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その体調不良、もしかして熱中症?現場で役立つ初期症状の見極め術NEWコラム


 気温と湿度が一気に高まる夏場、食品工場や物流倉庫などの現場では、毎年のように熱中症による体調不良が発生しています。実際、「少しだるい」「ちょっと頭が痛い」など、何気ない不調を訴えていたスタッフが突然倒れてしまう――そんな事例も少なくありません。

 特に注意したいのは、まだ身体が暑さに慣れていない時期です。暑熱順化が進んでいない状態では、わずかな気温の変化でも体調を崩しやすく、熱中症のリスクが高まります。高齢者や体力に不安がある方は特に要注意で、早めの対処法を知っておくことが重要です。

 本記事では、食品工場の現場で役立つ熱中症の初期症状の見極め方や、もしものときの初期対応、日頃の予防対策についてわかりやすく解説します。

なぜ熱中症の初期症状は見逃されやすいのか?

 食品工場のような高温多湿な環境では、作業に集中しているうちに体調の変化に気づかないことがあります。特に熱中症は、風邪や疲労、睡眠不足などと症状が似ており、初期段階で見逃されやすいのが特徴です。

熱中症は段階的に進行する

 熱中症は、軽度(I度)→中等度(II度)→重度(III度)と段階的に悪化していきます。

軽度(I度)

 めまいや立ちくらみ、筋肉のこむら返り、大量の発汗などが見られる段階です。意識ははっきりしていますが、体がだるく感じたり、吐き気を伴うこともあります。

中等度(II度)

 頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力の低下が目立ち、意識がもうろうとすることもあります。早急な処置が必要であり、必要に応じて医療機関への相談・受診も検討すべき段階です。

重度(III度)

 意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温(40℃以上)など、命の危険を伴う症状が現れます。すぐに救急搬送し、適切な医療機関での処置が不可欠です。

初期症状が「日常の疲れ」と似ている

 倦怠感や集中力の低下、眠気、食欲不振などの症状は、睡眠不足や通常の疲労でも起こるため、「ただの疲れかな」と見過ごされてしまいがちです。特に、交代勤務や夜勤がある現場では、慢性的な疲労との見極めが難しいこともあります。

本人も気づきにくく、無理をしやすい現場環境

 真面目なスタッフほど「自分はまだ大丈夫」と頑張ってしまいがち。特に人手不足の現場では、無理をして作業を続けることが命取りになるケースもあります。無理が重なれば、症状は一気に進行し、救急搬送が必要になるリスクも高まります。

現場で注意すべき熱中症の初期症状とは?

よくある初期症状5つ

頭痛・吐き気・めまい

 軽い頭痛や立ちくらみ、吐き気は最初のサイン。風邪と間違われることも。

倦怠感・集中力の低下

 作業の手が止まったり、ぼんやりしている様子に注意。

大量の汗、または逆に汗が出ない

 汗のかき方が普段と異なる場合は要注意です。

皮膚の異常(赤み・乾燥など)

 皮膚が乾いていたら脱水の可能性も。

脈が早くなる・息切れ

 軽作業でも息が上がるようなら、身体が危険信号を出しているかもしれません。

 これらは一見、日常的な症状のように思えるかもしれません。しかし、これらのサインを「たかが不調」と軽視することで、熱中症の重症化を招くことにもつながります。

チェックリストでセルフ確認

以下のようなチェックシートを活用することで、スタッフ自身が早期に体調の変化に気づける仕組みを作れます。

  • 今朝から何となく体がだるい
  • いつもより汗の量が多い/少ない
  • 頭痛や吐き気がある
  • 集中力が続かない
  • 皮膚が赤く、熱を持っている
  • 水分補給をしても喉が渇いたまま

一つでも該当する場合は無理をせず、すぐに対処しましょう。

他人の変化にも気づく「声かけ」が重要

 本人が気づいていない場合でも、周囲が「顔色が悪い」「動きが鈍い」などの異変に気づけるよう、日頃から声をかけ合う文化づくりが大切です。「大丈夫?」と一言かけるだけでも、事故の未然防止につながります。

熱中症が疑われたときの初期対応と予防策

まずは涼しい場所へ避難させる

 風通しのよい日陰や休憩所、エアコンの効いた事務所などに移動させ、身体を冷やすことが最優先です。首、脇の下、足の付け根など太い血管が通る場所に冷却材を当てると効果的です。

水分・塩分の補給をすばやく

 水だけでなく、塩分も同時に補える経口補水液やスポーツドリンクの常備が効果的です。麦茶や緑茶は利尿作用があり、脱水を進行させることもあるため、状況に応じて使い分けましょう。

工場でできる予防対策

作業スケジュールの見直し

 暑い時間帯は作業を軽減するなど、無理のない計画を立てましょう。

空調・換気・冷却設備の点検

 スポットクーラーや送風機の活用も検討しましょう。

こまめな休憩・声かけの習慣化

 休憩を取りやすい雰囲気と、声をかけ合うチーム文化が事故防止につながります。

作業服やヘルメットの通気性改善

 吸汗速乾素材や冷感インナーなど、熱がこもりにくい工夫も有効です。

教育・訓練の実施


 熱中症に関する勉強会やケーススタディを定期的に行い、現場の意識向上を図りましょう。

現場に常備したい!おすすめ熱中症対策グッズ

日常的な予防や初期対応に役立つグッズを備えておくことで、いざというときの対応力が高まります。

経口補水液

 脱水状態の回復に有効。作業現場には常にストックを。

塩飴・タブレット

 手軽に塩分を補給できる携帯用アイテム。

冷却スプレー

 首筋や脇の下などを瞬時に冷やせるため、応急処置に便利です。

アイスベスト(冷却ベスト)

 長時間作業する方には、身体の深部体温を効果的に下げる冷却ベストが有効。

携帯型温湿度計

 現場の環境を「見える化」することで、作業判断の参考になります。 これらのアイテムを定期的に点検・補充し、誰でもすぐに使える状態を保っておくことが、事故防止につながります。

まとめ・関連記事

見逃さず、早めの対応で守る現場の安全

 「なんとなく不調」も現場では立派なリスクのサインです。スタッフ一人ひとりが体調変化に敏感になるとともに、周囲が異変に気づいてフォローできる体制を整えることが、安全な職場環境づくりにつながります。

 また、管理者は「熱中症は防げる災害」であることを念頭に置き、ハード・ソフト両面からの対策を定期的に見直すことが重要です。初期症状を正しく理解し、いざというときに備えることで、現場の安全と生産性を両立させましょう。

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