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食品工場の資格ガイド|電気工事士とは?コラム


 食品工場では、自動化・省力化の流れに伴って、ますます多くの電気設備や制御盤が導入されています。それに伴い、「電気工事士」という国家資格の重要性が高まっています。

 この記事では、食品製造現場での電気工事士の役割や、第一種・第二種それぞれの違い、取得方法、現場での活用例などをわかりやすく解説します。

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電気工事士とは?

 電気工事士とは、電気設備の工事や保守管理を安全に行うために必要な国家資格です。電気工事士法に基づき、一定規模以上の電気設備の工事は有資格者のみが従事できると定められています。

対象となる電気工事の種類と範囲

 電気工事士の資格が必要とされる工事は、以下の3つの分野に大別されます。

600V以下の電気設備(低圧)の工事【第二種対応】

 食品工場内の包装機や冷蔵庫、作業用照明などに用いられる配線工事が該当します。たとえば、分電盤から各機器までの電源を安全に供給するための電気配線や、作業場のLED照明の設置工事などです。これらの工事には第二種電気工事士の資格で対応できます。


600Vを超える高圧設備の工事【第一種対応】

 高圧電力を受電して構内へ供給する受変電設備(キュービクルなど)の設置や、大型の冷凍機やモーター設備の配線、遮断器・高圧開閉器の取り扱いが含まれます。大規模食品工場ではこれらの工事が日常的に発生するため、第一種電気工事士が必要となります。

照明・動力・制御機器に関わる工事全般

 工場の自動化が進む中で、センサーやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)、リレーなどの制御機器を正確に配線し、安全に稼働させる技術が求められます。また、配線トラブル(ショート・漏電・断線)が発生した際には、迅速に原因を特定し修復を行うスキルも必須です。


 これらの作業を行う際、無資格者が担当することは法令違反となり、重大な事故やトラブルの原因になりかねません。そのため、食品工場でも電気工事士の存在は欠かせません。 上記の電圧区分にかかわらず、スイッチ、分電盤、配線器具、センサー、リレー、タイマーなどを含む各種電気機器の設置と接続工事が対象です。食品工場では、衛生管理用のセンサーや自動搬送設備の電気配線が該当します。

食品工場における必要性

ラインの立ち上げ・変更作業

 食品工場では、新しい製造ラインの立ち上げ時や設備の入れ替え、工程変更が頻繁に発生します。そうした際、機器に電源を供給するための配線作業や、既存の回路の切替・増設といった工事が必要です。これらは電気工事士が安全に対応する領域であり、生産計画への影響を最小限に抑えるためにも迅速かつ正確な対応が求められます。

異常発生時の迅速な電気診断

 製造中に機械が停止した場合、原因が電気的なトラブルであることも多く、電気工事士が絶縁不良や断線、漏電などを即座に調査・特定する役割を担います。工場の稼働停止による損失を防ぐためにも、資格を持った技術者が現場に常駐していることは非常に重要です。

日常の安全点検や漏電対策

 定期的な点検により、配線の劣化や端子の緩み、アース不良といったトラブルの予防が可能になります。また、漏電遮断器や避雷設備などの保守・確認も電気工事士の業務に含まれます。これにより、食品の安全を守る環境が整えられるだけでなく、作業者の感電リスクも大幅に軽減されます。

電気工事士の種類と違い

 電気工事士は第二種電気工事士と第一種電気工事士の2種類に分かれます。


資格区分

主な工事範囲

活躍場所

第二種電気工事士

一般住宅・商店・工場内の600V以下の配線工事

小中規模の食品工場、補助機器など

第一種電気工事士

ビル・工場など高圧受電を含む配線設備の工事

大規模食品工場、受変電室、プラント系

選び方のポイント

食品工場の規模や扱う機器の電圧に応じて必要資格が変わる

 たとえば、包装機や充填機などの低圧機器しか使わない小規模な工場であれば第二種電気工事士の資格で十分対応可能ですが、大型の冷凍設備やプラントライン、高圧受電設備などを備えた大規模工場では、第一種電気工事士でなければ扱えない業務が多数存在します。そのため、工場の設備仕様と今後の拡張計画を踏まえて、どの資格が必要かを判断することが重要です。

将来のキャリアアップを考慮して第一種取得を目指す人も多い

 食品工場の中でも、設備保全部門や施設全体のエネルギー管理を担うようなポジションでは、より広い工事範囲をカバーできる第一種電気工事士の資格が重宝されます。また、現場リーダーや設備マネージャーへの昇格を目指すうえでも第一種の取得は有利であり、転職市場でも評価される要素の一つとなっています。

資格取得の方法と流れ

第二種電気工事士

受験資格

 年齢・学歴・実務経験不問

試験内容

  • 筆記試験(電気理論、配線図、電気機器、法規など)
  • 技能試験(複線図作成と配線実技)

試験実施

 年2回(上期・下期)

合格率

 50〜60%程度

第一種電気工事士

受験資格

 年齢・学歴・実務経験不問

試験内容

  • 筆記試験(高圧理論、法令など)
  • 技能試験(高圧系実技を含む)

試験実施

 年2回(上期・下期)

免状交付

 合格後、3年以上の実務経験を経て各都道府県に申請

合格率

 30〜40%程度(難易度高)


 

まとめ

 電気工事士は、食品工場の安全で効率的な生産ラインを支える縁の下の力持ちです。製造現場の電気に関する課題に柔軟に対応できる人材として、今後ますます需要が高まる資格といえるでしょう。

とくに機械の自動化やIoT導入が進む現場においては、電気工事士の存在は欠かせません。第二種からのステップアップや、第一種の取得を通じて、長期的なキャリアの土台を築くことが可能です。

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