
1.時間稼働率|設備が止まっていなかったか
時間稼働率は、設備を動かす予定だった時間のうち、実際にどれだけ稼働できたかを見る指標です。
食品工場で時間稼働率を低下させる要因として、次のようなものがあります。
・設備故障
・段取り替え
・調整作業
・原料待ち
・包材待ち
・清掃後の立ち上げ遅れ
・設備トラブルからの復旧
例えば、設備そのものの処理能力が高くても、製品切替や設備調整で長時間停止していれば、本来の能力を十分に使えているとはいえません。
2.性能稼働率|本来の速度で生産できていたか
設備が動いていても、必ずしも本来の能力で生産できているとは限りません。
・ワーク詰まりによるチョコ停
・センサーの誤検知
・トレイの供給ミス
・包材の位置ずれ
・製品状態に合わせた速度低下
・作業者の処理待ち
・前後設備との能力差
このような原因によって速度を落として運転している場合、設備は「動いている」ため、停止時間だけを見ても問題が分かりません。
止まってはいないものの、本来の能力を出し切れていない状態を見つけるために重要なのが性能稼働率です。
3.良品率|つくった製品が良品になったか
設備を高速で動かして大量に生産できても、不良品や廃棄品が増えてしまえば、生産性が高いとはいえません。
食品工場では、次のような不良が良品率に影響します。
・重量不足、重量超過
・シール不良
・包装不良
・印字不良
・形状不良
・盛り付け不良
・規定条件を満たさない製品
・検査工程での排除
OEEでは、「速くつくる」だけでなく「良品を安定してつくる」ことまで含めて設備効率を見ることができます。
食品工場でOEEを見る意味
食品工場では、「設備はほぼ一日中動いているから問題ない」と考えてしまうことがあります。
しかし、実際には、
設備は動いている
↓
細かな停止が何度も発生している
↓
設定速度より遅く運転している
↓
包装不良や重量不良も発生している
という状態になっていることがあります。
設備の「運転時間」だけを見ていると、これらのロスを十分に把握できません。
停止のロス
速度のロス
品質のロス
OEEを使ってこの3つに分解することで、設備のどこに改善余地があるのかを判断しやすくなります。
経済産業省のものづくり白書でも、設備データからOEEなどを算出し、生産性のばらつきや低下原因を分析して改善活動へつなげた事例が紹介されています。
食品工場でOEEを低下させる代表的なロス
洗浄・衛生管理に伴う停止
食品工場では、設備を生産だけに使うことはできません。
製品切替や一日の生産終了後には、
分解
↓
洗浄
↓
殺菌・衛生処置
↓
乾燥
↓
組み付け
↓
始業・再稼働前の確認
などが必要になります。
特に多品種生産では、製品切替や洗浄に必要な時間が設備の使用可能時間へ大きく影響することがあります。
ここで重要なのは、必要な衛生管理そのものを削ることではありません。
作業の重複、部品待ち、工具待ち、確認待ちなど、衛生管理に必要な作業以外のロスが含まれていないかを見ることが重要です。
チョコ停
数秒から数分程度の小さな停止は、現場では停止時間として記録されていないことがあります。
・製品の詰まり
・包材切れ
・トレイ供給不良
・センサー検知エラー
・製品位置ずれ
・搬送不良
1回の停止は短くても、一日に何十回、何百回と発生していれば大きな生産ロスになります。
「大きな故障はないのに生産数が伸びない」という場合は、こうした小停止を確認することが重要です。
品種切替・段取り替え
食品工場では、多品種少量生産になるほど製品切替の回数が増えます。
「工具を探している」
「交換部品を取りに行っている」
「設定値を確認している」
「交換後の微調整に時間がかかっている」
といった作業まで分解すると、設備そのものを変更しなくても改善できる時間が見つかる場合があります。
前後工程の能力差
設備単体では十分な能力があっても、前工程・後工程との速度が合っていなければ、その能力を十分に発揮できません。
トレイ供給
↓
盛り付け
↓
計量
↓
包装
↓
検査
例えば包装機だけを高速化しても、盛り付け工程が追いつかなければライン全体の生産量は増えません。
OEEを見る際は、設備単体の数字だけでなく、ライン全体のボトルネックがどこにあるかを確認することも重要です。
OEEは「数字を上げること」が目的ではない
OEEを導入すると、「OEEを何%にする」といった数値目標だけが先行してしまう場合があります。
しかし、本来の目的はOEEという数字そのものを高くすることではありません。
なぜOEEが低いのかを分解し、
改善すべきロスを見つける
ことが重要です。
時間稼働率が低い
→ 故障・段取り・待ち時間を確認
性能稼働率が低い
→ チョコ停・速度低下・前後工程を確認
良品率が低い
→ 不良発生条件・設備設定・製品条件を確認
というように、数字から現場の改善へつなげます。
OEEは「現場を評価するための数字」ではなく、「改善する場所を見つけるための数字」として使うことが重要です。
食品工場でOEE改善を進める5つのステップ
STEP1|対象ラインを決める
最初から工場全体を対象にする必要はありません。
・生産量が多いライン
・停止が多いライン
・残業が多いライン
・増産したいライン
・自動化を検討しているライン
など、改善効果が期待できる工程から始めると取り組みやすくなります。
STEP2|停止理由を記録する
最初から大規模なIoTシステムを導入しなくても、まず停止状況を記録するところから始めることができます。
何時に止まったか
↓
何分止まったか
↓
なぜ止まったか
停止理由を「故障」「段取り」「原料待ち」「包材待ち」「清掃」「チョコ停」「作業待ち」などに分類すると、どのロスが大きいのかが見えやすくなります。
STEP3|速度低下を確認する
設備の基準となる速度と、実際の生産速度を比較します。
設備仕様上は毎分100個処理できるにもかかわらず、実際には毎分70個で運転しているのであれば、「なぜ速度を落としているのか」を確認します。
重要なのは、単純に設定速度を上げることではありません。
なぜ速度を落とす必要があるのか?
↓
前工程が追いつかないのか?
後工程が詰まるのか?
製品が崩れるのか?
不良が増えるのか?
まで確認することで、設備以外の問題が見えてくることがあります。
STEP4|不良を設備条件と結び付ける
不良品の数量だけではなく、
・いつ発生したか
・どの製品だったか
・どの設備だったか
・どの設定条件だったか
・どのタイミングから増えたか
まで記録できれば、設備条件と品質の関係を分析しやすくなります。
STEP5|最も大きいロスから改善する
OEEを確認した後、すべてを一度に改善する必要はありません。
停止ロス 120分
速度低下によるロス 40分
不良によるロス 15分
という状態であれば、まず停止ロスの原因から確認した方が大きな改善効果を期待できます。
「最も大きなロスはどこか」を確認し、優先順位を付けて改善することがOEE活用の基本です。
OEEを見るときに注意したいポイント
工場同士を単純比較しない
製造する食品、品種数、設備構成、衛生条件などが違えば、OEEの前提条件も異なります。
そのため、異なる工場・異なるラインのOEEだけを単純に比較するよりも、同じラインで改善前後を比較する方が改善活動に活用しやすい場合があります。
計算ルールを統一する
清掃、休憩、点検、製品切替などをどのように扱うのかが人によって異なると、同じOEEでも意味が変わってしまいます。
経済産業省のものづくり白書でも、設備総合効率を活用する際には、停止時間の定義や加工条件などを標準化することの重要性が紹介されています。
OEEを継続的に比較するのであれば、まず自社で計算条件をそろえることが重要です。
OEEだけで食品工場全体を評価しない
OEEは設備の使われ方を見るうえで有効な指標ですが、食品工場全体の生産性をOEEだけで評価することはできません。
・歩留まり
・人時生産性
・食品ロス
・原材料ロス
・エネルギー使用量
・労務時間
なども合わせて確認する必要があります。
例えば、OEEが改善しても、原料ロスや人員負担が大きく増加しているのであれば、工場全体として最適な改善になっているかを改めて確認する必要があります。
まとめ
OEE(設備総合効率)は、
時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率
によって、設備が本来持つ能力をどの程度有効に活用できているかを見るための指標です。
食品工場では、
・設備故障
・段取り替え
・洗浄
・チョコ停
・速度低下
・供給不良
・包装不良
・前後工程との能力差
など、さまざまな要因によって設備能力が失われています。
重要なのは、OEEの数字だけを追いかけることではありません。
「設備が止まっているのか」
「速度が落ちているのか」
「不良が発生しているのか」
を切り分け、最も大きなロスから改善していくことが重要です。
食品製造業では今後も省力化・生産性向上が重要になるため、新しい設備を増やすだけでなく、「今ある設備の能力をどこまで引き出せるか」という視点も持って改善を進めていきましょう。
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