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受水槽徹底解説!

受水槽とは?

受水槽とは、学校や病院、マンション、アパート、ビル、住宅などのさまざまな建築物に設置される給水設備であり、水道から供給される水を一時的に貯蔵するために使用されます。特に、3階建以上の住宅や、多量の水を使用する施設では、水圧が不足する可能性があるため、受水槽を設置することで安定した配水を確保することが一般的です。受水槽は、外部から供給された水道水を貯め、必要に応じて各部屋やフロアへと供給する役割を担っています。そのため、マンションやビルの所有者は、この設備の管理責任を負い、適切なメンテナンスを行うことが求められます。

さらに、受水槽に関連する衛生管理は非常に重要です。受水槽が設置された建物では、定期的な清掃や点検が法律によって義務付けられており、これを怠ると水質の悪化や健康被害のリスクが高まります。特に、受水槽内に貯えられた水が汚染されると、そこから供給される水も同様に汚染される可能性があり、飲用や生活用水としての安全性が損なわれます。そのため、定められた基準に従い、保健所の指導のもとで受水槽の衛生管理を徹底する必要があります。清掃や点検を定期的に行い、貯水槽内の水質が常に適切に保たれていることを確認することが不可欠です。

この記事では、受水槽の基本的な原理や種類、選定時に考慮すべきポイントについて詳しく紹介します。また、受水槽の管理が不十分であった場合に発生し得る健康被害を防ぐための具体的な管理方法についても解説します。適切な受水槽の設置と管理は、建物全体の給水システムの信頼性を高めるだけでなく、居住者や利用者の健康を守るためにも重要な要素です。そのため、受水槽を設置する際には、その構造や機能、維持管理の方法について十分に理解し、最適な選択を行うことが必要です。受水槽の管理に関する最新のガイドラインや技術も取り入れ、持続可能で安全な水供給を確保することが求められます。

  • 受水槽の種類、原理、使用用途について

    【受水槽の種類】
    受水槽にはいくつかの種類があり、その管理には水道法および環境保護に関する規定が適用されます。具体的には、次のように分類されます。

    ・10㎥を超える受水槽
    このタイプの受水槽は「簡易専用水道」として分類され、水道法に基づく特別な規制を受けています。簡易専用水道とは、10㎥を超える受水槽を持つ施設に適用されるもので、通常の受水槽とは異なり、より厳格な管理と監視が求められます。この受水槽の管理者には、年に1回の定期的な清掃が義務付けられており、これは水道水の品質を維持し、受水槽内での水の安全性を確保するために不可欠な作業です。適切な清掃を行わない場合、水質が悪化し、建物の利用者に健康被害が及ぶ可能性があるため、非常に重要なプロセスです。

    さらに、これらの受水槽に対しては、厚生労働大臣が指定する検査機関等による定期検査も義務付けられています。この検査は、年1回行われ、水質の安全性だけでなく、受水槽が設置されている環境への影響についても確認されます。具体的には、受水槽内の水が安全に使用できるか、また外部からの汚染が発生していないかなど、さまざまな要素が検査の対象となります。これにより、受水槽の運用が適切に行われていることが確認され、長期にわたって安全で信頼性の高い水供給が保証されます。

    また、この定期検査の結果は、検査機関から提供される報告書に記録され、管理者が責任を持って保管しなければなりません。これにより、必要な場合にはいつでも検査の結果を確認できるようになり、また将来的に発生する可能性のあるトラブルへの対応も迅速に行えるようになります。このように、10㎥を超える受水槽は、単なる水の貯蔵設備ではなく、厳格な管理と定期的な検査によってその安全性が確保される設備であり、その維持管理には高度な責任が伴います。これらの管理と検査の義務を果たすことにより、利用者に安心して使用できる安全な水を提供することができるのです。

    ・10㎥以下の受水槽
    このタイプの受水槽は「小規模貯水槽水道」として分類され、特に自治体の条例や規制に従った管理が求められます。水道法による規制はもちろんのこと、各自治体が独自に定める環境保護や衛生管理の基準にも従う必要があります。これにより、小規模な貯水槽であっても、適切な管理が行われなければならず、受水槽を管理する者はその責任をしっかりと果たすことが求められます。

    例えば、各自治体は受水槽の定期的な清掃や点検を義務付けており、その頻度や方法についても詳細なガイドラインを提供しています。これらのガイドラインは、地域の特性や気候、環境状況に基づいて策定されており、それぞれの地域に最適な管理方法を提供することを目的としています。具体的には、水質検査の頻度や受水槽内の清掃手順、さらに万が一の水質汚染が発生した場合の対応策などが含まれています。
    さらに、自治体の条例に基づく管理には、環境への影響を最小限に抑えるための措置も含まれています。これには、受水槽の設置場所や周囲の環境に関する規制があり、例えば、周囲の土壌や地下水に影響を与えないような設置方法が求められることがあります。また、受水槽の設置が地域の景観や生態系に与える影響も考慮されることがあり、そのための事前調査や報告が必要となる場合もあります。

    このように、「小規模貯水槽水道」として扱われる10㎥以下の受水槽であっても、単なる小規模設備として軽視されるべきではなく、適切な管理と保守が必要です。自治体の規制に従い、受水槽の定期的な点検や清掃を行うことで、水質の安全性を維持し、施設の利用者に安全な水を供給することが求められます。これらの管理義務を怠ると、地域社会における信頼を損なうだけでなく、法律違反として罰則を受ける可能性もあるため、受水槽管理者は常に最新の条例や規制に目を配り、適切な対応を行うことが重要です。
    これらの規定により、受水槽の適切な管理が求められ、清潔な水の供給と環境保護が確保されるようになっています。

    【受水槽の原理】
    ・高置水槽式
    高置水槽式は、建物の給水システムで、地下や地上の受水槽に貯めた水をポンプで建物の屋上にある高置水槽に汲み上げ、重力による自然な圧力で各階へ供給する方式です。これにより、水圧の変動が少なく、医療施設や中高層建物での安定した給水が可能です。また、停電時にも一定時間の給水が維持できる利点がありますが、水質管理や定期的なメンテナンスが必要です。

    ・ポンプ直送式
    ポンプ直送式は、受水槽に一旦貯めた水をポンプで直接それぞれのフロアへ供給する給水方式です。この方式では、使用水量に応じてポンプの運転台数や回転数を調整し、効率的かつ安定した給水が可能です。主に小規模な中層建物で採用されており、建物の水圧をポンプで直接管理できるため、必要な水量を柔軟に供給できるのが特徴です。ただし、停電時にはポンプが停止するため、給水が途絶えるリスクがあります。

    ・圧力水槽式
    圧力水槽式は、受水槽に貯めた水をポンプで圧力水槽に送り、その内部圧力を利用してそれぞれのフロアへ給水する方式です。小規模な中層建物で広く採用されており、圧力水槽内の圧力を利用することで、安定した水圧で効率的な給水が可能です。内部圧力を管理するため、停電時にも一定の水圧を保てることが利点ですが、定期的な圧力管理と水槽のメンテナンスが必要です。

    ・受水槽の用途
    受水槽は、建物内の給水システムにおいて、非常に重要な役割を担っています。主な用途として、まず外部から供給される水道水や地下水を一時的に貯蔵することで、水の供給が途絶えた場合や急激に水量が必要になる場合に備えることができます。また、受水槽に水を貯めてから給水することで、外部の水圧が不安定な状況でも、建物内で安定した水圧を維持し、各フロアへ均等に水を供給することが可能です。さらに、断水や災害、停電などの緊急事態においても、受水槽に貯えられた水が一時的な給水源となるため、建物の安全性と機能性を高める役割を果たしています。このように、受水槽は給水の安定性と信頼性を確保するための重要な設備です。

  • 受水槽導入価格について

    受水槽価格は受水タンクサイズ、容量により本体価格、組立設置費も変わります。
    受水タンクの一般的な材質としてFRPといわれる繊維強化プラスチックが使用されています。
    サイズ、容量も様々な仕様があり、設置場所のレイアウトにあった選定が必要です。

    縦1m×横1m×高さ2m(容量2t)サイズで約60~80万円
    縦2m×横2m×高さ2.5m(容量10t)サイズで約90~100万円
    縦5m×横5m×高さ2m(容量50t)サイズで約300~330万円
    縦5m×横10m×高さ2m(容量100t)サイズで約500~550万円程度です。
    ※ステンレス仕様の場合は、上記コストよりは高価になります。

    上記価格は本体のみの参考価格で、運搬費用、設置組立費用が別途発生します。

  • 受水槽選定ポイント、導入時の確認ポイントについて

    【受水槽の選定ポイント】
    受水槽の容量は、自治体によって規定があるので地域の水道局などへ確認する必要があります。
    一日の使用水量の4/10~6/10が目安です。
    受水槽の設置スペースを確保する必要があります。
    (小規模であれば受水槽を介さず水道本管へ直に接続して給水するブースターポンプ方式もあります。)

    ◎容量
    受水槽の容量は、建物の規模や用途、必要な量の水供給を確保できるかどうかに応じて適切に決定する必要があります。特に、非常時に備えた大量の水の確保が可能な容量が求められます。

    ◎材質
    受水槽の材質は、耐久性や衛生面を考慮して選ぶ必要があります。一般的にはステンレスやFRP(繊維強化プラスチック)が使用されますが、腐食に強く、排水がしやすい材質であることが重要です。

    ◎設置場所
    受水槽の設置場所は、メンテナンスのしやすさや配管の取り回しを考慮して決定します。特に地震対策として、設置場所が安定していることや、適切な補強が施されていることが重要です。また、蛇口からの給水がスムーズに行える配管設計も考慮します。

    ◎水質管理
    受水槽内の水質を長期間維持するために、定期的な清掃や点検が容易に行える構造であることが求められます。排水が容易で、清掃やメンテナンスが迅速に行える設計が必要です。

    ◎耐震性
    特に地震の多い地域では、受水槽の耐震性が重要な選定ポイントとなります。耐震設計が施されている受水槽を選ぶことで、災害時でも安全に使用できるようにします。また、災害時に大量の水を安全に保つ責任が求められます。

    ◎保守・メンテナンス
    受水槽の清掃や点検が容易に行える構造であることも重要です。開口部や点検口の配置がメンテナンスに適しているかどうかを確認し、保守管理のコストや手間を最小限に抑えられるものを選ぶ必要があります。また、受水槽設置時の工事や接続される水道管の配置も考慮し、清掃や点検作業が多くの手間をかけずに行えるような設計が求められます。責任ある管理体制を維持するために、これらの要素が非常に重要です。

    ◎ 法規制への適合
    受水槽の設置にあたっては、建築基準法や各自治体の規制に適合していることが求められます。特に公共施設や集合住宅などでは、厳格な基準が適用されるため、これらの規制を満たす受水槽を選定する必要があります。法規制に適合した受水槽を選ぶことは、管理者の責任として重要です。



    【受水槽導入時の確認ポイント】
    受水槽の設置に関しては法令で様々な規定があり、それに従う必要があります。
    受水槽の機能を正常に保つ為には清掃の他、定水位弁やポンプ等の周辺設備も点検が必要です。

  • 受水槽導入後のトラブル事例と事前対策ポイントについて

    トラブル事例
    受水槽から供給されている水にサビが混入し、水が使用できない状態になったという深刻な問題が発生しました。これは、建物全体の水供給に影響を及ぼし、住民や利用者に多大な不便を強いる結果となりました。

    原因①
    法律で義務付けられている年に1回の定期清掃は一応実施していましたが、清掃の実施レベルが不十分であり、適切な手順が守られていませんでした。自社での清掃活動は行われていたものの、専門知識や技術が不足していたため、サビの発生やそれに伴う水質悪化を防ぎきれなかったことが原因です。

    原因②
    点検と清掃の両方を自社で行い、法律を順守しているという安心感から、適切な品質管理が行われていませんでした。法的な最低限の要件を満たしていれば問題ないという認識により、槽内の状態や水質に対する意識が低くなり、結果としてトラブルを招いてしまいました。

    対策①
    今後は、定期清掃を外部の専門業者、特に貯水槽清掃作業監督者の資格を持つ業者に依頼し、確実に作業を行うことが必要です。作業完了後には詳細な作業報告書を作成し、それをしっかりと保管することで、清掃の質を保証し、万が一の際にも迅速に対応できるようにします。これにより、清掃作業が適切に実施されていることを確認し、水質の安全性を確保します。

    対策②
    槽内の清掃に加え、ポンプや配管の定期的な点検、水質検査も含めた総合的な保全計画を策定します。この計画には、実施時期や担当者、使用する機器や方法などを明確にし、履行漏れがないように厳格に管理します。定期的な見直しと改善を行うことで、システム全体の信頼性を高め、同様のトラブルが再発しないように努めます。これにより、受水槽から供給される水の品質を常に高いレベルで維持し、住民や利用者に安心して使用してもらえる環境を提供します。

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