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ゼリーカップができるまで!原料充填から密封までの自動ライン解剖コラム


ぷるんとした食感と果実の風味が楽しめるゼリーカップ。

一つのカップの裏側には、食品製造業の最先端システムや生産ラインの自動化、精密な機械・装置が稼働する世界があります。

ここでは、原材料の準備から容器への充填、密封、冷却、出荷に至るまでの工程を一覧で整理しながら、自動化の最新動向や現場で取り組まれている課題解決の手法を詳しく解説します。

出発点:原料の準備・調達

ゼリーカップの製造は、まず「原料が現場に届く」ところから始まります。果汁や糖、ゲル化剤、香料、場合によってはフルーツの固形物などが本ラインに投入されます。地域立地の食品工場においては、原料供給の安定確保や物流条件がむしろボトルネックとなることも多く、ここでの効率化・自動化が成否を分ける場合があります。


例えば、フルーツ入りカップゼリーでは、カット済みフルーツの供給・保管・投入の前段取りが必要です。ここで手作業中心だと“投入のばらつき”“水っぽくなる”“衛生管理の乱れ”など問題が出やすい。近年、自動供給装置・温度管理ホッパー・搬送ロボットなどの導入で、こうした課題を克服する事例が報告されています。

容器供給/セット工程

次のステップは、ゼリーを入れるカップ容器の供給・セットです。自動化ラインでは、以下の流れが典型的です

  • 空カップがストッカーや容器ホッパーから供給される。
  • カップがコンベヤで充填位置まで搬送される。
  • 必要に応じて、容器の清掃、除塵、検査機能が装備される。

この工程で流れが止まると全体が滞るため、装置の信頼性とスピードは極めて重要。省人化の観点から、協働ロボットによる容器供給・搬送も増えており、柔軟な機構の採用で多様な容器形状にも対応可能です。

充填工程(第1層・第2層)

充填工程は、ゼリー製造の“要”です。自動化の視点では以下のポイントが重要です。

多層タイプへの対応

フルーツ+ゼリーなどの2層構造に対応するため、充填機を2台搭載し、第1・第2充填を分ける構成が活用されています。

温度・素材の管理

ゼリー液は温度管理がカギ。ホット充填では温水循環・温調機を活用した安定した温度制御が不可欠です。具材が「浮く/沈む」問題には、ホッパー攪拌機構付きの充填機が効果的。

精度とスピード

液こぼれや充填量のバラつきを防ぐには、ノズル径やピストン・サーボ制御などを駆使した高精度・高速充填機が有効です。

シール/トリミング工程

充填後のカップは、フィルムや蓋を使ってシール・密封され、フィルムのトリミング処理へ。

全自動シール機の導入

容器供給からシールまで全自動で行う装置は、液体製品でも高いシール精度と液漏れ防止を実現。

シール不良・検査の自動化

  • AI外観検査システムの導入で、従来人手で行っていた検査を自動化。特に果肉の噛み込みなども確実に検知できるように。
  • 一体型装置(トリミング、スクラップ巻取、フィルム供給・切断など)で工程短縮・歩留まり向上を実現。

殺菌・冷却・仕上げ搬送工程

シール後は殺菌・冷却へ。ゼリー製品は温度管理が重要なため、熱処理と冷却のバランスが設計上の要です。

その後は、ラベル貼付、バーコード印刷、ケース梱包、出荷準備へと進みます。AGVやロボット搬送が自動化を支援しています。

なぜこの工程設計が食品工場に適しているのか?

食品工場は以下のような課題を抱えています


  • 人手不足と高い離職率
  • 単調作業の多さと作業固定化
  • 多品種少量生産への対応
  • 地方立地による採用難・スペース制限


これらを解決するのが、連続したライン自動化。充填から検査までの一貫設計が、省人化と品質安定の両立を可能にします。

導入前に押さえておきたいチェックリスト


容器仕様

  • 容器の形状(φ、高さ)、素材(PET、PSなど)
  • 容器供給・切り替えのしやすさ

充填条件

  • 単層/多層構成、具材有無
  • 温度管理(ホット/冷却)、攪拌の有無
  • 充填精度・速度要件

シール構成

  • フィルムの種類・形状・トリミング
  • 不良検知、液漏れ対策、AI検査有無

後工程(搬送・殺菌・冷却)

  • 搬送装置、滞留時間、設備サイズ
  • 出荷ラインとの接続計画

メンテナンスと操作性

  • 洗浄性、誰でも扱えるUI設計
  • 故障時対応、部品交換、運転立上げのしやすさ

まとめ・関連記事

本記事では、ゼリーカップの製造工程を自動化の視点から解説しました。
工場ごとに課題は異なりますが、ラインを「連携させて設計」することが、省人化・効率化・品質安定に直結します。

単一の装置導入ではなく、「どこを自動化すべきか」「どの順で導入すれば効果が最大化するか」を見極めることが成功のカギです。

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