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食品包装を徹底解説:工程や注意点、自動化技術がもたらす利点と解決策などNEWコラム


 食品包装は、製品の品質を保ち、安全を確保するための欠かせないプロセスです。2021年の食品衛生法改正により、日本では全ての食品事業者に対し、HACCP(危害分析重要管理点)に基づく衛生管理が義務付けられました。しかし、包装工程には異物混入やかみこみ不良といった課題が依然として残っており、これに対応するために自動化技術が導入され、効率化と品質向上が進んでいます。本記事では、食品包装の具体的な工程や注意点を解説し、最新の自動化技術がどのようにこれらの課題を解決し、安定した品質を実現するかをご紹介します。食品工場で役立つ実践的な知識や、品質向上・効率化のためのポイントもお伝えします。

 また、YouTubeでは包装工程でのかみこみ検査や異物検査に注目した動画を公開しておりますのでコチラの動画もぜひご覧ください。

食品製造における包装工程の流れと注意点

 食品の包装工程は、商品の品質保持と運搬時の保護だけでなく、消費者(お客様)の信頼を得るためにも非常に重要です。ここでは、一般的な包装工程の流れと各工程において注意が必要なポイントをご紹介します。

Step.1 製品の充填

作業内容

 食品を適切な容器や包装材(包材)に詰める段階です。このプロセスでは、製品が規定量充填されているかどうかが重要であり、不足や過剰充填は消費者の信頼を損なう可能性があります。最近では、正確な充填を可能にする自動計量機が普及しており、これにより生産の効率化が実現しています。また、充填する食品の性質に合わせた包装材(プラスチック、紙、ガラス等)を採用することで充填工程でのトラブルを防ぎ、品質維持に寄与します。

注意点

 適切な充填量の維持:製品が規定量通りに充填されることは、消費者の信頼を守るための基本です。過剰充填や不足充填が起こると、コスト上の問題や消費者クレームにつながる可能性があるため、規定通りの充填量を維持することは非常に重要です。

 製品に合わせた充填方法および包材の選定:液体や粉体など食品の性質に合わせて最適な充填方法および包材を選定することは品質を維持・管理する上で非常に重要です。例えば、液体の製品を充填する場合は、ポンプ式充填機を使用することで正確な量を充填することができます。また、漏れを防ぐために密閉性の高い容器が望ましいです。一方、粉体の場合は、粉末が漏れない構造や、詰まりを防ぐ構造を備えた充填機や充填方法を考える必要があります。また、粉体は湿気を吸収しやすく、品質や風味に影響を受けやすいため、防湿性が高い包材を用いることが良いでしょう。

 衛生管理:充填機は食品に直接触れるため、機械の清掃やメンテナンスを徹底することが必要です。適切なクリーニングスケジュールを策定し、異物混入や細菌繁殖のリスクを低減することが求められます。

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Step.2 シールおよびラベルの貼り付け(包装作業)


作業内容

 シールとは、充填した製品が外気や湿気から守られるように、包装材を密閉する作業です。これにより、酸化や湿気、微生物の侵入を防ぎ、製品の品質保持を実現します。


シール不良が発生すると、食品の酸化や劣化を招き、消費者に安全でない製品が届くリスクがあります。ラベルには、製品名、製造日、賞味期限、原材料などの重要情報が記載されており、ラベル不良(表示ミスや印字の一部乱れなど)が発生すると誤解や混乱を招く恐れがあります。シールの品質を向上させるために、近年では高精度なヒートシール機やラベル貼り付けロボットが導入され、正確かつ高速な包装が実現しています。

注意点

 シールの密閉性:シール不良は、食品の酸化や劣化を招く原因になります。ヒートシールなどの密閉機器が適切に動作するか、温度や圧力などのシール条件が合っているかのチェックが重要です。

 ラベルの正確な貼り付け:ラベルには、製品名や賞味期限、成分表などの重要な情報が含まれます。ラベルが正確に貼付されているか、内容が正しいかの確認が必要です。誤ったラベルが貼られると、消費者が誤解する可能性があるため、定期的な検査が求められます。

 ラベルとシールの品質管理:高精度なラベル貼り付け機やヒートシール機の導入が増えていますが、定期的なメンテナンスと品質テストも重要です。特に高速作業中に起こり得るズレや剥がれを防ぐための定期点検が求められます。

Step.3 検査と出荷準備

作業内容

 最終的に包装された製品が品質基準を満たしているかを確認する工程です。この段階で、かみこみ不良や異物混入がないか、シールが確実に行われているかを確認します。特に異物混入は、食品業界全体に対する信頼を損なう深刻な問題であり、最新の自動検査技術を活用することで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。

 検査機器の自動化も進んでおり、X線や金属探知機を使った異物検査や、かみこみ検査装置が導入されることで、人為的なミスを減らし、精度の高い検査が可能となっています。

注意点

 異物混入の検査:X線検査や金属探知機などを用いた異物検査は、消費者の安全を守るために不可欠です。異物混入が発見された場合、ただちに製造ラインの見直しと改善が必要です。

 シールの完全性検査:かみこみ不良やシール不良は、食品の劣化や異物混入の原因になります。シールの完全性を確認するための検査装置の使用に加えて、製造環境の清潔さや湿度・温度の管理も重要です。

 出荷基準の徹底:出荷前の最終チェックとして、製品がすべての基準を満たしていることを確認します。不良品が含まれていないか、パッケージに損傷がないかなどの目視検査や、自動検査システムの導入が、出荷時のクオリティー維持に役立ちます。

さい。

包装工程で導入される自動化装置4選

 最後に、包装工程の各Stepで導入されている自動化装置を4つご紹介致します。今回紹介する4つの自動化装置は、いずれも人手で行う場合と比較して生産スピードを大幅に向上させることが可能な装置となります。省人化と併せて生産性向上も視野に入れている方、大量生産を検討されている方など、包装工程の自動化を検討される際の参考にぜひご活用下さい。

1. 充填機(オートフィラー)

 充填機は、容器に内容物を正確に詰めるための装置であり、液体や粉末、固形食品など、さまざまな製品に対応しています。充填する製品によって物性が異なるため、それぞれの特性に合わせた専用の充填機が存在し、液体、粉体、ペースト状など食品の性質に合わせた最適な充填機を選定することが大切です。それ以外にも、充填する食品のサイズや、充填量、求められる充填能力(スピード)、充填精度によって充填機や充填方法は異なってきます。特に食品業界では品質や安全性を維持するために、充填精度が高く管理しやすい充填機が求められる傾向にあります。充填機は食品のみならず、医薬品や化粧品、洗剤など、日常生活に欠かせない様々な製品にも利用されており、業界全体で幅広く導入されています。

充填機についてもっと知りたい方はコチラ

2.シール機(シーラー)

 シール機は、製品を包装材で密封(シール)するための機械で、食品の鮮度や品質を保持するために欠かせない装置です。食品は酸素や湿気、異物の影響を受けやすいため、密閉性が高く、衛生的なシール加工が重要です。シール機には用途や包装材に応じた様々なタイプが存在し、食品の性質や製品形状に合わせて使い分けられています。例えば、ヒートシール機は熱と圧力を利用して包装材を圧着する方式で、袋やパウチを密閉する際に最も一般的に使われます。

シーラーについてもっと知りたい方はコチラ

3.ラベリング装置

 ラベリング装置は、商品名、製造年月日、賞味期限、バーコードなど、様々なラベル貼りを行う装置です。ラベル貼り工程は主に、印字、剥離、貼り付けの3つの工程がありますが、それぞれの工程いずれかのみを行う装置と、2種類以上、もしくは全ての工程を担う機器に分かれます。また貼り付ける対象の形状、材質によっても専用の機器が存在します。ラベラーを使用する事によって作業効率の向上だけでなく、貼り付けミスやズレ、ゆがみを防ぎ、均一な商品づくりが可能になります。

ラベリング装置についてもっと知りたい方はコチラ

4.異物検査装置

 異物検査装置は、製品の内部や表面に異物が混入していないかを確認し、消費者に安全な製品を届けるための重要な役割を担う装置です。代表的なものに、金属検出器やX線検査装置がありますが、それ以外にも異物を確実に選別し除去するための様々な装置が活用されています。

 例えば、色彩選別機は製品の色味の違いから異常品を検出し、比重の違いを利用した風力選別機は製品の比重差で異常品を除去します。また、磁力選別機は、磁気のある異物を付着させて取り除くことが可能です。これらの異物選別機を組み合わせることで、製造現場における多様な異物混入リスクに対処し、市場への異物混入品の流出を防止する体制が整えられます。

 異物検査装置は、重要管理点(CCP:Critical Control Point)に位置付けられており、異物検出の精度や信頼性が高く求められます。そのため、異物検査装置の運用においては、異物の検出方法やトラブル事例を把握し、適切にメンテナンスや検査精度の管理を行うことが大切です。これにより、異物混入リスクの低減と消費者の安全確保が実現します。

異物検査装置についてもっと知りたい方はコチラ

まとめ

 食品の包装工程は、製品の品質保持と消費者の信頼を守るために欠かせない重要なプロセスです。本記事では、充填、シール・ラベル貼り、検査と出荷準備の3つのステップに分けて、工程の詳細と注意点を紹介しました。また、各工程で導入されている自動化装置の役割についても触れ、効率化や品質向上にどのように貢献するかを解説しました。さらに、YouTube動画でも包装工程での検査や異物防止のポイントを紹介しているので、視覚的な学びとしても活用いただけます。食品工場の現場における包装工程の自動化は、作業効率の向上と消費者の安全確保を両立する重要な要素であり、今後もさらなる改善と技術導入が期待されています。


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